裁量労働制適用労働者の通勤途上の災害は、通勤災害として認められるか?
裁量労働制が適用されている労働者が、朝11時ごろ、出勤途上に災害に遭いました。
この場合、労働時間を労働者に委ねているということで、通勤災害として認められない場合があるのでしょうか?
上記「裁量労働制適用労働者の通勤途上の災害は、通勤災害として認められるか?」に対する回答
通勤災害と認められるかどうかは、労災保険法の通勤災害の要件を備えているかどうかが問題であり、裁量労働制が適用されているかどうかは問題となりません。
労働者災害補償保険法では、通勤災害とは、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡」(第7条第1項第2号)としており、「通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。」(同条第2項)としています。
つまり、通勤災害と認められるためには、合理的な経路及び方法による通勤途上にあるかどうかが重要な要件となります。
ご質問は、出勤時間が、通常の労働者より遅い点を気にされてのことと思われますが、裁量労働制を適用されているかどうか、また、出勤時間が遅い時間か早い時間かに係らず、合理的な経路及び方法による通勤途上にある災害であれば、通勤災害と認められます。
この場合、合理的な経路及び方法による通勤とは、通常、会社に届け出ている交通機関、自動車、自転車、徒歩等での通勤をさしますが、通勤の途中で、その合理的経路からそれ(逸脱)又は通勤行為をやめて他の行為をした(中断)場合には、その逸脱・中断中はもちろん、その後の往復も通勤とは認められません。
ただし、逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除いて、その後の往復の時間は、通勤として扱われます(同条第3項但し書き)。
なお、「日常生活上必要な行為であって労働省令で定める行為」とは、具体的には、次の行為をいいます(労働者災害補償保険法施行規則第8条)。
1.日用品の購入その他これに準ずる行為
2.職業能力開発促進法に規定する公共職業能力開発施設において行われる職業訓練、学校教育法に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
3.選挙権の行使その他これに準ずる行為
4.病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
カテゴリー:社会保険
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