年次有給休暇は、事前に届けがなければ認めなくてもよいでしょうか?

 当日になって電話で年次有給休暇の申請があったり、また、病欠などでいったん欠勤扱いとしたのち、年次有給休暇に振替の申請があった場合、会社としては、これを認めなければなりませんか。

上記「年次有給休暇は、事前に届けがなければ認めなくてもよいでしょうか?」に対する回答

 事前に届け出がなかった場合には、原則として、それを年次有給休暇として扱う義務はありません。

 事後に年次有給休暇に振り替えて、年次有給休暇として認めるかどうかは、各社の任意によります。

 労働基準法によれば、年次有給休暇は原則として従業員が請求した時季に与えなければならないものとされています。

 いつまでに請求をするのかなどの手続きについては、法令では、何も定められていません。
 したがって、任意に、請求手続きを定めればよいことになります。

 しかし、会社側には年次有給休暇の時季変更権がありますので、年次有給休暇の請求をしてから行使するまでの間に時季変更権を行使するかどうかの判断のための時間的余裕が必要です。

 したがって、具体的には、最小限「前日の終業時刻までとする」のが妥当と考えられます。
 「前日の終業時刻」までに請求があれば、時季変更権を行使する必要か否かを判断する最少限度の時間は確保されているといえるからです。

 一方、事後に年次有給休暇を請求した場合には、会社は、これを年次有給休暇として扱う義務はありません。

 年次有給休暇は、原則として労働日を単位として与えるものですから、当日になってから請求された場合、それがたとえ始業時刻前の請求であったとしても、事後の請求になりますので、これを拒否することができます。

 ただし、会社が、この当日の請求に応じるとしても何ら問題はありません。

 一般的には、病気、けがなどのケ?スのように、前日までに年次有給休暇の請求ができなかったために、当日の朝、電話で請求をしてきた場合にも、その請求を認めている会社が多いようです。

 また、一度欠勤として処理した後に、本人から年次有給休暇への振替の請求があった場合には、会社はそれを認めることとしても差し支えありません。

 しかし、従業員からの申し出がないのに、一方的に会社が欠勤日を年次有給休暇に振り替えることはできません。

 いずれにしても、事後の請求を認めるか否かを制度的に明確にしておく必要があり、認めたり、認めなかったりするようなことがないようにする必要があります。

カテゴリー:休日・休暇

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