個人事業主に支払う配送運賃から所得税を源泉徴収する必要があるのでしょうか

 当社の業務の一つにスーパーへの納品業務がありますが、当社はこの業務を商品ごとに運送会社と個人事業主にそれぞれ依頼しています。

 個人事業主に支払う配送運賃については、配送数量単位で算出された請求金額を支払っていますが、その金額から所得税を源泉徴収する必要があるのでしょうか

上記「個人事業主に支払う配送運賃から所得税を源泉徴収する必要があるのでしょうか」に対する回答

 ご質問の配送運賃は、所得税法上の給与や報酬・料金にはあたりませんので、配送運賃から所得税を源泉徴収する必要はありません。

 所得税の源泉徴収義務について所得税法および租税特別措置法では、給与等や退職金、報酬・料金などを支払った場合には、支払者が所得税を源泉徴収し、納付しなければならないこととされています。

 したがって、ご質問の場合、配送運賃が源泉徴収をしなければならない給与等や報酬・料金に該当するかどうかが問題となります。

 そこで、配送運賃が源泉徴収が必要な給与等または報酬・料金に該当するのかについて検討してみることにしましょう。

 まず、貴社が支払う配送運賃が所得税法上の給与等に該当するかどうかですが、これについては貴社と個人事業者の間に雇用関係が結ばれている場合は、ご質問の配送運賃は給与等と考えられます。

 しかし、ご質問では個人事業者が配送数量ごとに運賃を算出し、貴社に請求しているとのことですから、配送運賃は個人事業者が設定しているものと考えられ、貴社と当該個人事業者との間に雇用関係に基づいて支払われる給与等には該当しないものと考えられます。

 なぜなら、所得税法上の給与等は、雇用関係が結ばれている場合には、労働条件の一つとして使用者側が定めて労働者に支払うものだからです。

 したがって、雇用関係がない以上、貴社が支払っている配送運賃は給与等には該当しないわけです。

 次に、配送運賃が報酬・料金に該当するかどうかですが、報酬・料金に該当するものについては所得税法第204条各号に制限列挙的に定められており、配送運賃はこの中には含まれていませんので、報酬・料金に該当しません。

 したがって、ご質問の配送運賃は、給与等、報酬・料金のいずれにも該当しませんので、配送運賃から所得税を源泉徴収する必要はありません。

 なお、配送運賃については個人事業者が確定申告にて所得税を申告・納付することになります。

カテゴリー:賃金・賞与

アクセスランキングトップ10

 次には、アクセスの多いQ&A記事のトップ10を表示しています。

  • (現在集計中)