マイカー通勤者に高速道路使用料金を通勤手当として支払わなければならないのでしょうか?

 マイカー通勤をしている社員が、「遠距離のため高速道路の使用料金を通勤手当として支給して欲しい」と言って来ました。

 この場合、高速道路の使用料を通勤手当として処理することができますか。

 また、その場合、限度額を決めることはできるでしょうか。

上記「マイカー通勤者に高速道路使用料金を通勤手当として支払わなければならないのでしょうか?」に対する回答

 通勤費を支給するかどうか、高速道路の使用料金を支給するかどうかは任意に決めることができます。

 また、通勤費の限度額を決めることも貴社の任意です。

 一般に、労働者の月例賃金は基本給と各種手当で構成されていますが、この各種手当のうち、労働基準法で支払いが義務づけられているのは、時間外、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金のみです(同法第37条参照)。

 したがって、通勤手当を支給するかどうかは、事業主が任意に決定することができる事項であり、法律でその支給を強制されたものではありません。

 では、マイカー通勤者が高速道路を使用する場合、その使用料を通勤手当として処理できるかどうかという点ですが、所得税法は、「交通機関を利用したならば負担することとなる1ヵ月あたりの合理的な運賃相当額」を通勤手当として支払う場合には、非課税とするものとしています(ただし、非課税限度額は10万円)。

 ここで、「合理的な運賃相当額」とは、「通勤のための運賃、時間、距離等の事情に照らして最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路および方法による運賃または料金の額」とされています。

 したがって、「経済的かつ合理的な経路および方法」による通勤に必要なものであれば、高速道路使用料を通勤手当として処理しても差し支えありません。

 ちなみに、通勤手当制度がある企業の割合は、労働省の「賃金労働時間制度等総合調査」(1996年)によると89.9%、また、人事院の「民間給与実態調査」(1998年)によると98.5%となっており、他の手当に比較して高い採用率となっていますが、高速道路通勤援助制度を設けている企業は、労務行政研究所の調査(1997年10月)によると、主要企業307社中8.5%、製造業184社中10.3%にすぎません。

 次に、限度額を設けることができるかどうかについてですが、結論から申し上げますと、高速道路使用料を含めた通勤手当の総額に上限を定めることもできますし、また、高速道路使用料についてのみ支給限度額を定めることもできます。

 この点について、上記の人事院「民間給与実態調査」によりますと、通勤手当の最高支給限度額を決めている企業は、23.3%で、その平均は43,000円となっています。

マイカー通勤者に高速道路使用料金を支払うかどうかについては、以上のような点を考慮にいれて検討されたらいかがでしょう。

カテゴリー:諸手当

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