年金記録改ざん問題で社保事務所が圧力(社長証言)

 年金記録問題で年金改ざんが話題になっているが、社会保険事務所が「標準報酬月額」の改ざん問題の件で「圧力」があった旨の証言をしたようだ。
 詳細は下記を見ていただきたいが、正直なところ、十分にありえた話だろうと思う。

 年金記録問題は様々な余波を呼んでいるが、憲法で保障される「生存権」を脅かされた罪は大変に重いと考える。
 しかも公僕でなくてはならない公務員の怠慢で起きたこの事態は、国民が納得する、なんらか見えるような形で収集してもらわなければいけないだろう。

 今回の一連の騒動の中で明らかになってしまったのは、社会保険庁は信じられないし、仕事をしっかりとしてこなかったという重大な事実だ。
 標準報酬月額を不当に改ざんしたとなれば、国民の将来の財産である年金を不当に減額したことになり、これは由々しき問題である。
 刑法罰として対象にしなくて良いのだろうか?

 社保庁に対して、第三者による監査機関を設けないと大変なことになってしまう。
 誰かが厳しい目で業務が適正に実施されているか、財産はきちんと守られているかの監視する必要があるのだと考える。

 我々社労士は、事業主の立場と雇用されている一般の方々との両方の意見を聞くことが多いが、事業主からは社会保険料の高額さの怨嗟の声を聞くことが多い。
 確かに高いのだ。
 賃金の24.072%(40歳以上)が社会保険料で徴収されるわけだが、それを労使折半しているので、それぞれに賃金に対して12.036%も徴収されている。
 事業主は、その他にも児童手当拠出金を賃金の1000分の0.9 支払っているのと、雇用保険が労使折半で、労災保険は全額といった労働保険料まで負担しているから負担は結構大きいと感じられるのだ。

 しかしながら事業主も、自分だけがそうならば怨嗟の声もやむを得ないが、みんながそうなのである。
 みんながしっかりと支払っている以上、文句を言ってはいけないと思う。
 下の事例も社会保険料を滞納したことが発端だったようだが、確かに経営は苦しいことが多い。
 だが自分で選び、自分で起業し、自分で雇用しているわけだから、賃金に対しての社会保険料負担も確実に経営計画や収支計画に反映させて、舵を取っていくべきではなかろか。
 そのへんの見通しの甘さも原因の一端としてあるような気がする。

 物事には必ず原因があるが、今回露呈した問題は、様々なところに原因が求められるのだと思う。
 一つは上記の通り、行政がきちんと業務執行しているかのチェック機関が無かったこと。
 続いて行政に好き勝手させている政治家を我々国民が選んでいること。
 すなわち、国民が自分たちの生活ととらまえて選挙に参加してこなかったこと。
 さらには、事業主をきちんと指導できる機関が少ないこと。
 事業主も、自分に力が無いと悟ったら、マーケットから自ら退いていく潔さが必要なのだろう。

 まだまだ年金記録問題は収集に目処がつかないし、この問題からは目が離せない。

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EXCITE -
(http://www.excite.co.jp/News/society/20080217023300/20080217M40.126.html)

<年金記録改ざん>
社保事務所が「圧力」…都内の社長証言

 会社員が加入する厚生年金の受給額に影響する「標準報酬月額」の改ざん問題で、東京都内の40代の会社社長が毎日新聞の取材に、社会保険事務所による改ざんへの関与の詳細を証言した。
 それによると、同事務所の改ざんへの関与は、指示と言えるものだった。
 総務省の年金記録確認第三者委員会は、標準報酬月額が不正に減額されたり、消されたりした事例をこれまでに15件確認しており、被害は拡大する可能性がある。

 社長が経営する会社はサービス業関係で、社員数人。
 06年、資金繰りが悪化し、会社側の厚生年金保険料の滞納額が約100万円に上った。

 社長は東京都内の社会保険事務所から呼び出しを受けた。
 資金難を訴えると、徴収担当の30代職員から「例えば滞納額を減らす手段として標準報酬月額を下げる方法もある」と告げられた。
 言質を取られたくないあいまいさの残る言い方だったが、社長には「指示」としか思えなかった。

 正確を期すために社長が文書を求めると、「私から『こうしろ』とは言わない。記録は残せない」と拒否する周到さだった。

 標準報酬月額を引き下げれば、将来受け取る年金が減ることは分かっていた。
 でも、それまでの取り立てが執拗(しつよう)だった。
 会社を訪れた徴収の職員から「会社がつぶれても回収してやる」とすごまれ、「精神的に追い詰められ、うつ状態にもなった」。

 06年夏、社長は62万円としていた自分の標準報酬月額を同年1月までさかのぼって最低の9万8000円に変更する書類を提出した。
 書類一式を準備したのは社会保険事務所の側で、ノーチェックで受理された。

 社保庁の業務マニュアルでは、過去60日以上さかのぼって標準報酬月額を変更する届けがあった場合、社会保険事務所は会社の賃金台帳と照合してチェックする。
 順守されていれば発覚するはずで、マニュアルは無視されていたことになる。

 改ざんで月々に支払う年金保険料は約10万円少なくなり、社長が将来受け取る年金も年数万円減る。
 しかし、社会保険事務所は保険料徴収率のアップにつなげられる。
 各事務所は前年度の徴収率を上回ることがノルマになっている。

 東京都内のある社保事務所の職員は「改ざんは日常茶飯事だが、証拠を残さないよう細心の注意を払っている」と証言する。

 引き下げ決定を通知する文書には職員の実名入りで「社会保険制度へのご協力、ご理解いただきましてありがとうございます」と書かれていた。

 社保庁適用・徴収対策室の篠原千代三室長補佐の話
 標準報酬月額の変更は会社の申請に基づき適正に行われている。
 徴収方法も適正と思うが、職員の対応に問題がある場合は個別に指導したい。

2008年02月17日

カテゴリー:年金トピックス


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