目標達成者に支給するインセンティブは、支給日に在籍していない社員にも支払う必要がありますか?

 当社では、現在、四半期ごとに、売上目標を達成した者に対して一定の報酬を支払う、インセンティブ制度を実施しています。

 インセンティブは、当該3ヵ月実績確定後の翌月15日前後に支給しているのですが、第4四半期(3月末締め)の売上目標を達成した社員のひとりがインセンティブ支給前に退職しましたが、インセンティブを支払うよう求めてきました。

 この社員にも、インセンティブを支払う必要があるでしょうか?

上記「目標達成者に支給するインセンティブは、支給日に在籍していない社員にも支払う必要がありますか?」に対する回答

 インセンティブの支給は任意のものですので、支給日の前に退職した社員には支払わなくても差し支えありません。

 一定期間の目標を達成した者に対して、志気高揚のため、インセンティブとかペイバックなどの名称で一定の出来高目標を達成した者(部門)に対して報奨金を支払う企業は少なくありません。

 ご質問では、インセンティブ制度を設けている場合に、目標を達成した社員が支給日にすでに退職しているときにも、インセンティブを支払う必要があるかとの趣旨と思われますが、インセンティブを支払う要件について特に定めがない場合には、任意のものと考えられ、必ずしも支給日に在籍していない社員に支払う必要はないものと解されます。

 この点について、裁判例では、賞与に関して「支給日に在籍している者に対してのみ」支給する旨の取り決めを是としたもの(昭57.10.7最高裁第1小法廷判決「大和銀事件」)があります。

 したがって、今後、こうしたトラブルを避けるため、一定期間の売上目標を達成した者のうち、「支給日に在籍している者」に対してのみインセンティブを支給する旨の定めをしておかれたほうがよいでしょう。

カテゴリー:賃金・賞与

アクセスランキングトップ10

 次には、アクセスの多いQ&A記事のトップ10を表示しています。

  • (現在集計中)