常勤の監査役や取締役は社会保険に加入できますか。

 監査役や取締役が非常勤から常勤となった場合、社会保険に加入することができるでしょうか?

上記「常勤の監査役や取締役は社会保険に加入できますか。」に対する回答

 常勤の監査役や取締役は社会保険の強制加入対象者となりますが、雇用保険には原則として加入できません。

 健康保険と厚生年金保険の場合には、適用事業所に使用されている者は、一括して被保険者となりますので、代表取締役、取締役、監査役等も常勤である限り、加入が義務づけられています。

 これは、常勤である代表取締役等が法人から労務の対償として報酬を受けている限り、法人に使用されているという考え方によるものです。

 これに対して、労働保険(労災保険・雇用保険)の場合に被保険者となるのは、事業主と使用従属関係にあって労務を提供し、その対償として報酬を受ける労働者に限られており、原則として、取締役と監査役は常勤であっても、その適用を受けることができません。

 ただし、業務執行権を持たない取締役で、部長、支店長等を兼務するなど、労働者的性格が強く、会社と雇用関係があると認められる者は(いわゆる「兼務役員」)、労災保険の適用を受け、雇用保険の被保険者となることもできます。

 しかし、監査役は、従業員を兼ねることはできませんので、労働保険の対象とはなりません。

 この場合、労働者的性格が強いかどうかの判断基準は、報酬の支払い、就労の実態、就業規則等の適用状況等について総合的にみて判断されます。

 以上の兼務役員を除く会社の代表者(業務執行権を持つ取締役や代表取締役、代表社員等)については、会社との雇用関係がないため、いかなる場合にも雇用保険の対象となることはできません。

 しかし、労災保険については、労災保険の特別加入制度が設けられており、次の要件を満たすときは労災保険の適用を受けることができます。

 労災保険の特別加入制度に加入することができるのは、次の要件を満たす場合です。

(1)常時300人(金融業、保険業、不動産業、小売業又はサ?ビス業の場合は50人、卸売業の場合は100人)以下の労働者を使用する中小事業主。

(2)労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託する者。

 なお、中小企業等の事業主が特別加入をするためには、その事業について保険関係が成立していることが前提条件となりますので、労働者(アルバイトも含む)を雇用していることが必要です(労働者を雇用しない場合には保険関係が成立せず、労働保険事務組合に事務を委託することもできない)。

 また、事業主が特別加入する場合は、取締役全員を一括して加入させなければなりません。

カテゴリー:社会保険

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