派遣社員が年次有給休暇を請求した場合に時季変更権を行使できますか?
先日、派遣社員が3日間の年次有給休暇を取得したいので休ませてほしいと申し出てきました。
しかし、その派遣社員の職場では納期の直前で繁忙を極めているため、時季変更権を行使したいと思っているのですが、可能ですか。
上記「派遣社員が年次有給休暇を請求した場合に時季変更権を行使できますか?」に対する回答
年次有給休暇の時季変更権は派遣元企業にありますので、派遣先企業が時季変更権を行使することはできません。
派遣先企業の業務が忙しいときに、派遣社員が、年次有給休暇を取得したい旨を申し出た場合、派遣先企業が時季変更権を行使して、年次有給休暇を他の日に変更することができるかどうかは問題のあるところです。
派遣社員にも、当然労働基準法が適用されますから、6ヵ月継続勤務した派遣社員が年次有給休暇の請求をしたときは、時季変更権を行使しない限り、請求した時季に与えなければなりませんが、派遣社員に対して年次有給休暇を付与するのは派遣元企業です。
したがって、派遣社員が年次有給休暇を取得しようとする際の請求先は、派遣元企業となり、時季変更権も、年次有給休暇の付与者である派遣元企業にあります。
ところで、年次有給休暇の時季変更権は「事業の正常な運営を妨げる場合」に認められるものとされていますが、派遣社員の年次有給休暇に対する時季変更権について、行政解釈では、「派遣社員が年次有給休暇を取得することによって派遣先の事業の正常な運営を妨げる場合であっても、派遣元の事業の正常な運営を妨げる場合に当たらない場合もある」ことから、「代替労働者の派遣の可能性も含めて派遣元の事業の正常な運営を妨げるかどうかを判断する」としています。
つまり、派遣社員に対して時季変更権を行使できるのは、派遣社員が年次有給休暇を取得することによって、派遣元企業の事業の正常な運営が妨げられる場合であって、仮に「派遣先の事業の正常な運営を妨げる場合」でも、派遣元企業は、「代替労働者の派遣」などの努力をしなければならないということです。
したがって、少なくとも、派遣先企業が時季変更権を行使する余地はありません。
派遣元に代替要員の派遣を要請するなどの方法で対処するようにして下さい。
カテゴリー:派遣
アクセスランキングトップ10
次には、アクセスの多いQ&A記事のトップ10を表示しています。
- (現在集計中)