半日年休制度の内容と導入に際しての注意点を教えてください

 当社では半日年休制度の導入を検討していますが、詳しい内容と導入に際しての注意点があれば教えて下さい。

上記「半日年休制度の内容と導入に際しての注意点を教えてください」に対する回答

 年次有給休暇の本来の目的を損なわない範囲で半日単位の取得が認められていますので、取得に関する事項を就業規則に定めて運用するようにしてください。

 労働基準法第39条に定められている年次有給休暇は、心身の疲労を回復させることを目的としたものであることから、原則として、「1労働日を単位」として付与するものです。

 したがって、半日単位での付与については、従来、「使用者は、労働者に半日単位で付与する義務はない」(昭24.7.7基収1428号、昭63.3.14基発150号)として、労働者から半日の年次有給休暇の請求があった場合に、使用者はそれを認める義務はない(逆にいえば、認めても違法ではない)という解釈がなされていました。

 その後、「ゆとり休暇推進要綱」において労使が取り組むべき休暇取得促進策の一つとして、半日単位での年次有給休暇の導入の検討が掲げられたことを受けて、「年次有給休暇の半日単位での付与については、労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用される限り問題がない」(平7.7.27基監発33号)との通達が出され、年次有給休暇の目的を損なわない範囲でならば、半日単位の取得、付与が認められることとなりました。

 以上の点も踏まえて、年次有給休暇の半日単位での付与制度を導入する場合の主な留意点を挙げると次のとおりです。

 まず、「本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で」とされていることから、例えば、毎年付与する年次有給休暇の5日分までなどのように、半日単位の取得の対象とする日数を一定の範囲に限定しておくことが望ましいものと思われます。

 次に、「半日」の単位を、昼の休憩時間帯の前後とする、あるいは、4時間とするなどのようにその区分について明確にしておく必要があります。

 また、例えば、午前の半日の年次有給休暇を取得した場合で、その日の終業時刻を超えて勤務をした場合に、どの時点から割増賃金の対象とするのかが問題となります。

 労働基準法では、1日の実働時間が法定労働時間(8時間)を超えた場合に割増賃金を支払えば足りますが、法定どおりとするのか、所定の終業時刻を超えた時間について割増賃金を支払うとするのかを明確にしておきます。

 最後に、年次有給休暇に関する事項は、就業規則の「絶対的必要記載事項」とされていますので、半日単位の年次有給休暇の取得、付与方法について、就業規則等に規定しておく必要があります。

カテゴリー:休日・休暇

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