会社供与の組合事務所エアコン修理費を会社が負担すると、「経費の援助」として不当労働行為でしょうか

 2年ほど前、会社の都合により、組合事務所を同一敷地内の別の場所に移転してもらいました。

 そのとき、会社負担でエアコンを設置しましたが、このほどそのエアコンが故障してしまいました。

 組合は「エアコンは会社が設置したのだから、その修理費は会社負担とすべき」と主張していますが、この場合、会社が負担すると不当労働行為になるのではないでしょうか。

上記「会社供与の組合事務所エアコン修理費を会社が負担すると、「経費の援助」として不当労働行為でしょうか」に対する回答

 労働組合に「最小限の広さ」の事務所を供与する場合、建物付属物であるエアコンは「当該事業所に社会通念上当然含まれると考えられる備品」と解されますので、その修繕費を会社が負担しても「経理上の援助」にはならず、不当労働行為には該当しません。

 しかし、会社が必ず負担しなければならないということでもありませんので、結局、労使交渉の中で決定することになります。

 労働組合法(以下「法」という)第2条第2号は「団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの」は、労組法上の「労働組合」に該当しないとしています。

 ただし、「最小限の広さの事務所の供与」は、この「経理上の援助」とみなさないこととしています。一方、法第7条第6号は「労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること」を、不当労働行為として禁止しています。

 ご質問の組合事務所のエアコン修理費の負担が、ここでいう「経費援助」として不当労働行為になるかどうかは問題となるところです。

 しかし、組合事務所に設置されたエアコンは、建物に付属した一体のものと考えられます。

 この点について、行政解釈では「最小限の広さの事務所の供与」には「当該事務所に社会通念上当然含まれると考えられる備品を必ずしも除外する趣旨ではない」(昭33.6.9労発第89号)としており、エアコンの修理費を会社が負担したからといって、不当労働行為には当たらないものと解されます。

 しかし、エアコンが建物の付属物だからといって、その故障のため組合事務所として使用することが不可能になるということではなく、会社が負担すべき義務があるというわけでもありません。

 これは「最小限の広さ」という概念には「最小限の設備を持つ」ということを意味するものと解されるからです。

 したがって、組合の要求に応えるかどうかは、労使の協議に委ねられるべき事項ということになります。

 したがって、その要求に応えるかどうかは、労使間の協議の中で決定すればよいものと思われます。

カテゴリー:労使関係

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