契約期間途中の退職の申し出はどんな理由でも拒否することができないのでしょうか?

 1年契約のイベントコンパニオンを契約社員として雇いましたが、契約期間の途中で退職の申し出をしてきました。

 契約期間途中の労働契約解約は、“やむを得ない事由”がない限りできないと聞きましたが、このやむを得ない事由とは具体的にどのようなことをいうのでしょうか。

上記「契約期間途中の退職の申し出はどんな理由でも拒否することができないのでしょうか?」に対する回答

 やむを得ない事由か否かは、社会通念上雇用契約を続けることができない事由があるか否かで判断します。

 民法では、期間の定めがない労働契約については、当事者はいつでも解約の申し入れができることとしています(ただし、労働基準法では、使用者側からの解約、すなわち、解雇については合理的な理由が必要であると制限していますが)。

 しかし、期間の定めがある労働契約については、原則として契約期間の途中には解約することはできません。

 そこで、労働基準法は長期的な労働契約を締結することによって労働者を身分拘束することの弊害を排除するため、通常の労働契約は1年以内、高度専門職と60歳以上の者の労働契約は3年以内、というように契約期間に上限を定めています。

 以上のように、期間の定めのある労働契約については、原則として契約期間途中の解除を排除していますが、民法第628条は、例外として「やむを得ない事由」がある場合には契約期間の途中での労働契約の解約をすることができることとしています。

 ここでいう「やむを得ない事由」とは、大正11年5月29日の大審院判例の「雇用契約を締結した目的を達成するのに付き重大な支障をきたす事項」をいいます。

 これは、社会通念上雇用契約を存続させるのが無理であるような事由が該当するものと解されています。

 この見解によれば、労働者が契約期間の途中に契約解除ができるのは、
1.使用者が採用時(労働契約締結時)に約束した条件を履行しなかったとき、
2.労働者の死亡、怪我、疾病、または家族の看病等のために労務を提供することができなくなった
 ような場合に限られます。

 したがって、当該契約社員からの退職の申し出の理由を客観的に判断して、上記のようなやむを得ない事由に該当しない限り、その退職の申し入れを認めなくても構いません。

 それでも退職(労働契約を解除)するというのであれば、債権者である貴社は、債務不履行(労働契約違反)として、債務者である当該契約社員に対して損害賠償請求をすることができます。

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