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刑法の目的を整理してみましょう。
刑法は、法益を保護することを目的としています(法益保護主義)。
刑法の目的は社会倫理ないし社会秩序の維持にあるとする立場もありますが、法益を保護すれば社会は安定し、人々は安心・安全な生活を送ることができるので、社会倫理ないし社会秩序の維持は、法益を保護した結果として生じる副次的な効果ということができます(高橋則夫『刑法総論』第4版、成文堂、2018年、p.12参照)。
刑法による法益の保護は、法益を侵害する行為を行った場合には刑罰という過酷な制裁を科することを予告し、人を法益侵害行為から遠ざけることによってなされます。そこで、刑法の目的が法益の保護にあるとしても、あらゆる法益が刑法による保護の対象となるわけではありません(刑法の断片性)。
つまり、刑法による保護の対象となる法益は、それが侵害された場合に、刑罰という過酷な制裁を科すことが相当であり、また、刑罰によらなければ十分に保護することができないといえるようなものでなければなりません(刑法の補充性)。
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