出勤簿の作成を従業員本人ではなく、上司が行うことは法律的に問題ありますか?

 当社では、従業員の出勤管理をタイムカードによる方法から出勤簿に変更しようと考えているのですが、出勤簿を従業員の上司が作成することには、法律的に何か問題はありますか。

 また、出勤簿の作成についての注意点なども併せて教えて下さい。

上記「出勤簿の作成を従業員本人ではなく、上司が行うことは法律的に問題ありますか?」に対する回答

 出勤簿は、労働日数等の実態を確実に把握できるものであればよく、本人以外の者が作成しても問題はありません。

 なお、タイムカードから出勤簿に移行した場合であっても、使用者が労働時間数を把握する義務を免れることはできませんので、正確に把握するようにして下さい。

 労働基準法は、使用者に対して、各事業場ごとに賃金台帳を調整し、労働者各人別に、賃金計算の基礎となる事項、賃金の額、その他労働日数、労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数(以下「労働時間数等」という)を記入することを課しています(同法第108条、同法施行規則第54条参照)。

 つまり、使用者には労働者各人について労働時間数等を把握する義務が課されているわけです。

 通常、労働時間数等を把握する方法として、出勤簿やタイムカードなどが利用されていますが、労働時間等の把握の方法について、法律で特別に指定されているわけではありません。

 つまり、使用者が労働者各人についての労働時間数等を確実に把握することができれば、どのような方法で行ってもよいわけです。

 たとえば、出入口で守衛等が各人別の出勤状況や労働時間数をチェックしたり、労働者各人が営業日誌や運転日誌のようなものを利用して自己記帳しておくなど任意の方法をとることも差し支えありません。

 以上のことから分かるように、ご質問のケースのように出勤簿によって出勤を管理する場合であっても、労働時間数等の実態を確実に把握できるのであれば、労働者本人ではなく上司が作成することとしても法律上まったく問題ありません。

 ところで、労働時間等のうち、時間外労働時間数と深夜労働時間数については、出勤簿による場合でも、タイムカードによって出勤を管理するときと同様に、その時間を把握しておかなければなりません。

 そのためには、職場の残業(命令)手続きを確立しておくことが大切です。

 なお、残業時間等を正確に把握するための方法には、残業の都度、事前あるいは事後に申告させ、承認の手続きをとる方法や、時間外勤務命令簿等を作成することによって管理する方法などがあります。

カテゴリー:労働時間

アクセスランキングトップ10

 次には、アクセスの多いQ&A記事のトップ10を表示しています。

  • (現在集計中)