年休申請が多く、業務に支障を来す場合、他の日に変更してもらえますか
年次有給休暇の申請が多く、業務に支障をきたすような場合、他の日に変更してもらうことができますか?
使い残しの年次有給休暇を、年度末の多忙な時季に請求する従業員が多くて困っています。
他の時季に変更してもらいたいのですが、どうすればいいでしょうか。
上記「年休申請が多く、業務に支障を来す場合、他の日に変更してもらえますか」に対する回答
単に業務が繁忙というだけでは、変更はできません。
年次有給休暇の計画的付与制度等で、対応してください。
労働基準法では、労働者は、時季を指定していつでも年次有給休暇を取ることができ、使用者は原則として労働者が指定した日に付与しなければならないこととされています。
一方、使用者にも時季変更権があり、労働者が指定した時季に年次有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる」場合は、その時季を変更することができます。
しかし、単なる業務の繁忙、人員の不足というだけでは「事業の正常な運営を妨げる」場合には該当せず、会社は時季変更権を行使できません。
その判断の基準について、裁判例では、
(1)その企業の規模、
(2)有給休暇請求者の職場における配置、
(3)その担当する作業の内容・性質、
(4)作業の繁閑、
(5)代行者の配置の範囲、
(6)時季を同じくして年次有給休暇を請求する者の人数、
等が挙げられています。
多数の代表者が年度末に一斉に年次有給休暇を申請してきた場合、これらの判断の基準に照らして、時季変更権を行使すればよいと思われます。
ただし、「事業の正常な運営を妨げる」と判断される場合でも、次のような特定の条件にある従業員に対しては、時季変更権を行使することはできまません。
(1) 時季変更権を行使することで、従業員の年次有給休暇が時効で消滅してしまう場合には、会社側の権利の乱用となります。
(2)退職または解雇のため時季変更権を行使すると、年次有給休暇を取得する期間がな くなってしまう場合
(3) 計画的付与によって、いったん時季が指定された場合
(4)時季変更権を行使すると産前休業や育児休業の期間にかかる場合
繁忙期である年度末に年次有給休暇の申請が集中することを避けるには、比較的閑 散な時季に、計画的付与制度を利用して、年次有給休暇の取得率を高めることが有効です。
なお、時季変更権を行使した場合には、その事由が消滅した後可能なかぎり速やかに年次有給休暇を与えなければなりません。
時季変更権は、使用者が労働者の指定した時季を変更できる権利であって、年次有給休暇の取得を拒否できる権利ではないからです。
カテゴリー:休日・休暇
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