契約社員の労働契約は、必ず自動更新しなければならないのでしょうか?

 この度、事務の契約社員の契約期間の満了に伴い、契約更新をしないことにしました。
 そこで、契約書の文言どおりに契約期間満了2ヵ月前に契約打ち切りの通知をしたところ、「契約期間満了後は"自動更新"するという約束で仕事してきたのに、納得がいかない」と言ってきました。

 契約社員の雇用契約は、自動更新されて然るべきものなのでしょうか。

 なお、当該雇用契約では期間は1年間(昨年1度だけ更新しました)としており、労働契約書には、自動更新の文言はありません。

上記「契約社員の労働契約は、必ず自動更新しなければならないのでしょうか?」に対する回答

 契約社員は一般に、1年以内(高度専門職は最初の契約は3年)の期間を定めて雇用する社員のことをいいます。
 したがって、繰り返し契約更新してきた契約社員の契約を突然打ち切るのでなければ、契約期間満了とともに雇い止めとしても解雇には当たらず、特に問題となることはありません。

 契約社員とは、一般に、期間の定めのある労働契約によって雇用する労働者のことをいいますが、期間の定めのある労働契約を締結する場合には、労働基準法は、不当な人身拘束を排除する趣旨から、原則として、契約期間を1年(高度専門職については最初の契約は最長3年、60歳以上の者は3年)を超える期間とすることはできないこととしています(同法第14条)。

 ただし、労働契約に自動更新条項(「当事者のどちらかが反対の意思表示をしない場合は、当該契約は更新されたものとみなす」旨の定め)がある場合には、反対の意思表示をしない限り、契約は自動的に更新されます。

 したがって、労働契約で自動更新の定めをしていないときは、契約期間満了とともに雇い止めとしても差し支えありません。

 ただし、繰り返し労働契約を更新してきた場合に契約を突然打ち切るときは、解雇とみなされることがあります。
 なぜなら、労働契約が期間の満了ごとに更新を重ねて、期間の定めのない契約と実質的に異ならない契約となっていた場合に、契約更新を打ち切ることは、実質的には解雇の意思表示にあたるとみなされるからです(昭49.7.22 最高裁第一小法廷判決「東芝柳町工場事件」参照)。

 このような場合には,一定の合理的な理由があること、また、解雇手続き(30日前の予告または平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払い)が必要となります(この点について、パートタイム労働法第8条に基づく「指針」では、「期間の定めのある労働契約の更新により1年を超えて引き続き短時間労働者を使用するに至った場合であって当該労働契約を更新しないときは、少なくとも30日前に更新しない旨を予告するように努めるものとする」ことを事業主の努力義務としています)。

 ところで、ご質問の場合、労働契約書に自動更新の文言はなく、また、一度しか契約を更新していないこと、さらに、契約書の文言どおり2ヵ月前に予告したとのことですので、上記の裁判例に見るような「解雇」には当たらないものと考えられます。

 また、仮に、「解雇」に当たるとしても、「2ヵ月前に予告」されていますので解雇予告手続きとしても十分です。

 なお、「契約期間は"自動更新"するという約束があった」という労働者の弁が、最初の労働契約時に口頭で約束されたものであるのか、本人の単なる誤解であるのかはご質問からは明らかでありませんが、仮に前者の場合には、口頭での約束も契約になりますので、使用者側の責任が問われることもありえます。

 しかし、ご質問のケースでは、契約が文書で交わされていますので、問題はないものと思われます。

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