誤って支払った家族手当の返還を求めることはできますか?

 ある従業員の子息が大学を卒業した際に被扶養者異動届が出されていたのですが、事務上のミスによって子息分の家族手当を支給し続けていたことが判明しました。

 この場合、過誤払いした手当の返還を求めることはできるでしょうか。

上記「誤って支払った家族手当の返還を求めることはできますか?」に対する回答

 会社側の事務上のミスがあったとしても、返還請求は可能です。

 民法では、受けるべき理由なく受けた利益を「不当利得」といい、不当利得の受益者には返還義務を課しています。

 したがって、ご質問のケースのように、従業員が過分に受けた家族手当は不当利得にあたりますので、それが、会社側の事務上のミスに起因したものだとしても、会社は返還を求めることができます。

 ただし、これはあくまでも法律(民法)上の問題です。
 会社の事務上のミスに起因したものであることも勘案し、全額返還を求めるか、一部のみとするかなどについて、本人とも話し合って決定することが望まれます。

 ところで、ご質問では過誤払いがどれくらいの期間なされたのか、また、過誤払いを発見したのが、会社なのか本人なのかによって、事情が多少変わってきます。

 過誤払いが会社の事務処理ミスに起因するものだとしても、本人は子息の家族手当を受け取っているわけで、過誤払いであることを知り得る立場にあります。

 にもかかわらず、本人が数ヵ月以上にもわたって黙ってそれを受領していた場合には、仮に被扶養者異動届を出していたとしても、規定上家族手当の受給権がなくなっている限り、問題が残ります。

 故意に不当利得を得ていたことになるからです。

 民法では不当利得の受益者に「悪意があった場合(受けるべき金銭ではないことを知っていた場合)」には、利息をつけて返還しなければならないものとしており、もし、その従業員が子息の大学卒業時に届出をせず、過誤払いの家族手当を黙って受けていたような場合には、その行為は悪意ある(故意の)不正受給ということになり、もちろん、長期間にわたって過誤払いを受領していたときにも不正受給として、利息付きでの返還請求ができます。

 ご質問のケースでは、子息が大学を卒業した際に被扶養者異動届を提出していたとのことですが、もし、こうした届出が出されずに故意に不正受給していた場合には、利息付きで全額返還請求することができます。

カテゴリー:諸手当

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