誤って支払った住宅手当の返還を、給与天引きにしてもよいでしょうか?
ある従業員から過分な住宅手当が一定期間支払われていた旨の申し出があり、返還してもらうことにしたのですが、その際、給与天引きとすることはできるでしょうか。
上記「誤って支払った住宅手当の返還を、給与天引きにしてもよいでしょうか?」に対する回答
労使協定に定めがなければ、原則として給与天引きにはできません。
結論から言えば、労使協定によって過払い賃金があったときには給与天引きする旨の定めがなされていない限り、原則として給与天引きは認められません。
なぜなら、源泉所得税、住民税及び労働・社会保険料など法令で定められているもの、ならびに給与から控除することについて過半数労働組合あるいは労働者の過半数代表者との間で労使協定を締結したもの以外を給与から控除することは、労働基準法の「(賃金)全額払いの原則」に反するからです。
また、「全額払いの原則」は賞与にもあてはまりますので、賞与からの天引きにも同様の注意が必要です。
賞与もその支給条件等が就業規則に定められている場合には、労働基準法でいうところの賃金に該当するからです。
なお、過払い賃金を給与天引きする旨の労使協定が締結されていない場合でも、給与天引きによる相殺が、当該労働者の完全な自由意思によるものであるときには、必ずしも「全額払いの原則」の趣旨には反しません。
したがって、過払い分の住宅手当の給与天引きによる返還が従業員からの自由意思に基づくものであれば認められることになります。
カテゴリー:諸手当
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