中途採用者に支払う支度金から源泉税や社会保険料を控除すべきでしょうか?
スカウトした中途採用者に「支度金」の名目で一時金を支払おうと思っていますが、この「支度金」についても所得税の源泉控除を行なう必要があるでしょうか。
また、社会保険料の扱いはどうなるのでしょうか。
上記「中途採用者に支払う支度金から源泉税や社会保険料を控除すべきでしょうか?」に対する回答
採用時の一時金は、その支給目的や金額によって税法上の扱いが異なります。
採用時に就職者に支払う一時金には支度金、仕度金、契約金、スカウト料、引抜料、準備金など様々な名称のものがありますが、名称のいかんにかかわらず、その一時金の支払の目的や金額によって所得税法上の扱いがことなります。
(1)雇用契約を締結することにより支払われる契約金的性質の一時金は課税されます。
スカウト人事などで中途採用を行なった場合「引抜料」「スカウト料」「支度金」等の名目で、契約金として一時金を就職者本人に支払うというような場合には、「労務等の提供を約する」ことにより支給された一時金として、その名目のいかんにかかわらず就職者の所得とみなされ、課税対象となります。
したがって、この一時金の支給の際に支払金額の10%、さらに100万円を超える部分については20%に相当する所得税を源泉徴収しなければなりません。
なお、このような一時金は税法上、「給与所得」ではなく「雑所得」として扱われるため、年末調整の対象からは除外され、原則として本人が確定申告を行なって源泉徴収された所得税を精算することになります。
(2)実費弁償目的で支払われる一時金は非課税ですが、「通常必要であると認められる範囲」を超える場合には、超える部分についてのみ課税扱いになります。
「就職に際して支出する費用」の具体的例としては就職に伴う転居費用等がありますが、転居に必要な運賃や宿泊料、引越料など「通常その転居に必要とされる範囲内」であり、実費を弁償する目的の支給であれば就職者の所得とは扱われず、課税されません。
ただし、「転居地までの距離等にかかわらず一定額を支給する」というような支給基準に基づいて支給した場合には、実費弁償目的とみなされず、雑所得として扱われ、非課税にならないケースもありますので注意が必要です。
また、一時金の支給額が通常必要とされる範囲を超える場合は、その超える部分についてのみ?の契約金と同様、就職者の雑所得として課税されます。
(3)支度金は社会保険料や労働保険料の対象にはなりません。
支度金は労働の対償として支給されるものではありませんので、保険料等の算定の基礎となる労働保険上の賃金や社会保険の報酬には含まれず、社会保険料の対象とはなりません。
カテゴリー:採用・雇用
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