法定福利費の計算のしくみを教えて下さい

 法定福利費(事業主負担分)について、実際の計算をどのように行うのかそのしくみについて教えて下さい。

上記「法定福利費の計算のしくみを教えて下さい」に対する回答

 法定福利費の主なものには、労働保険と(狭義の)社会保険の保険料がありますが、労働保険料は1年を単位として労働者全員の賃金総額を基準に算出するのに対して、(狭義の)社会保険料は月を単位として1人ずつの報酬をもとに算出します。

 法定福利費とは、労災保険、雇用保険(この2つを総称して「労働保険」という)、健康保険、厚生年金保険(この2つを総称して「(狭義の)社会保険」という)の保険料、児童手当拠出金、身体障害者雇用納付金、労働基準法の休業補償などのうち事業主が支払う福利厚生費をいいます。

 これらのうち「労働保険」と「(狭義の)社会保険」とでは、実際の計算方法や納付の時期が異なります。

 労働保険の保険料は年に1回、使用するすべての労働者に支払う賃金の総額をもとに保険料を計算し、年1?3回に分けて納付することになっています。

 これに対して、社会保険の保険料は、毎月1人ひとりの報酬を基準として計算し、納付することになります(ただし、賞与からも一定の率の保険料を納付しなければなりません)。

 これらの法定福利費の算出は、次のようにして行います。

 まず、労働保険のうち、労災保険の保険料は、原則的には、事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額に労災保険率を乗じて算出し、その全額を事業主が負担することとされています。この労災保険率は、事業の種類により1000分の6から1000分の134までの範囲で定められています。

 また、雇用保険の保険料は、賃金総額に雇用保険率を乗じて計算します。雇用保険率は、「農林水産の事業(一部例外あり)」及び「清酒製造の事業」では1000分の13.5(このうち事業主負担は1000分の8.5)、「建設の事業」では1000分の14.5(このうち事業主負担は1000分の9.5)、それ以外の「一般の事業」では、1000分の11.5(このうち事業主負担は1000分の7.5)と定められています。

 次に、(狭義の)社会保険のうち、健康保険と厚生年金保険の保険料については、労使折半で支払います。

 まず、健康保険法における保険料は、「標準報酬月額」(事務の簡便化を目的として被保険者が受ける報酬の額をいくつかの等級に区分した仮の報酬月額にあてはめたもの)に保険料率を乗じて算出され、事業主がその半分を負担します。この保険料率は、政府管掌健康保険と健康保険組合とで異なり、政府管掌健康保険では1000分の85、健康保険組合では1000分の30から95までの範囲で健康保険組合ごとに定められています。

 次に、厚生年金保険の保険料は、「標準報酬月額」に保険料率を乗じて算出します。保険料率は、原則として1000分の173.5とされており、事業主がその半額を負担することとされています。

 また、児童手当法における児童手当拠出金は、「標準報酬月額」の1000分の1.1に相当する額を事業主が全額負担することになっており、身体障害者雇用納付金については、常時雇用する労働者数が300人を超える事業に限って、法定雇用率(一般事業主の場合、56人ごとに最低1人)を達成していない場合に不足する障害者数1人につき月額50,000円を納付しなければならないこととされています。

 最後に、労働基準法による法定の休業補償は、業務上の傷病によって療養のため労働することができない期間のうち最初の3日間(4日目からは、労働基準法による休業補償が支給される)について、事業主が当該労働者に補償することとされているもので、その額は「平均賃金」(算出事由発生日以前3ヵ月間に支払われた賃金の総額をその日数で除したもの)の6割とされています。

カテゴリー:福利厚生

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