雇用調整助成金を受けながら、早期退職優遇制度を導入してもよいでしょうか
昨年10月より雇用調整助成金を受けていますが、業績が一層悪化してきたため、早期退職優遇制度の導入を検討中です。
このような場合、法的に何か制約があるのでしょうか。
上記「雇用調整助成金を受けながら、早期退職優遇制度を導入してもよいでしょうか」に対する回答
早期退職優遇制度を実施しても雇用調整助成金の受給資格には影響はありません。
雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化等に伴い、事業活動の縮小を余儀なくされて、次のような処置を行った事業主に対して支給される助成金(雇用保険法施行規則第102条の3)です。
1.休業して、従業員に休業手当を支払った場合
2.従業員の教育訓練を行って通常の賃金とおおむね同じ額の賃金を支払った場合
3.従業員を出向させて、出向前とおおむね同じ額の賃金を支払った場合
このように、雇用調整助成金は、休業手当及び教育訓練や出向に対して支払う賃金負担額の一部を助成するもので、失業の予防を目的として設けられた制度です。
一方、早期退職優遇制度とは、定年年齢到達前に退職を選択する従業員に対して、本来の退職金に一定額を上乗せして支給するなどの優遇措置を設けて、退職を促進しようという制度で、従業員本人に定年退職の時期を前倒しで選択させることから選択定年制と呼ばれることもあります。
ご質問の趣旨は、失業の予防を目的として支給される雇用調整助成金を受給しながら、一方で早期退職優遇制度を導入することが可能かどうかという問題を懸念されてのことかと思われますが、雇用調整助成金を受給するには、事業にそれなりの厳しい経営状況があるわけですから、早期退職優遇制度を導入することもありうるわけです。
したがって、原則として早期退職優遇制度を導入したからといって、ただちに助成金の受給資格に影響することはありません。
ただし、助成金の申請先である公共職業安定所の担当者によって対応が多少異なる場合がありますので、この制度を導入する際には、事前に担当者に相談しておいたほうがよいでしょう。
早期退職優遇制度で退職した従業員については、自己都合で退職した従業員の場合と同様に、退職日の次の日から助成金の対象人数から除外されることはいうまでもありません。
カテゴリー:人事制度
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