パートタイマーの賃金を時給制から日給制に変更した場合、どのような問題がありますか?

 当社では、現在、パートタイマーの賃金を時給制で計算していますが、これを日給制に改めた場合、どのような違いが出てくるのでしょうか。

 また、その際の留意点についても教えて下さい。

上記「パートタイマーの賃金を時給制から日給制に変更した場合、どのような問題がありますか?」に対する回答

 時給制としても日給制としても、労働時間の把握義務や労働時間に対して支払う賃金の額など基本的に違いはありませんが、日によって所定労働時間が変動する者や特に所定労働時間の短い者に対しては、時給制としたほうがよいでしょう。

 ご質問だけでは、なぜ、パートタイマーの賃金を時給制から日給制に変更しようとお考えになられたのかわかりませんが、結論から申し上げますと、労働時間の把握義務や実際の労働時間に対して支払う賃金の額(割増賃金を含む)など、基本的に違いはありません。
 このことについて少し詳しく見てみましょう。

 まず、1日の所定労働時間が一定である場合には、時給制、日給制どちらでも基本的に賃金の算出方法に違いはありません。
 したがって、一般的には、時給制から日給制に変更しても問題は生じません。

 ちなみに、これらの計算について具体例をあげて比較してみますと以下のようになります。
【日給制】
 日給:5,400円、所定労働時間:6時間、所定労働時間外の労働時間:1時間
・所定労働時間内の賃金 : 5,400円
・所定労働時間外の賃金 : 5,400円÷6時間×1時間=900円
 賃金額 → 5,400円 +900円=6,300円

【時給制】
 時給:900円、実労働時間:7時間
 賃金額 → 900円×7時間=6,300円

 しかし、1日の所定労働時間が日によって変動する場合には、日給制にすると計算が繁雑になります。

 例えば、日給制で1日の所定労働時間を6時間と定めているような場合、5時間しか労働しなかった日については1時間分の賃金を控除し、7時間労働した日については1時間分の賃金を加算するといった処理が必要となってくるわけです。

 このほかの留意点としては、日給制とした場合、最低賃金法による最低賃金の日額の適用を受けることになりますので、所定労働時間が特に短い者(他の労働者の所定労働時間の3分の2程度以下の者)であっても、行政官庁の許可を受けない限り、地域別、産業別最低賃金の両方の額を下回ることができません。

 例えば、東京都の場合、地域別最低賃金の日額は5,514円(平成11年10月1日現在)ですが、1日の所定労働時間が6時間、日給5,400円の場合には、最低賃金の日額を下回ってしまいますので、最低賃金の適用除外の許可を受けなければなりません。

 したがって、日によって所定労働時間が変動する者や所定労働時間が特に短い者については、日給制ではなく時給制としたほうがよいでしょう。

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