派遣社員を正社員として採用してもよいでしょうか?
経理担当の女子社員が育児休業をとったので、その期間中の代替要員として、1年契約で派遣会社から社員を採用したところ、育児休業があと2ヵ月ほどで終わるその女子社員から、復職できないと言ってきました。
派遣社員は、業務にもすっかり慣れていますので、この際、正社員として雇入れたいのですが、かまわないでしょうか?
上記「派遣社員を正社員として採用してもよいでしょうか?」に対する回答
派遣契約の中途で、正社員にすることはできませんが、派遣 契約終了後なら正社員として採用することができます。
派遣社員を正社員として雇入れようとする場合に問題となる点は、派遣社員を雇入れる時期です。
ここでは以下の2つのケースについて見てみることにします。
(1)派遣会社との派遣契約の満了後に雇入れる場合
(2)派遣契約を中途解除して正社員として雇入れる場合
(1)については、労働者派遣法では、派遣元は、派遣契約が終了した後は、派遣先が、派遣社員を自社の社員として雇入れることを禁止する契約を結ぶことはできないとしています。
また、憲法第22条は、労働者に職業選択の自由を保障しています。したがって、派遣契約の満了後であれば、派遣社員を自由に雇い入れることができます。
一方、(2)の場合は、問題があります。
というのは、派遣契約を契約の途中で解除することができるのは、派遣元か派遣先のどちらかが債務の履行を怠ったり、履行の催告に誠意を示さないなど派遣契約に違反した場合、また、派遣契約の中で契約解除を定めた条項にあてはまる場合に限られるからです。
したがって、派遣社員を正社員にすることは、これらに合致しませんので、派遣契約を契約期間の途中で解除する理由とはなり得ません。
もし、無理に契約解除を行おうとすれば、派遣元企業との関係を悪化させるばかりか、場合によっては、契約違反として損害賠償を求められる可能性もあります。
また、派遣社員を正社員として雇入れるために派遣契約を途中で解除することは、会社のイメージを悪化させ会社の信用を失うなど、さまざまなリスクをともなうことになりますので、絶対に避けるべきです。
カテゴリー:派遣
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