残業時間を毎月一定時間と決めて、割増賃金を毎月定額にしてもいいですか?
毎月残業時間を計算するのが面倒なので、1ヵ月の残業時間を決めて、その範囲内であれば一定額の割増賃金を支給することにしてもいいでしょうか?
上記「残業時間を毎月一定時間と決めて、割増賃金を毎月定額にしてもいいですか?」に対する回答
実際の残業時間が、定額の割増賃金の範囲内であれば問題ありません。
労働基準法第37条第1項では、「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ命令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と、時間外・休日労働及び深夜業の割増賃金の支払いについて定めています。
ご質問では、上記の計算を毎月行うのは大変なので、毎月定額の割増賃金を支払うことにしたいということですが、定額で支払う割増賃金が、その月の実際の残業時間を同法第37条で定められた方法で計算した金額を下回らない限り違法とはなりません。
したがって、これを下回らないように常に留意することが必要となります。
仮に下回った場合には、その差額を支払う必要があります。
裁判例でも、営業社員の時間外労働に対して支払ったセールス手当について、法定の割増賃金を上回る額であれば、法の趣旨は満たされ、割増賃金として一定額を支払うことは許されるとしつつ、法定の計算方法で算出した割増賃金の額が定額の手当の額を上回るときは、その差額の請求権を労働者側に認めたものがあります(昭63.10.26大阪地裁判決「関西ソニー販売事件」参照)。
つまり、定額で支払う割増賃金が法所定の計算による金額を下回らない限り適法としています。
その理由は、法第37条の規定は、法定労働時間を超えて労働させた場合には、法定の率以上の率で計算した賃金を割増賃金として支払うことを命ずるにとどまり、同条所定の計算方法を用いることまで要求していないからです。
カテゴリー:諸手当
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