代休と年次有給休暇のどちらが優先しますか?

 当社では時間外労働が1日の所定労働時間(8時間)に達した場合には、代休を取得させるようにしていますが、この度代休が溜まっている社員が
「代休より先に年休を取得したい。代休より年休のほうが優先するのではないか」と言ってきました。

 会社としては、代休を優先させて残業代の削減を図りたいと思っているのですが、代休と年休とではどちらが優先するのでしょうか?

上記「代休と年次有給休暇のどちらが優先しますか?」に対する回答

 どちらが優先するということではなく、原則として、社員が請求した方を取得させなければなりません。

 ご質問では、残業が一定時間に達した場合には代休を取得させているようですが、ご質問について考える前に、まず、代休についての性格について明らかにしておく必要があります。

 代休とは、残業や休日労働に対して就業規則の定めに基づいて追加的に与える休日ですので、できる限り休日労働等に近接した日に取得させる必要がありますが、代休を与える場合にも、時間外や休日の労働に対しては(割増)賃金を支払わなければなりません。

 したがって、代休を優先的に取得させても残業代の削減にはなりません。

 ただし、代休付与の基礎となった残業や休日労働に対して、(割増)賃金がすでに支払われている場合には、代休を取得した日については無給としても差し支えありません。

 ところで、代休と年次有給休暇(以下「年休」という)の違いについてですが、代休は、上記のように就業規則等で任意に付与するものですが、年休は、労働基準法第39条によって強行的に付与される休暇です。

 このように、代休と年休では法的性格が異なります。

 しかし、代休の場合にも、付与した以上、労働者にとって一つの権利となりますので、その取得に当たっては、取得日を指定する等の特約がない限り、年休と同様に労働者が指定した日に与えなければなりません。

 したがって、代休と年休のどちらを優先して取得するのかは労働者の選択によることになり、特約(就業規則の定め)がない限り、会社が指定することはできません。

 ただし、年休は付与日から2年で時効により消滅しますが、代休の時効を定めていないとき(定めるかどうかは任意)は、代休を優先する旨定めることは望ましくないでしょう。

 なぜなら、年休の取得がなされないときは、付与日から2年で時効消滅してしまうからです。

カテゴリー:休日・休暇

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