就労ビザ取得のための時間は公民権行使の時間となるのでしょうか?

 当社で雇用している外国人が、自分の「在留資格認定証明書」(就労ビザ)を交付してもらうため、会社の就業日に入管局へ出かける時間は公民としての権利に当たるから、この時間を労働時間(有給)として扱うように求めてきました。

 この時間は公民権行使の時間となるのでしょうか。

上記「就労ビザ取得のための時間は公民権行使の時間となるのでしょうか?」に対する回答

 労働基準法は、選挙や住民投票などの公民権を行使する時間については、これを与えなければならないものとしていますが、就労ビザの取得のための時間は、公民権行使の時間には該当しませんので、労働時間に含める必要はありません。

 労働基準法第7条は、「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない」と、労働者が公民として権利を行使する場合には、これを与えなければならないものとしています。

 「在留資格認定証明書」(以下「就労ビザ」という)は、外国人が日本で就労するために必須のものであり、ある意味では、わが国の「公民」としての権利(就労権)を確保するために必要な時間といえます。

 また、「就労ビザ」を受けるためには平日でなければなりませんので、上記の公民権行使の時間に該当するかに見えます。

 しかし、上記の労働基準法第7条に関する行政解釈では、公民権行使の内容と範囲について
1.法令に根拠を有する公職の選挙権及び被選挙権、
2.憲法の定める最高裁判所裁判官の国民審査、
3.特別法の住民投票、
4.憲法改正の国民投票、
5.地方自治法による住民の直接請求、
6.選挙権及び住民としての直接請求権の行使等の要件となる選挙人名簿の登録の申し出等
 (昭63.3.14基発第150号)としており、この中には「就労ビザ」の申請、交付のための時間は含まれていません。

 したがって、この時間は公民権行使の時間には該当しませんので、労働時間に含める必要はありません。

 ところで、ご質問のケースでいえば、「就労ビザ」は必ず交付を受けなければなりませんので、本人の申請に基づいて年次有給休暇を与えるなどの措置を講じる必要があるでしょう。

 なお、公民権行使の時間を与える場合にも、労働基準法では有給、無給は任意としていますので、これに準じ、「就労ビザ」交付を受けるために必要な時間を無給で保障することとしてもよいでしょう。

カテゴリー:労働時間

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