厚生年金記録改竄を自らチェックの必要あり

 社保事務所と会社がグルになって、厚生年金記録を改竄した事実が発覚し、物議をかもしています。
 労使折半の保険料負担を軽くする目的で、会社側が年金受給額の算定基準となる社員の「標準報酬月額」を実際よりも低く届け出ていたのが原因のようです。

 「まさか、そんなことが!」   と一般の方は思うかもしれません。

 しかし我々社会保険労務士の立場からだと分かるような気もします。

 というのも、7月に、4~6月までの賃金をならして「標準報酬月額算定届」という事務を行いますが、その決定通知である「標準報酬決定通知書」は会社に送付されるだけなので、会社が従業員に通知しなければ、従業員は知りようが無いからです。
 知りようが無いのは、今回問題になっている「標準報酬月額」なのです。

 毎月給与から引き落とされる「社会保険料」は厚生年金と健康保険を合算した「社会保険料」となりますが、その社会保険料は標準報酬月額に連動しているので、給与から引かれている社会保険料控除額で、標準報酬月額を類推することはできます。
 しかし、給与控除までもインチキされてしまうと、どうしようもないのが実情だろうと察します。

 まぁ自分の関与している会社、知っている会社はそんなところは無いので安心して欲しいと思いますが、可能性的にはどの会社でもありえると思って、疑いの視点が必要なのかも知れません。
 資金繰りが厳しくなると、いろんな方策を当然探りたくなりますからね。

 やはり自分の身は自分で守るしかないのかなと考えます。

 今はインターネットで自分の年金状況が確認できるようになっています。
 そのサービスはインタネット環境があり、自分で申し込まないといけません。
 自分もやろうやろうと、いつも思っているのですが、未だ申込していません。

 使い勝手などを体感するのに、早急に申し込んでみたいと思います。
 そして使い勝手など感じた事柄を、このサイトで告知したいと考えています。

 しかし国民の生命、安全、財産を守るはずの行政が、そのような状態でいいのか!
 と憤りを感じます。日本は役人天国なのでしょうか?
 そんなふうにならないように、国民一人ひとりが大変でも監視の目を緩めないことが肝要なのではないでしょうか・・

【関連記事】
IZA -
(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/dompolicy/115168/)

社保事務所と会社グル…厚生年金記録を改竄された

 自分の知らぬ間に厚生年金記録が改竄(かいざん)されていた-。
 こんな信じられないケースの存在が表面化した。
 労使で折半する保険料負担を軽くする目的で、会社側が年金受給額の算定基準となる社員の「標準報酬月額」を実際よりも低く届け出ていたのが原因だ。
 社会保険事務所のチェックに甘さがあっただけではなく、事務所側が改竄に関与していた疑いも出ており、新たに大きな問題となりそうだ。
 こうした事例が生まれた背景を探った。

■申し出通りに修正

 都道府県ごとに置かれた年金記録確認第3者委員会に持ち込まれた相談のうち、昨年末までに832件について年金記録などの訂正が認められた。
 この中で、標準報酬月額の改竄については、昭和50年代以降の記録から10件見つかった。
 年金受給額や保険料算定の基準となる標準報酬月額は、会社が社員に代わって社会保険事務所に届け出る。
 虚偽申告されたままでは、本来、受け取れるはずの額より目減りする。
 今回の10件では、標準報酬月額が実際よりも少ない額で記録されていたケースが4件あり、他の6件は加入期間が短縮されていた。
 いずれも、会社側がいったん社保事務所に届け出た標準報酬月額を、後になってから「誤りがあった」として金額修正を申し出る手口。
 社保事務所は給与明細などをチェックすることなく、会社側の申し出通りに金額修正に応じていた。

■照合は一部の会社のみ

 虚偽申請がまかり通る背景には、社保事務所のチェック態勢の甘さがある。
 標準報酬月額が大きく変更された場合には、該当者がリストアップされ、会社に確認する仕組みになっている。
 ところが、標準報酬月額と会社の賃金台帳などの照合は、一部の会社に対してしか行われていないのが実情だ。
 社会保険庁は
「法律に基づき、会社は社員に標準報酬月額を毎年通知することを義務付けられている。本人が自分で標準報酬月額に誤りがないか確認できる」
 と説明するが、通知が徹底されているかどうかは疑わしい。

 社会保険事務所の関与を疑わせるケースも見つかった。
 平成7年2月から12年9月までの5年7カ月間分について、実際の標準報酬月額は「59万円」だったのに、会社が解散した12年12月に、会社側が勝手に「9万2000円」へと修正申告していた例があった。
 払い戻された差額分は会社の滞納保険料納付に充てられていた。
 明らかに不自然な金額修正の申し出であり、民主党は
「滞納保険料を減らし、徴収率を上げる目的で、標準報酬月額を本来より下げるように社会保険事務所の方から指導していたのではないか」(中堅)
と指摘している。
 今回の10件は個人から第三者委への申し出で判明したものだが、不正が行われた会社の他の社員も同様の不利益を被っている可能性は高い。
 社保庁は改竄事例についてさらに調査を進めているが、全体像はつかめていないのが実情だ。

■「標準」確認手段なし

 改竄されていた場合の救済は可能なのだろうか。
 実際の給与額を反映した標準報酬月額に基づいて保険料を天引きされていた実績があれば、その後に会社側が改竄したケースであっても、昨年末に成立した厚生年金特例法が適用され、不足分を取り戻せるという。
 ただ、当初から実際より低い標準報酬月額が届けられ、低い保険料しか天引きされなかったケースは救済が困難だ。
 また、今年10月までに全受給者・加入者に加入履歴を送付する「ねんきん特別便」にも、標準報酬月額は記載されていない。
 現時点では、社会保険事務所に直接問い合わせるか、社保庁ホームページの「年金個人情報提供サービス」を利用するぐらいしか、標準報酬月額の確認手段はないので注意が必要だ。

2008年01月13日

カテゴリー:年金トピックス


このページの先頭へ