通勤距離によってマイカー通勤を制限することができるでしょうか

 当社の給与規程では、「自己の住居より勤務場所までの距離が2Km以上あり、公共交通機関を利用する場合には通勤費を支給する」と定めていますが、支社ローカルルールに、「マイカー通勤規程」があり、その中で「2Km未満はマイカー通勤を認めない」と定めています。

 ところが、何人かの社員が、2Km未満の場合の通勤費不支給については納得できるが、通勤手段まで規制するのはおかしい」といってきました。

会社としては社員の安全を第一義としてマイカー通勤を禁止しているのですが、問題があるでしょうか。

上記「通勤距離によってマイカー通勤を制限することができるでしょうか」に対する回答

 通勤距離によって通勤手当の支給を制限することは差し支えありませんが、距離によってマイカー通勤を禁止することには合理的な理由がありません。

 貴社の支社ローカルルールには、「2Km未満はマイカー通勤を認めない」という定めがあるとのことですが、この定めに合理的な理由があるのかどうかは問題となるところです。

 一般に、マイカー通勤を距離によって制限することがまったく認められないわけではありません。

 たとえば、当該事業所の駐車場スペースに限りがあり、全従業員が自由にマイカーを利用すると車の置き場が足りなくなるなどというような物理的な制約がある場合には、一定距離以内の近隣者には自転車または徒歩等での通勤を求めることとしても差し支えありません。

 しかし、そのような制約がないのであれば、マイカー通勤を距離によって制限することは、合理的理由があるとは考えられません。

 もちろん、貴社が「社員の安全を第一義」と考えておられる姿勢は十分理解できますが、かといって、安全への配慮(の強弱)が、通勤距離によって異なるというのも少しおかしい気がします。

 むしろ、遠距離になるほど事故確率は高くなるのではないでしょうか。

 実際に当事者から疑問の声が出ているということですので、この際、改めて「2Km未満はマイカー通勤を認めない」という定めがどうしてできたのかを調査し、合理的な理由がないのであれば、当該規定は改定するようにされたほうがよいでしょう。

 なお、公共機関を利用するかマイカーを利用するかを問わず、2Km未満の場合は「通勤手当を支給しない」こととする措置自体には特に問題はありません。

 ご質問のケースは、マイカー以外の通勤手段を用いる人とそうでない人との間に合理性のない基準を設けていることに問題の本質があるものと思われます。

カテゴリー:就業規則

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