日々の15分程度の残業時間についても、残業手当を支払わなければなりませんか?

 当社は販売関係の商社ですが、終業時刻(午後5時半)間際に電話の数が急増するため、営業事務に就く社員のほとんどが所定労働時間を15分から30分程度オーバーしてしまいます。

 このような15分程度の短い時間であっても、時間外労働に対する賃金と割増賃金を支払わなければならないのでしょうか。

上記「日々の15分程度の残業時間についても、残業手当を支払わなければなりませんか?」に対する回答

 たとえ日々の残業時間が15分程度であっても、その時間を把握し、残業手当(1.25の割増賃金)を支払わなければなりません。

 労働基準法(以下「法」という)はその第24条第1項で、労働者が労働した時間に対しては、その時間に対する賃金の全額を支払わなければならないこととしています。

 そして、法定労働時間を超えて労働させた場合には、その超えた時間に対して2割5分以上の率で計算された割増賃金を支払うことを使用者に義務づけています(法第37条)。

 ところで、この割増賃金の計算に当たっては、事務処理の簡便化のためのものであって、常に労働者の不利になるような方法でなければ、労働時間の端数処理を行うことが認められています。

 この点について、行政解釈では、「1ヵ月における時間外労働等の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる方法については、労働基準法違反としては取り扱わない」(昭63.3.14基発第150号)としています。

 しかし、この端数計算は、あくまでも賃金計算期間の残業時間の合計に端数がある場合に限って認められたものであり、日々の時間外労働の時間についてまで認めたものではありません。

 したがって、日々の時間外労働の時間について端数処理をすることは、上記の賃金全額払いの原則(法第24条第1項)に反することになり認められません。

 例えば、残業時間が毎日15分の場合で1ヵ月の所定労働日数が20日あるときには、合計5時間分の賃金とその時間についての割増賃金を支払わなければならないわけです。

 以上のことからわかるように、毎日15分程度の残業時間であっても、使用者はその時間を把握し、時間外労働に対する割増賃金(1.25)を支払わなければなりません。

カテゴリー:諸手当

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