試用期間中の者にも、年次有給休暇や生理日の休暇を与えなければなりませんか?
当社では、2ヵ月の試用期間を設けておりますが、試用期間中の者にも年次有給休暇を与えなければなりませんか。
また、生理日の休暇についてはどうでしょうか。
上記「試用期間中の者にも、年次有給休暇や生理日の休暇を与えなければなりませんか?」に対する回答
年次有給休暇は、試用期間中であるかどうかを問わず、継続勤務6ヵ月未満の者には与える義務はありません。
ただし、入社日や試用期間満了時に「前倒し付与」したり、「分割付与」をすることはできます。
また、生理日の休暇は生理のため著しく就業が困難な女性が請求したときには、試用期間中でも与えなければなりません。
労働基準法第39条第1項は、「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と定めています。
したがって、採用後6ヵ月を経過するまでは、法律上は年次有給休暇を与える義務はありません。
ただし、入社初年度に限り、年次有給休暇を入社日や試用期間満了後に前倒しして与えることはできます。
これには、入社6ヵ月経過後の最初の基準日より前に法定の付与日数全部を前倒しして付与する「前倒し付与」と、一部を前倒しし、その後の最初の基準日に残りの日数を付与する「分割付与」の二つの方法があります。
具体的には、4月1日の入社日に初年度の10日分全部を与えるのが「前倒し付与」、10日のうち一部、入社日にたとえば5日を前倒しして与え、10月1日に残りの日数を付与するのが「分割付与」です。
ただし、前倒し付与または分割付与をした場合には、最初の付与日から1年を経過した日までに、次年度分の年次有給休暇を与えなければならないことに注意が必要です(平6.1.4基発1号参照)。
したがって、この例でみますと、いずれの場合にも翌年の4月1日には次年度分の11日を付与することが必要となるわけです。
次に、生理日の休暇についてですが、労働基準法第68条は、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定めています。
ここで、「就業が著しく困難」かどうかの判断は、同僚の証明で足りるとされており、医師の診断まで求めることは避けるべきとされています(昭63.3.14基発150号)。
なお、生理日の休暇を有給とするか無給とするかは、労働協約、就業規則等で定めるところによります(昭63.3.14基発150号)。
以上のように、年次有給休暇は、入社から6ヵ月経過するまでは必ずしも与える必要はありませんが、生理のため著しく就業が困難な女性が請求した場合には、たとえ試用期間中でも必要な(請求した)日数の休暇を与えなければなりません。
カテゴリー:休日・休暇
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