福利厚生としてのレクリエーション費用を現金で支給した場合、税法上、非課税扱いになりますか?

 当社では、趣味の多様化に対処するために、社員全員を対象として一人当たりの金額の上限(年間10万円)を定め、その範囲内で、旅行、映画、寄席、観劇、ボーリング、スポーツ観戦、レストランでの食事、観光船、釣り舟などのレクリエーション費用、及び、その際の食事代を社員の申請に基づいて現金支給する方式を検討していますが、これらの費用は税法上、福利厚生費として非課税の扱いになりますか。

上記「福利厚生としてのレクリエーション費用を現金で支給した場合、税法上、非課税扱いになりますか?」に対する回答

 福利厚生の費用を現金で支給すると給与所得あるいは交際費とみなされ、課税対象となります。

 なお、レクリエーション費用は、税法上は原則として現物で支給する場合でも課税対象となりますが、対象者を社員全員とするもので、支出された費用の額が社会通念上必要と認められる金額であるなど一定の要件を満たす場合には、非課税扱いとなるものもあります。

 一般に、会社の経理処理上、福利厚生目的で発生した費用を福利厚生費(法定福利費、福利施設負担費、厚生費)として計上したものであっても、税法上は、その福利厚生費についての規定の有無、支払い方法、負担割合などによって、給与とみなされて従業員に所得税が課されたり、交際費とみなされて法人税が課されることがあります。

 労働基準法上、給与となるか福利厚生費となるかは、労働の対償として支払われるかどうかによって判断されますが、税務上は別の基準によって判断されるわけです。

 ご質問のケースについて見てみますと、レクリエーション費用を個人の申請に基づいて現金で清算するということですが、福利厚生費を現金で支給する場合には、給与所得あるいは交際費とみなされ、課税の対象となります。

 なお、レクリエーション費用については、現物で支給されるものであっても、税法上は、原則として課税の対象となります。

 ただし、
1.従業員の環境を精神面、施設面、経済面で整えることによって、気分よく能力を十分に発揮してもらうために支出される費用であること、
2.従業員や役員全員を対象に一律に支出されること、
3.支出された費用の額が相応の金額(社会通念上、通常必要とされる額、すなわち世間一般に行われている行事に支払われる額)であること、
 などの要件を満たす場合には非課税扱いとなるものもあります。

 したがって、税務調査などで福利厚生費が交際費や給与とみなされないためには、福利厚生目的と照らして異常な内容とならないよう、給与課税されない現物給与や経済的利益の限度や範囲を心得ておく必要があります。

 ところで、ご質問の方式に似たものとして、カフェテリアプランという福利厚生制度がありますが、この制度は企業が複数の福利厚生メニューを従業員に提示し、従業員が一定の持ち点の範囲内でその中から必要なものを選択するというもので、選択型企業福利厚生制度とも呼ばれています。

 このプランの導入メリットには、
1.従業員が自らの選好に従ってメニューを選択できるため、多様な要求に公平に対応でき、モチベーションに役立つ、
2.多様なニーズに応えられ、かつ、無駄な給付を整理し、拠出金額をあらかじめ定めることでトータルとしての企業厚生に係るコストをコントロールできる、
3.福利厚生費用の総額を長期的に管理しやすい、
 などといった点があります。

 したがって、ご質問のケースについても、このプランのメリットを十分に活用してみてはいかがでしょうか。

 なお、課税・非課税の判断は、プラン全体ではなく個々のメニューごとになされますので、プランを導入する場合には、税務署に個々のメニューについて確認を行いながら設定していくとよいでしょう。

 ただし、この場合にも、金銭給付との選択の余地を残すプランはそのすべてが課税対象となりますので注意が必要です。

カテゴリー:福利厚生

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