退職時に商品券を渡した場合にも、所得税の課税対象となるのでしょうか?

 退職の辞令交付後、慰労品として商品券を渡した場合にも、源泉徴収しなければならないものでしょうか。

上記「退職時に商品券を渡した場合にも、所得税の課税対象となるのでしょうか?」に対する回答

 退職金の代わりに商品券を支給した場合にも税法上は「退職手当」と扱われますが、その商品券の額面がよほど高額でない限り、実際には所得税の課税対象となりませんので、源泉徴収する必要はありません。

 退職所得として課税される退職手当とは、退職しなかったとしたら支払われなかったもので、退職したことに基因して一時的に支払われることになった給与をいいます。

 したがって、ご質問のように、名称を「慰労品」と称し、商品券で支給した場合にも、引き続き勤務している人には支払われないものであれば、「退職手当」に該当します。

 また、給与は、金銭で支給されるのが普通ですが、有価証券を支給する場合には、その支給する有価証券の価額の多少にかかわらず、すべて給与所得として課税されます(国税庁/平成11年6月「源泉徴収のあらまし」より)。

 以上のように、退職手当も給与の一種ですから、退職手当として商品券を支給する場合にも、その全額が課税対象となります。

 ところで、退職所得は、その年中に支払いを受ける退職手当の収入金額から、その人の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額を課税標準として、他の所得と分離して課税することとされています(所得税法第22条、第30条)。

 この優遇措置により、よほどの高額でない限り、退職金から所得税を源泉徴収する必要はありません。

 ただし、この優遇措置を受けるためには、「退職所得の受給に関する申告書」を本人に提出してもらわなければなりません。、

 したがって、ご質問の場合、退職時に支給した商品券は「退職手当」に当たりますが、その商品券の額面がよほど高額でない限り、実際には課税対象とならず、源泉徴収をする必要はないと考えてよいでしょう。

 なお、退職金が支払われたうえ、商品券をプラスして支給する場合には、合算した額が退職手当となりますので、商品券を含む総額が課税対象となるときには、源泉徴収しなければならないことはいうまでもありません。

カテゴリー:退職金

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