従業員の過半数代表者について法令等で定められていることを教えて下さい

 就業規則の作成・変更時に意見を聴くこととされている従業員の過半数代表者について、その任期や具体的な役割等について法令に定められているのでしょうか。

 また、法令に定めがない場合、過半数代表者の任期や役割等を会社が定めることは可能でしょうか。

上記「従業員の過半数代表者について法令等で定められていることを教えて下さい」に対する回答

 過半数代表者の役割については、労働基準法施行規則で「法に規定する協定等をする者」と定められていますので、それ以外の役割を定めることはできません。

 また、任期については法令で定められていませんが、労働者側の同意が得られない限り、会社が任期を定めることはしないほうがよいでしょう。

 平成11年4月に労働基準法施行規則(以下「施行規則」という)第6条が改正され、過半数代表者に関する事項が明確にされました(それまでは、行政解釈で示されていた)。

 これによって、過半数代表者は、
1.労働基準法第41条第2号に定める監督又は管理の地位にある者ではないこと、また、
2.投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者でなければならないこと
 と選出基準が明確にされました。

 そして、同第6条では、過半数代表者の役割について「法に規定する協定等をする者」と定めるとともに、過半数代表者が行う「協定等」の具体的なものとして以下の12項目をあげています。したがって、過半数代表者にこのほかの役割を負わせることはできません。

1.貯蓄金の管理(労働基準法第18条第2項)
2.賃金の一部控除(同第24条)
3.1カ月単位の変形労働時間制(同第32条の2)
4.フレックスタイム制(同第32条の3)
5.1年単位の変形労働時間制(同第32条の4第1項、第2項)
6.1週間単位の非定型的変形労働時間制(同第32条の5)
7.休憩時間の一斉付与義務の除外(同第34条第2項ただし書)
8.時間外労働・休日労働(同第36条第1項、第3項、第4項)
9.時間外労働みなし労働時間制(同第38条の2)
10.裁量労働みなし労働時間制(同第38条の3)
11.年次有給休暇を健康保険の標準報酬日額で支払う場合(同第39条第5項、第6項ただし書)
12.就業規則の意見聴取(同第90条)

 なお、ご質問の就業規則の意見聴取も「協定等」に含まれていますので、過半数代表者の役割の一つとなります。

 ところで、ご質問後段の過半数代表者の任期については、法令では特に定められていませんが、過半数代表者は、本来、労使協定を締結する事由が発生するごとに選出されるべきものと考えられますので、会社が一方的に過半数代表者の任期を定め、過半数代表者を固定することは望ましくないでしょう。

 しかし、「協定等」が複数ある場合には、その都度選出することは繁雑になりますので、便宜上、労働者側の同意を前提に、過半数代表者の任期を定めることは差し支えないものと解されます。

 ただし、その場合にもあまり長期間の任期を定めることは避けるべきでしょう。

カテゴリー:労使関係

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