個人事業所の従業員が有限会社の取締役社長を兼ねる場合には、有限会社の厚生年金保険に加入しなければならないのでしょうか?

 当事務所は、個人事務所で社会保険には加入していません(各自が国民健康保険と国民年金に加入しています)が、この度、有限会社を設立し(従業員を新たに2名採用)、当事務所の従業員の一人を取締役社長に就任させました。

 当該従業員は大半の時間を当事務所で勤務しており、有限会社へは週1回ほど顔を出す程度です。

 また、給与についても当事務所から支払い、有限会社からは支払っていません。

 このような場合でも、この従業員は有限会社の厚生年金に加入しなければならないのでしょうか?

上記「個人事業所の従業員が有限会社の取締役社長を兼ねる場合には、有限会社の厚生年金保険に加入しなければならないのでしょうか?」に対する回答

 従業員の勤務時間や報酬などの状況を考えますと、有限会社の社長としての実態が見受けられませんので、厚生年金保険の被保険者には該当せず、国民年金から厚生年金保険に切り換える必要はありません。

 厚生年金保険法第6条では、厚生年金保険の適用事業所に該当する事業所の一つとして「国、地方公共団体又は法人の事業所又は事務所であって、常時従業員を使用するもの」と定めています。

 一般に会社と呼ばれている株式会社や有限会社は、同法の「法人の事業所」に当たりますので、従業員の人数にかかわらず当然厚生年金保険の適用事業所となります。

 ご質問の有限会社も、法人の事業所ですので、厚生年金保険の適用事業所に該当します。

 しかし、ご質問のように、個人事務所に勤務する場合には、有限会社の役員であっても必ず厚生年金保険の被保険者になるとは限りません。

 なぜなら、会社の取締役が名目的なもので、常時勤務しているのが個人事務所の場合には、厚生年金保険の被保険者には該当しないものとされているからです。

 具体的には、主たる報酬をどちらで受けるか、また、月の所定労働日数および1日または1週間の所定労働時間が一般の社員に比べて概ね4分の3以上であるかどうかが、有限会社で厚生年金保険に加入しなければならないかどうかの基準になります。

 ご質問では、有限会社に常時雇用される従業員2名については、労働保険はもちろん、厚生年金保険とともに健康保険にも加入させなければなりませんが、有限会社の社長に就任した従業員は、主に貴事務所で仕事に従事しており、かつ、貴事務所からの給料が主たる収入源となっているとのことですので、実態として有限会社の社長として勤務しているとはいえず、当該従業員は厚生年金保険の被保険者にはなりません。国民年金のままで差し支えありません。

カテゴリー:社会保険

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