事業場外や裁量労働のみなし労働時間制でも、残業手当の支払いが必要でしょうか?

 事業場外みなし労働時間制、裁量労働みなし労働時間制を採用している場合、時間外労働に対する残業手当はどのように取り扱えばよいのでしょうか。

 営業手当や裁量手当の名称で定額払いとすることはできないのでしょうか。

上記「事業場外や裁量労働のみなし労働時間制でも、残業手当の支払いが必要でしょうか?」に対する回答

 法定どおり計算した額を上回っていれば、定額払いも法違反にはなりません。

 事業場外労働みなし労働時間制は、営業マンなどが業務の全部または一部を事業場外で従事する場合で、使用者の指揮命令が及ばず、労働時間の算定が困難な場合に、あらかじめ定めた時間労働したものとみなすことができるという制度です。

 また、裁量労働みなし労働時間制は、研職開発職やシステムエンジニア、デザイナーなど、業務の遂行方法や労働時間の決定、配分を大幅に従業員の裁量に委ねる必要がある場合に、労使協定に定めた時間労働したものとみなすことができるという制度です。

 事業場外や裁量労働のみなし労働時間制を採用した場合には、実際に労働した時間が定められた時間以上でも以下でも、あらかじめ定めた時間だけ労働したことになります。

 この場合、みなし労働時間が法定労働時間を超える場合には、超えた時間に対しては割増賃金の支払いが必要となります。

 このように、事業場外や裁量労働のみなし労働時間制を導入した場合には、あらかじめ定めたみなし時間が法定労働時間を超えるときには割増賃金を支払うことになりますので、割増賃金を定額払いとすることになります。

 ただし、営業手当や裁量手当などの形で定額とする場合、それが時間外労働としてみなした時間に対する割増賃金相当額になっているかどうか問題となります。

 実際に計算した割増賃金の額が定額の手当の額を上回るときは、超えた金額を定額の手当に追加して支払う必要があります。

 したがって、定額の営業手当などをすべての従業員に対して一律の金額とすることには問題があります。

 なぜなら、算定の基礎となる賃金は、従業員によって金額が異なりますから、定額の手当をよほど高い額にしない限り、法定どおり計算した場合の割増賃金を下回る可能性があるからです。

 そこで、この場合、時間外になる時間に応じて、「基準内賃金の25%増し」などのように、割増賃金を一人ひとり決めるようにします。

 なお、みなし労働時間制のもとでも、深夜業や休日労働について適用が除外されてはいませんので、深夜業割増賃金または休日労働手当を定額の手当とは別に清算して支払わなければならないことに注意が必要です。

カテゴリー:変形労働時間

アクセスランキングトップ10

 次には、アクセスの多いQ&A記事のトップ10を表示しています。

  • (現在集計中)