知らないと損する在職老齢年金

 60歳以上で会社に在職し厚生年金の加入者(被保険者)である人に支給される年金を『在職老齢年金』といいます。

 ただし、会社に勤務していても非常勤であったり短時間勤務や厚生年金の適用のない個人事業等での勤務では、厚生年金の加入者となれないため退職者と同じに取扱われます。

 しかし、平成14年4月以降は厚生年金の加入者の年齢が70歳未満(改正前は65歳未満)に引上げられるにともない65歳以上の人にも在職老齢年金が導入されました。

 したがって、厚生年金に加入している人の在職老齢年金は、65歳未満と65歳以上の場合では少し異なった取扱いとなります。

65歳未満の場合

 厚生年金の加入中は、原則として年金月額(加給年金額を除いた年金額÷12)の2割が支給停止されます。

 さらに、在職中の標準報酬月額(賃金により決定)と基本月額(年金月額×80%)の合算額に応じて支給停止額が算出され、2割の支給停止額との合算額が支給停止額となります。

 在職老齢年金が支給される場合は加給年金額は全額支給され、在職老齢年金が全額支給停止の場合は、加給年金額も全額支給停止となります。

 2005年4月から、一律20%カットが廃止され、総報酬月額相当額と基本月額(年金月額)の合計が28万円以下(2004年度)の場合、年金は全額支給

新しい在職老齢年金のしくみ

 2005年3月までは、60歳以上65歳未満で、老齢厚生年金を受けながら厚生年金の被保険者として働いていた方の年金は、賃金の額に関わらず、一律20%のカットがあり、さらに総報酬月額相当額と年金月額に応じて年金が支給停止されていました。

 2005年4月からは、受給者の働く意欲への配慮から、この一律20%カットが廃止され、総報酬月額相当額と年金月額の合計に応じた支給停止のみとなる仕組みに変更されます。

 支給停止額の計算に用いられる「基本月額=年金月額×0.8」が、「基本月額=年金月額」に変更されると同時に、マクロ経済スライドによる年金額の調整に合わせて、在職老齢年金のしくみによる支給停止の基準額が毎年見直されるようになります。

改正後は、年金の減額が緩和

 賃金(賞与を含む年収を月額換算)を20万円、支給される年金月額を15万円と仮定して具体的な減額のしくみを見てみましょう。

 2005年3月までは、一律20%カットなので、基本年金月額は12万円です。

 賃金と年金月額の合計は32万円となり、減額の基準額(2004年度は28万円)を4万円超えます。

 この超える金額4万円の半分の2万円が支給停止されるので、賃金と年金を合わせた毎月の収入は30万円です。

 2005年4月からは、一律20%カットの廃止により、基本年金月額は15万円となります。

 賃金と年金月額を合計すると35万円。減額の基準額(28万円)を7万円上回るため、この半額の3.5万円の支給が停止となり、受け取る年金月額は11万5000円です。

 賃金と年金を併せた毎月の収入は31万5000円となります。

 よって、一律20%カットの廃止により、賃金と厚生年金を併せた毎月の収入は、15000円アップします。

 なお、減額のしくみは職業によって変わることはありません。

2006年06月06日

カテゴリー:在職老齢年金を知ろう


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