総合職と一般職の区別によって、住宅取得資金貸付制度の利用に制限を設けることはできますか?

 当社の社員は、総合職と一般職に分かれていますが、住宅取得資金貸付制度の適用対象者を総合職のみとすることはできますか。

 また、世帯主のみとすることはできますか。

上記「総合職と一般職の区別によって、住宅取得資金貸付制度の利用に制限を設けることはできますか?」に対する回答

 総合職を男性社員に限定している(またはこれに近い状態)のでなければ、総合職のみを住宅取得資金貸付制度の適用対象者としても差し支えありません。

 また、世帯主のみに認めることも違法で はありません。

 住宅取得資金貸付制度とは、住宅取得時の購入資金を、会社が従業員に低利で融資する制度のことで、多くの企業で採用されている法定外福利制度のひとつですが 、法定外福利制度は、その運用基準を任意に設けることができます。

 しかし、男女雇用機会均等法第7条は、「事業主は、住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であって労働省令で定めるものについて、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをしてはならない」と定めており、「住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置」について、男女の別によって異なる取扱いをすることを禁じています。

 前段のご質問では、総合職と一般職の別によって、住宅資金貸付制度の利用に制限をつけてもよいか、とのことですが、ここで問題となるのは、「男性=総合職」、「女性=一般職」となっているような場合です。この場合に、住宅取得資金貸付制度の適用対象者を「総合職」に限定することは、同制度の適用対象者を男性に限定することになるからです。

 したがって、貴社の総合職と一般職の別が、基本的に本人の意思を尊重して決定されているのであれば違法とはなりませんが、多くの企業で見られるように、「男性=総合職」、「女性=一般職」となっているような場合(または概ねこれに近い状態である場合)には、均等法に抵触することになり認められません。

 次に、ご質問後段の、同制度の適用対象者を世帯主に限定することについては、「(住宅資金の貸付け等)供与の対象を『世帯主』、『主たる家計の維持者』等とすることは、『女性であること』を理由にするものには当らないが、『世帯主』、『主たる家計の維持者』等の決定に当たって女性について男性に比して不利な条件を課した場合は、『女性であること』を理由とする差別的取扱い該当する」(平10.6.11女発第168号)とした行政解釈がありますので注意が必要です。

 この点に関して、世帯主の判断を住民票の写し等に基づいて行う場合には、各企業の恣意的な運用の余地がありませんので、女性に不利な条件を課すことには該当しないものと考えられます。

 しかし、一般に、男女が同一世帯で生計を営む場合、男性が世帯主となるケースが多いという事実を勘案しますと、これも適切とはいい難いでしょう。

カテゴリー:福利厚生

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