労災事故で入院中の社員の社会保険の資格を喪失してもよいでしょうか?

 9月に労災事故に遭い、現在入院中の社員がいます。

 今年中に復帰できるかどうか未定なのですが、このような場合、雇用保険と社会保険を切ってもよいでしょうか。

上記「労災事故で入院中の社員の社会保険の資格を喪失してもよいでしょうか?」に対する回答

 労災事故による休業期間中及びその後30日間は解雇することが制限されていますので、雇用保険と社会保険の資格を喪失することはできません。

 ご質問は、休業している社員の社会保険料等の負担を削減するために雇用保険と社会保険を打ち切りたいということだと思いますが、ご質問の社員の雇用保険と社会保険を切るとは、すなわち雇用保険と社会保険の資格を喪失するということで、その社員を事実上解雇することと同じ効果が生じます。

 しかし、労働基準法は、「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間
及びその後30日間は、解雇してはならない」(第19条第1項)と、業務上の傷病で療養のために休業する期間とその後の30日間は解雇することを制限しています。

 この条文の趣旨は、業務上の災害による療養中とその後の一定期間については、労働者の就業活動に大きな困難が予想されることから、解雇を禁止し、労働者の生活を保護することを目的としたものです。

 したがって、ご質問の社員が療養のために休業する期間中と職場復帰後の30日間は解雇することはできませんし、社会保険等の資格を喪失することもできないわけです。

 なお、社員が休業していて賃金が支払われていない場合でも、その社員が会社に在籍している間は健康保険と厚生年金保険の保険料は本人から徴収しなければなりません。

 ただし、雇用保険については、賃金が支払われていない場合には保険料はかかりませんので、徴収する必要はありません。

カテゴリー:社会保険

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