本人の届出ミスにより支給停止していた住宅手当を遡って支給しなければなりませんか?

 当社の就業規則では、住宅手当は当月末日まで届出をした場合、翌月から支給(または停止)することになっています。

 ある社員から「住所変更届」が提出されましたので、それに伴って翌月から住宅手当の支給を停止したのですが、先日その社員がその届出は記入ミスであったので支給停止していた2年間の住宅手当を遡って支給してほしいとの請求がありました。

 この場合、遡って支給しなければならないのでしょうか?

上記「本人の届出ミスにより支給停止していた住宅手当を遡って支給しなければなりませんか?」に対する回答

 通常、賃金に未払いがある場合には、2年間遡って支給しなければなりませんが、ご質問のケースは、本人の届出ミスとのことですので、必ずしも遡って支払う必要はありません。

 労働基準法では、「この法律の規定による賃金(退職金を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する」(第115条)と定めています。

 したがって、通常、未払い賃金がある場合、労働者から請求があったときは、最長2年間分の未払い賃金を遡って支給しなければなりません。

 ご質問では、本人の「住所変更届」の記入ミスによるとのことですが、遡りが必要かどうかは、その住宅手当が「未払い賃金」であるかどうかによって判断することになります。

 貴社の就業規則では、住宅手当は、本人の届出により支給することが明確にされており、本人が届出してはじめて受給権が発生するものと解されますので、未払い賃金には当たりません。

 つまり、本人の記入ミスのため正しい届出がなされていなかったわけですから、誤りに気づいて改めて届出をしたときに受給権が発生するものと考えられます。

 しかも、2年近くも前から住宅手当の支給を停止されていたわけですから、単に手続きミスというだけでなく、本人は支給停止を承認していたと解することもできます。したがって、過去に遡る義務はありません。

 もちろん、一定の期間遡って支給することとしても差し支えありません。

カテゴリー:諸手当

アクセスランキングトップ10

 次には、アクセスの多いQ&A記事のトップ10を表示しています。

  • (現在集計中)