業務外での非行を理由に懲戒処分にすることはできますか?

 ある社員が勤務時間外に飲酒運転し警察に捕まってしましました。

 幸い事故などには至らず本人も十分反省しているようですが、何らかの懲戒処分に付することはできるでしょうか。

上記「業務外での非行を理由に懲戒処分にすることはできますか?」に対する回答

 会社の信用を失墜させる行為や犯罪行為があった場合などを除き、業務外の行為に対しては原則として懲戒処分することはできません。

 原則的には、従業員の業務外の非行に対して、会社が懲戒処分することはできません。

 なぜなら、懲戒は、労働者と使用者(会社)との労働契約に基づき、当該労働契約に違反したときにのみ行うことができるものだからです。

 労働者と使用者との間において締結される労働契約の効力は、労働者が使用者に対して行う労務の提供そのもの、あるいは、業務に関連する行為に対してのみ及ぶものであり、業務外の行為に対しては及びません。

 したがって、例えば、社員がギャンブルに凝り過ぎたあまり妻子に逃げられたり、不倫行為等による離婚騒動など、社会通念(道徳)上好ましくない行為があったとしても、それらに対して、ただちに会社が懲罰を課すことはできません。

 しかし、業務外での行為でも、社会的に影響を与えるような行為であって、会社の信用を失墜させたり、名誉を著しく汚すような行為を行った場合には問題は違ってきます。

 この場合には、その非行行為は会社に何らかの損害を与えたことになりますし、損害を被った会社としては、その程度に応じて懲罰を課すことができます。

 そのほか、社員が刑法上の犯罪を犯したときなどには、それが業務外の行為であっても、罪状によっては懲戒解雇などの厳しい処分に付することもできます。

 ご質問のケースは、飲酒運転による交通法令違反をしたということですが、幸い、事故にまでは至らなかったとのことですので、上記のような会社の信用や名誉を失墜したことにはなりません。

 したがって、一般的には懲戒事由に該当するものではないと思われます。
 口頭注意で十分に反省を促す程度にしておくべきでしょう。

カテゴリー:懲戒・トラブル

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