年次有給休暇の統一基準日を変更する場合、付与日数を期間で按分することはできますか?

 当社では、決算期の変更に伴って、年次有給休暇の統一基準日を4月1日から1月1日に変更したいと思っています。
 この場合、付与日数を次のいずれかの方法で期間按分して付与することができますか。

 例えば、従前の基準で、今年4月1日の統一基準日に11日付与する社員に対して、
1.今年の4月1日に期間按分して9日、変更後の統一基準日である来年の1月1日に次年度の所定付与日数である12日を付与(再来年の1月1日には14日付与)する、
2.今年の4月1日に所定の付与日数である11日を、変更後の統一基準日(来年の1月1日)に期間按分して9日を付与する(この場合にも再来年の1月1日には14日付与する)
 などが可能でしょうか。

上記「年次有給休暇の統一基準日を変更する場合、付与日数を期間で按分することはできますか?」に対する回答

 統一基準日を変更する際には、変更前の統一基準日から1年を経過するまでに、法定の付与日数を下回らない日数の年次有給休暇を付与しなければなりません。

 年次有給休暇の付与日は、原則として、従業員各人の入社日を起算日として計算した継続勤務6ヵ月後、1年6ヵ月後、2年6ヵ月後…というように入社日に応答する日(以下「基準日」という)とされています(労働基準法第39条第1項および第2項参照)。

 しかし、各人の入社日を起算日として年次有給休暇を付与するのでは、事務処理が煩雑になります。

 そのため、基準日を統一して、全従業員の年次有給休暇の付与を斉一的に取扱うことが、次の要件を満たす場合には認められています。

1.「次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ又はそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること」(平6.1.4基発1号)、
2.「法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすものであること」(前掲通達)。

 なお、分割して付与できるのは初年度付与分についてのみであることに注意が必要です。

 以上の要件は、貴社のように一度定めた統一基準日を変更する場合にも適用されます。

 したがって、ご質問1のケースは新しい統一基準日である今年の4月1日に11日の年次有給休暇を付与すべきところを9日しか付与していませんから、認められません。

 また、2のケースは、本来であれば来年の4月1日(変更前の基準日)には、12日の年次有給休暇を付与しなければならないわけですから、統一基準日を1月1日に繰り上げた場合にも、按分した日数である9日では足りません。

 つまり、貴社のケースでは、今年の4月1日に11日付与したのち、新しい統一基準日である来年の1月1日に12日、再来年の1月1日に14日…の形で付与しなければならないわけです。

カテゴリー:休日・休暇

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