労働者名簿の記載事項である「履歴」についてはどんな履歴を記載すればよいのでしょうか?
労働者名簿の記載事項の「履歴」については、具体的にはどんな履歴を記載すればよいのでしょうか。
また、当社では、現在従業員の「本籍」を把握しておりません。
これから確認するとなると、従業員からプライバシーの問題等で反発されるおそれがあるのですが、「本籍」は労働者名簿に記載しなければなりませんか。
上記「労働者名簿の記載事項である「履歴」についてはどんな履歴を記載すればよいのでしょうか?」に対する回答
労働者名簿の「履歴」には、労働者の前職での職歴のほか、入社後の職務経歴も記載しておくことが望ましいでしょう。
なお、「本籍」は記載する必要はありません。
労働基準法第107条では、労働者名簿について、「使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他命令で定める事項を記入しなければならない」ものとしています。
この命令で定める事項については、同法規則第53条で「性別、住所、従事する業務の種類、雇入の年月日、退職の年月日及びその事由、死亡の年月日及びその原因」としています。
ご質問の労働者名簿の「履歴」に記載すべき事項の範囲については、法令や行政解釈では明確には示されていませんが、労働者の前職までの職歴のほか、入社以降に従事した業務などの履歴を記載しておくとよいでしょう。
履歴の具体的な内容としては、当該労働者の取得している資格、入社後の人事異動、配置転換等を含めた職務経歴などが考えられます。
なぜ、このような事項を記載するかというと、一つには、これらの履歴が労災保険法上の業務災害として認定するか否かの重要な判断基準となることがあるからです。
例えば、粉塵作業などの業務に携わっていた者が、業務遂行中ではなく数年経ってから塵肺が発生したような場合、当該疾病と遂行業務との因果関係(これを「業務起因性」という)の有無を判断するために、当時従事していた業務の内容を確認する際「履歴」の中の職務経歴等が重要な資料となります。
また、この他にも労働契約締結時の労働条件と実際の労働環境との食違いによってトラブルが発生した際の事実確認の手段としても利用することができます。
なお、ご質問後段の「本籍」の記載については、現在、必要記載事項から除外されておりますので、記載の必要はありません。
カテゴリー:採用・雇用
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