年金用語 さ行

 年金の用語集です。
 さ行(さ~そ)までの年金用語解説になります。

●在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)


 老齢厚生年金の支給は原則として65歳からですが、60歳~64歳までは特別支給の老齢厚生年金が支給されることになっています。この特別支給の老齢厚生年金は、本人が被保険者である場合、賃金と年金額に応じて年金額の一部または全部が支給停止されます。このように、60歳以降在職しながら受ける老齢厚生年金を在職老齢年金といいます。 具体的には、まず在職中は2割の年金が支給停止となります。 年金額の8割と賃金の合計が22万円になるまではそのまま8割の年金が受けられ、22万円を超えた場合は、2割の支給停止のほかに、賃金の増加2に対して1の割合の年金が支給停止となります。賃金が34万円を超える場合は、さらに、賃金が増加した分だけ年金が支給停止されます。

用語集での参照項目:特別支給の老齢厚生年金



●財政再計算(ざいせいさいけいさん)


 年金制度は長期にわたる制度であり、一定の予測に基づいて将来の給付と負担の見通しを立てています。その間、社会経済状況の変化によって、予測値と実績とが乖離することがあります。そのため、人口構成や経済情勢の変化を踏まえ、5年に一度、給付と負担の将来見通しを見直し、年金財政の健全化を図っています。これを財政再計算といい、そのときに必要な制度改正も行います。
 公的年金だけでなく、厚生年金基金でも適正な掛金率を決めるため、財政再計算を行っています。


用語集での参照項目:基礎率



●再評価(さいひょうか)


 老齢厚生年金(報酬比例部分)の額は、加入期間中の標準報酬月額(賃金)の平均を基に計算されます。その際、過去の低い標準報酬月額をそのまま平均すると、年金の実質価値が低くなってしまいます。そこで、過去の標準報酬月額を現役世代の手取り賃金の上昇等に応じて見直した上で平均しており、これを再評価といいます。
 具体的には、過去の標準報酬月額(賃金)に一定の率(再評価率)を乗じることで、現在の手取り賃金水準に読み替えます。再評価率は財政再計算ごとに見直されます。


用語集での参照項目:報酬比例部分、標準報酬月額、平均標準報酬月額、財政再計算



●時価評価(じかひょうか)


 厚生年金基金では、積立金を債券や株式などに投資し市場運用を行っています。決算時点での資産額をみる場合、これまでは債券や株式を購入時の価格である簿価を基準に評価していました。そのため債券や株式などの評価額が下がっても、決算上は表面に表れませんでした。
 そこで、財政運営の健全性と資産運用の効率化の観点から、平成9(1997)年度から厚生年金基金の決算はその時点の価格である時価を基準に評価することになりました。ただ、時価そのものは変動が大きいため、短期的な変動を平均化した「数理的時価」と呼ばれる方法を採用してもよいことになっています。



●支払保証事業(しはらいほしょうじぎょう)


 解散した厚生年金基金の加入員や年金受給者に対し、プラスアルファ部分について一定の年金額が確保されるよう厚生年金基金連合会が実施している共済事業です。
 企業の倒産や経営の悪化などで厚生年金基金が解散したとき、年金給付に必要な原資が足りないことがあります。そこで、すべての厚生年金基金が拠出金を負担することにより一定の額が確保できるようにしています。
 ただし、個別基金の適切な運営や自助努力を前提としているため、給付額が減額されたり、給付されない場合もあります。また、解散に至らないようにする方策もあわせて実施しています。


用語集での参照項目:厚生年金基金、プラスアルファ部分



●死亡一時金(しぼういちじきん)


 国民年金の第1号被保険者として保険料を3年以上納めた人が、老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受けないままに亡くなったとき、その遺族に支給される一時金です。
 受けられる遺族は、亡くなった人と一緒に生活していた(1)配偶者、(2)子、(3)父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹で、受けられる順位もこの順番です。ただし、遺族基礎年金を受けられる人がいるときは支給されません。


用語集での参照項目:第1号被保険者、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金



●社会保険オンラインシステム(しゃかいほけんおんらいんしすてむ)


 社会保険業務センターと全国の社会保険事務所とを、専用のデータ通信回線によって結んだものが社会保険オンラインシステムです。
 このシステムによって、各社会保険事務所から社会保険業務センターに送られてくる年金に関する届出の情報が直ちに処理されるとともに、社会保険事務所が社会保険業務センターから情報を引き出し、年金相談業務を行うなど情報の集中管理によって、効率的な事務処理を可能にしています


用語集での参照項目:社会保険業務センター、社会保険事務所



●社会保険業務センター(しゃかいほけんぎょうむせんたー)


 社会保険制度の業務処理の中枢的な機関です。国民年金、厚生年金のほか健康保険、船員保険の加入者の適用(加入)から保険料徴収までの記録や受給者に関する記録の管理、年金の裁定(年金受給権の確認)・支払い、年金に関する相談などを行っています。
 直接の窓口となる全国の社会保険事務所とは社会保険オンラインシステムにより、専用のデータ通信回線で結ばれており、迅速な記録の処理が可能になっています。


用語集での参照項目:社会保険事務所、社会保険オンラインシステム



●社会保険事務所(しゃかいほけんじむしょ)


 国民年金、厚生年金、政府管掌健康保険の加入者の適用(加入)、保険料の徴収、保険給付の支給に至る一貫した窓口サービスを行っている社会保険庁の地方組織です。各都道府県の主要都市に設置され全国で310カ所あります。
 記録などを管理している社会保険業務センターとは、社会保険オンラインシステムで結ばれており、迅速な記録の処理や年金の裁定、年金相談業務に役立っています。


用語集での参照項目:社会保険業務センター、社会保険オンラインシステム 



●社会保険方式(しゃかいほけんほうしき)


 わが国の年金制度では、加入者が保険料を拠出し、それに応じて年金給付を受けます。この仕組みを社会保険方式といいます。基本的に保険料を納めなければ給付は受けられませんが、給付は、保険料の額や支払った期間に応じて決められるため、拠出と給付の関係がより明確であり、保険料拠出について加入者の合意を得やすいメリットがあります。
 社会保険方式と対比されるのが、給付を税金でまかなう税方式です。


用語集での参照項目:税方式



●収支相等の原則(しゅうしそうとうのげんそく)


 収入総額(負担)と支出総額(給付)を均衡させなければならないという、年金制度において大前提となる原則です。
 年金制度の場合、収入は保険料のほか積立金の運用収入と国庫負担があります。これを単年度ではなく、長期的に支出(給付)と均衡させていく必要があります。保険料と給付の額は、この原則に基づいて算定されます。



●終身年金(しゅうしんねんきん)


 年金受給者が生存している限り支払われる年金のことをいいます。わが国の公的年金は本人と後の世代の保険料などを原資にしているため、終身年金が原則になっています。
 これに対し、あらかじめ決められた一定期間生存している限り支払われる年金を「有期年金」、一定期間生死に関係なく支払われる年金を「確定年金」といいます。


用語集での参照項目:有期年金



●受給資格期間(じゅきゅうしかくきかん)


 年金を受ける場合は、保険料を納めた期間や加入者であった期間等の合計が一定年数以上必要です。この年金を受けるために必要な加入期間を受給資格期間といいます。
 わが国の公的年金では、すべての人に支給される老齢基礎年金の受給資格期間である25年間が基本になります。国民年金だけでなく、厚生年金、共済組合の加入期間もすべて含まれます。また、年金額には反映されない合算対象期間や保険料が免除された期間も、受給資格期間になります。


用語集での参照項目:合算対象期間、保険料免除期間



●受託者責任(じゅたくしゃせきにん)


 年金制度の運営や年金資産の運用管理に携わる人(受託者)が果たすべき責任のこと。
 受託者が果たすべき一般的な義務は、加入者や受給者の利益のためだけに忠実に職務を遂行する「忠実義務」と、それぞれの立場にふさわしい専門家として払うべき「注意義務」です。厚生年金基金制度では、「資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドライン」において、(1)基金役員の役割と責任、(2)運用受託機関と基金・役員との関係、(3)企業と基金との関係、④情報開示の重要性、などが規定されています。


用語集での参照項目:エリサ法



●障害基礎年金(しょうがいきそねんきん)


 国民年金に加入中に初診日がある病気・けがが原因で障害者になったときに支給される国民年金の給付です。60歳以上65歳未満で日本に住んでいれば、加入をやめた後の病気・けがによるものでも受けられます。ただし、加入期間のうち3分の1以上滞納がないか、平成18(2006)年4月1日前に初診日のある傷病による障害の場合は直近の1年間に保険料の滞納がないことが条件になります。なお、20歳前に初診日がある場合は、障害の認定を受けた日以後の20歳の時点で障害があれば障害基礎年金が支給されます。
 障害の程度に応じて1級と2級があり、1級のほうが障害が重く、年金額は2級の1.25倍になっています。



●障害共済年金(しょうがいきょうさいねんきん)


 共済に加入している人が、在職中の病気やけがで障害基礎年金に該当する障害(1級・2級)になったとき、障害基礎年金に上乗せして受けられる年金です。1級・2級の場合は、障害基礎年金と障害共済年金が、さらに程度の軽い障害の場合は3級の障害共済年金だけが受けられます。
 受けられる条件などは障害厚生年金と同じですが、障害共済年金には共済独自の職域年金部分が加算されます。


用語集での参照項目:国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済、農林漁業団体職員共済組合、障害基礎年金、職域年金部分



●障害厚生年金(しょうがいこうせいねんきん)


 厚生年金に加入している人が、在職中の病気やけがで障害基礎年金に該当する障害(1級・2級)になったとき、障害基礎年金に上乗せして受けられる年金です。1級・2級の場合は障害基礎年金と障害厚生年金が、さらに程度の軽い障害の場合は、3級の障害厚生年金だけが支給されます。
 障害厚生年金を受けるためには、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしている必要があります。


用語集での参照項目:障害基礎年金



●障害手当金(しょうがいてあてきん)


 厚生年金に加入している間にかかった病気・けがが5年以内に治り、3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給される一時金です。障害手当金を受ける場合も、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしている必要があります。


用語集での参照項目:障害基礎年金、障害厚生年金



●職域年金部分(しょくいきねんきんぶぶん)


 昭和61(1986)年4月から基礎年金が導入され、共済組合も厚生年金と同様、基礎年金(1階部分)に上乗せする報酬比例の年金(2階部分)を支給する制度になりました。年金額の計算も厚生年金と同じです。 そのほか、共済組合独自の年金として、報酬比例部分の20%に相当する額が職域年金(3階部分)として加算されています。この3階部分が職域年金部分です。


用語集での参照項目:報酬比例部分



●私立学校教職員共済(しりつがっこうきょうしょくいんきょうさい)


 私立学校の教職員が加入する国の年金制度。学校法人、準学校法人の私立の幼稚園から大学、盲・ろう学校などの教職員が対象になります。平成10(1998)年1月から日本私立学校振興・共済事業団が運営しています。
 共済からは退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金が支給され、受給の条件や年金額の計算方法は厚生年金と同じですが、共済独自の職域年金部分が加算されています。
 また、年金給付は長期給付と呼ばれ、それ以外にも短期給付と呼ばれる医療関係の給付や災害給付も行っています。


用語集での参照項目:国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、農林漁業団体職員共済組合、職域年金部分



●申請免除(しんせいめんじょ)


 国民年金の第1号被保険者が、(1)所得がないとき、(2)本人またはその世帯の人が生活保護の生活扶助以外の扶助を受けているとき、(3)保険料の納付が著しく困難なとき、などに、都道府県知事に申請して認定を受ければ、保険料の納付が免除されます。これを申請免除といいます。
 免除を受けた期間の基礎年金額は、国庫負担分だけになり、本来の基礎年金額の3分の1で計算されます。


用語集での参照項目:第1号被保険者、法定免除、国庫負担、保険料免除期間



●随時改定(ずいじかいてい)


 厚生年金の標準報酬月額は、毎年5月~7月の給料を基に10月分から改定されることになっています(定時決定)。しかし、大幅な昇降給などで標準報酬等級にあてはめて2等級以上の差異が生じ、その状態が3カ月以上続いた場合は、10月の定時決定を待たずに4カ月目から標準報酬月額の改定を行います。これを随時改定といいます。


用語集での参照項目:定時決定、標準報酬月額



●成熟度(せいじゅくど)


 年金制度において、時間の経過とともに加入期間の長い老齢年金の受給者が増加していくことを「制度が成熟していく」といい、この度合いを示す指標を成熟度といいます。
 成熟度として一般的に使われているのは、加入者(被保険者)数に対する老齢年金受給者数の割合です。ほかに、年間の保険料(掛金)総額に対する給付総額の割合、年金受給者と加入者の給付に必要な総額に対する年金受給者の給付に必要な額なども成熟度として使われることがあります。



●税方式(ぜいほうしき)


 公的年金は一定期間にわたり保険料を拠出し、それに応じて年金を受け取る社会保険方式で運営されています。ただし、基礎年金については、給付費の3分の1が国庫負担(税)でまかなわれています。
 その基礎年金を全額税でまかなうのが税方式です。税方式については、様々なメリット・デメリットが指摘されています。


用語集での参照項目:社会保険方式、国庫負担



●選択一時金(せんたくいちじきん)


 厚生年金基金の給付は、終身年金として支払うのが原則で、代行部分は年金でしか受け取れません。しかし、基金独自の上乗せ部分については、本人の希望に応じて年金で受け取るか一時金で受け取るかを選択する給付設計も可能です。そのときの一時金を選択一時金といいます。
 いつの時点で選択するのか、どれぐらいの割合を一時金にするのかなどは、基金によって異なります。


用語集での参照項目:厚生年金基金、脱退一時金



●総合設立(そうごうせつりつ)


 単独設立、連合設立とともに厚生年金基金の設立形態の1つ。同種同業の企業が強い指導力を持つ組織母体を中心にして、共同で厚生年金基金を設立する形態をいいます。
 地域や業界単位で、中小企業が集まって設立できるメリットがあります。同じ都道府県内に(または複数県にまたがって)ある工業団地、卸商業団地や商店街などにある中小企業が集まって設立することもできます。いずれの場合も、人数要件は3,000人以上です。


用語集での参照項目:単独設立、連合設立



●総報酬制(そうほうしゅうせい)


 現在、厚生年金の保険料は、月々の月給(標準報酬)に対して17.35%の保険料率で賦課されています。ボーナスからも1%の特別保険料が徴収されていますが、給付には反映されていません。これに対し、月給だけでなくボーナスからも同一の保険料率で保険料を徴収し、かつ給付にも反映させていく考え方が総報酬制です。ボーナスの多寡による負担の不公平を解消することができます。


用語集での参照項目:標準報酬、特別保険料


2006年05月16日

カテゴリー:年金用語集


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