年金用語 な行

 年金の用語集です。
 な行(な~の)までの年金用語解説になります。

●二重の負担(にじゅうのふたん)


 年金制度を賦課方式から積立方式に切り替える場合、切り替え時の現役世代が自らの将来の年金の積立てに加えて、そのときの受給世代の年金分も負担する必要があることを、二重の負担と呼んでいます。
 現在の厚生年金は賦課方式の要素を有しており、後の世代の負担でまかなう部分があります。そのため、厚生年金を廃止し企業年金や個人年金に移行する(いわゆる厚生年金の民営化)と、過去の期間分の積立不足分が表面化し、二重の負担問題が生じます。


用語集での参照項目:積立方式、賦課方式



●任意加入(にんいかにゅう)


 わが国の公的年金は強制加入が原則ですが、次の人たちは希望すれば国民年金に任意に加入することができます。扱いは第1号被保険者と同じです。 (1)20歳以上60歳未満で厚生年金や共済組合の老齢年金が受けられる人、(2)20歳以上65歳未満で海外に住んでいる日本人、(3)60歳以上65歳未満で受給資格期間を満たせない人、(4)昭和30(1955)年4月1日以前生まれで、65歳までに受給資格期間を満たせない人
 厚生年金の場合も、65歳までに老齢基礎年金の受給資格期間を満たせないで在職中の人は、希望すれば65歳以降も厚生年金に任意加入することができます。


用語集での参照項目:強制加入、第1号被保険者、受給資格期間、高齢任意加入



●任意継続被保険者(にんいけいぞくひほけんしゃ)


 厚生年金の加入期間が10年以上あり、受給資格期間を満たせずに退職した場合、その期間を満たすまで厚生年金の加入を続ける人を任意継続被保険者といいます。第4種被保険者とも呼ばれます。 この制度は、昭和60(1985)年改正による基礎年金の導入によって廃止されましたが、(1)昭和16(1941)年4月1日以前生まれで、(2)昭和61(1986)年4月に厚生年金に加入しており、その時点から退職するまでの間、厚生年金か共済組合に加入している人は、特例として任意継続加入が認められています。保険料は、事業主負担分も含めて全額自己負担となります。



●年金証書(ねんきんしょうしょ)


 年金は受ける条件が整えば自動的に支給されるわけではありません。そのための手続きをし、社会保険庁が受ける権利があることを確認した上で年金が支払われます。受ける権利の証明として交付されるのが年金証書です。年金証書には、自分の基礎年金番号が記載され、年金受給後に各種届出をする際にも必要になります。


用語集での参照項目:基礎年金番号



●年金審議会(ねんきんしんぎかい)


 厚生大臣の諮問機関の1つで、年金改正をはじめ国民年金や厚生年金に関する重要事項を審議・検討し、関係行政機関に対し意見を述べることを主に行っています。委員の任期は2年で、学識経験者の中から厚生大臣が任命します(20名以内)。
 なお、平成13(2001)年1月の省庁再編に伴い、政策審議を行う審議会はすべての省庁において原則廃止されることとなり、厚生労働省においては、社会保障各制度等厚生行政に係る基本的な政策を審議する社会保障審議会が設置され、年金審議会等は廃止されることになりました。



●年金数理(ねんきんすうり)


 年金制度において長期的な財政計画を立てる際の数学的理論や計算方法を総称して年金数理といいます。その大前提は、保険料、積立金の運用収入、国庫負担の収入総額と年金給付の支出総額が長期的に均衡する「収支相等の原則」です。


用語集での参照項目:国庫負担、収支相等の原則



●年金数理人(ねんきんすうりにん)


 厚生年金基金や国民年金基金が適正な年金数理に基づいて運営されているかどうかを、加入員の受給権保護の観点から検証する専門家を年金数理人といいます。毎年度の決算や財政再計算など、基金の財政に関する書類には年金数理人が署名・押印しなければなりません。
 年金数理人になれるのは、(1)日本アクチュアリー会の正会員であり、(2)基金の年金数理に関する業務に5年以上(うち2年以上は責任者としての業務経験)ある人で、厚生大臣が認めた人です。各厚生年金基金は、年金数理人を個別に指名することが義務づけられており、それを指定年金数理人といいます。


用語集での参照項目:年金数理



●年金積立金(ねんきんつみたてきん)


 年金の保険料は年金の支払い等に充てられますが、残りは年金積立金として積み立てられています。
 国民年金、厚生年金の積立金は、全額が大蔵省資金運用部に預託され、郵便貯金等とともに財政投融資の原資となっています。また、将来の保険料負担を軽減する等の目的のため、年金福祉事業団では積立金の一部を借り入れ、市場運用を行っています。
 しかしながら、年金改革や行財政改革の観点から、年金積立金については預託を廃止し、年金制度の保険者(厚生大臣)が自主運用する仕組みに改めることが平成11(1999)年の年金制度改正法案に盛り込まれています。
 厚生年金基金や国民年金基金等の年金積立金は、それぞれの基金が金融機関を通じて市場運用を行っています。


用語集での参照項目:年金福祉事業団



●年金手帳(ねんきんてちょう)


 国民年金、厚生年金に加入すると、各人の基礎年金番号が記載された年金手帳が交付されます。年金手帳は、加入者であることや加入期間の証明になります。転職などによって加入する制度が変わっても、年金手帳は同じものを使い、基礎年金番号も一生かわりません。再就職したときや国民年金に加入したとき、また、年金を受ける際に必要になります。


用語集での参照項目:基礎年金番号



●年金福祉事業団(ねんきんふくしじぎょうだん)


 昭和36(1961)年11月に設立された国民年金、厚生年金の積立金の還元融資を行う政府関係機関です。主な事業内容としては、事業主が設置する福利厚生施設や個人の住宅資金への融資、年金受給者に対する年金担保融資、加入者への教育資金融資、大規模年金保養基地の設置・運営、年金財政の基盤を強化する市場運用事業などを行っています。
 しかし、行政改革の一環として、年金積立金の自主運用にあわせて廃止されることが閣議決定しています。


用語集での参照項目:年金積立金



●農業者年金基金(のうぎょうしゃねんきんききん)


 農業経営者の若返りや経営規模の拡大を図ることを目的に、第1号被保険者のうち農業者に国民年金に加えて年金を支給する特殊法人です。経営規模が50アール以上の農業者は必ず加入します(30~50アールは任意加入)。
 支給される給付は、65歳までに経営移譲を行ったときの経営移譲年金、65歳までに経営移譲を行わなかったときの農業者老齢年金のほか、脱退一時金、死亡一時金があります。



●農林漁業団体職員共済組合(のうりんぎょぎょうだんたいしょくいんきょうさいくみあい)


 農林漁業の協同組合の職員などを対象にした国の年金制度。
 共済組合からは退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金が支給され、受給の条件や年金額の計算方法は厚生年金と同じですが、共済独自の職域年金部分が加算されます。
 なお、他の共済と異なり、農林漁業団体職員共済組合では長期給付と呼ばれる年金給付しか行っていません。


用語集での参照項目:国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済、職域年金部分


2006年05月14日

カテゴリー:年金用語集


このページの先頭へ