いったん退職した社員を再雇用する場合、社会保険の扱いで注意することがありますか?

 当社では、いったん退職した社員を再雇用することにしました。この場合、社会保険の取り扱いで注意することがありますか。

上記「いったん退職した社員を再雇用する場合、社会保険の扱いで注意することがありますか?」に対する回答

 採用する社員が60歳未満の場合と60歳以上の場合では異なります。

 60歳未満の人を再雇用する場合には、新規採用者と同様に取り扱って差し支えありません。

 再雇用については、定年退職者の再雇用か、60歳未満の者の再雇用かによって社会保険(労働保険を含む)の手続きが大きく異なります。

 まず、60歳未満の者を退職後一定の期間をおいて再雇用する場合には、退職時に被保険者資格喪失届、再雇用時に被保険者資格取得届を社会保険事務所と公共職業安定所に提出します。

 つまり、再雇用時の手続きは、新規採用者と何ら変わりありません。

 ただし、その者が雇用保険の基本手当を受給中であり、再就職手当の受給要件(基本手当の支給残日数が所定日数の3分の1以上、かつ、45日以上残っている等)があったとしても、離職前の事業主に雇用されるわけですから、再就職手当の受給対象とはなりません。

 次に、定年退職者を1日の空白もなく引き続き嘱託社員として再雇用する場合の社会保険と労働保険についてみてみましょう。

1. 社会保険の取扱い

 特別支給の老齢厚生年金の受給権者(未請求者を含む)の場合には、定年退職日の翌日に被保険者の資格を一度喪失させ、同時に再取得の手続きをすれば社会保険の被保険者資格はそのまま継続されます。

 このように、いったん資格を喪失し、再取得の手続きを行うことによって、再雇用後に賃金が下がった場合でも月額変更に該当するまで待つことなく、再雇用後の標準報酬に応じて新しい保険料にただちに改められることなります。

 具体的には、再雇用された後に、被保険者資格喪失届と資格取得届(被扶養者がいる場合には、被扶養者異動届も提出)を被保険者証と年金手帳を添えて、同時に社会保険事務所(組合健保なら健保組合)に提出します。

 その際、定年退職であることを確認できる書類(就業規則の写し、退職辞令の写し、事業主の証明等)を添付します。

2. 労働保険の取扱い

 労災保険と雇用保険は定年到達後に再雇用された場合にも、基本的には適用関係に変更はありませんので、特に手続きを行う必要はありません。

 ただし、雇用保険については、定年退職後に短時間勤務に移行する場合には、一般被保険者から短時間労働被保険者へ被保険者の種別変更の手続きが必要となります。

 具体的には、再雇用後の1週間の所定労働時間が30時間未満になった場合には、公共職業安定所に「区分変更届」を提出して種別変更手続きを行います。

 なお、再雇用後の1週間の所定労働時間が20時間未満になると、雇用保険の被保険者資格がなくなるため資格喪失届の提出が必要となります。

カテゴリー:社会保険

アクセスランキングトップ10

 次には、アクセスの多いQ&A記事のトップ10を表示しています。

  • (現在集計中)