産休の期間中でも、年次有給休暇を与えなければなりませんか?

 産休中の従業員から、産休を年休に振り替えてほしいとの申し出がありました。

 この場合年休の請求を認めなければならないでしょうか。

上記「産休の期間中でも、年次有給休暇を与えなければなりませんか?」に対する回答

 すでに産前産後休業に入っている場合は、労働義務が免除されているため、年次有給休暇の付与義務はありません。

 年次有給休暇は賃金の減額を伴わずに、労働者の労働の義務と免除しようとするものですから、年次有給休暇の対象となる日は、労働義務の課せられた日でなければなりません。

 産前休業については、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女子が休業を請求した場合には、就業させることはできません。

 したがって、産前休暇に入った時点で、労働義務は免除されますから、すでに産前休業に入っている場合は、年次有給休暇を行使する余地はありませんし、当然、会社側にも年次有給休暇を認めなければならない法的義務はありません。

 ただし、産前休業は本人の請求が前提となっていますので、産前休業の期間に入っていても、本人からの産前休業の意思表示がなく就業を続けている場合に、年次有給休暇を請求してきたときは、会社側はこれを付与しなければならないことに注意が必要です。

 産前休業を請求する以前の時季に、年次有給休暇を請求した場合には、その時点では労働義務のある所定労働日となっているわけですから、会社が、時季変更権を行使しない限り、請求した日数の年次有給休暇を与えなければならないわけです。

 次に、産後休業の場合、産後8週間を経過するまでの間は、原則として、会社は従業員を使用することができないこととされています。

 したがって、産後休業の期間中は、労働義務は最初からないことになり、労働者が年次有給休暇を行使する余地はありません。

 しかし、例外として、6週間を経過した後に、従業員が請求してきた場合、医師が支障がないと認めた業務に就かせることができます。

 したがって、産後7週間目以降については、本人が就業の請求をし、医師が支障がないと認める業務に就いている場合には、労働義務が生じますので、会社は時季変更権を行使しない限り、年次有給休暇の請求に応じなければなりません。

カテゴリー:女性の雇用

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