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| 就業作成_2_09 [2024/01/09 08:11] – tokita | 就業作成_2_09 [2025/12/19 05:22] (現在) – 外部編集 127.0.0.1 | ||
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| ====== 第9章 定年、退職及び解雇 ====== | ====== 第9章 定年、退職及び解雇 ====== | ||
| - | * 第49条 退職事由及び退職日〈作成のポイント36〉 | + | * 第49条 退職事由及び退職日[[https:// |
| - | * 第50条 定年〈作成のポイント37〉 | + | * 第50条 定年[[https:// |
| - | * 第51条 自己都合による退職手続〈作成のポイント38〉 | + | * 第51条 自己都合による退職手続[[https:// |
| * 第52条 継続雇用制度 | * 第52条 継続雇用制度 | ||
| * 第53条 業務引継ぎ | * 第53条 業務引継ぎ | ||
| - | * 第54条 退職後の競業避止義務〈作成のポイント39〉 | + | * 第54条 退職後の競業避止義務[[https:// |
| - | * 第55条 退職後の秘密保持〈作成のポイント40〉 | + | * 第55条 退職後の秘密保持[[https:// |
| - | * 第56条 普通解雇〈作成のポイント41〉 | + | * 第56条 普通解雇[[https:// |
| * 第57条 解雇制限 | * 第57条 解雇制限 | ||
| * 第58条 退職証明 | * 第58条 退職証明 | ||
| 行 18: | 行 18: | ||
| 退職には、労働者の意思による「自己都合退職(労働者の意思による退職)」、「定年」・「死亡」・「契約期間満了」・「休職期間満了」による当然退職、使用者と労働者の話し合いにより労働契約を終了する「合意退職」があります。 | 退職には、労働者の意思による「自己都合退職(労働者の意思による退職)」、「定年」・「死亡」・「契約期間満了」・「休職期間満了」による当然退職、使用者と労働者の話し合いにより労働契約を終了する「合意退職」があります。 | ||
| - | 労動基準法上、これら労働契約の終了に伴う「退職(解雇を含む)に関する事項」は、就業規則上の絶対的必要記載事項です。また、労働基準法第15条では、労働契約締結時において明示すべき労働条件の絶対的明示事項として「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」を定めています。したがって、就業規則の作成にあたっては、①定年、②退職となる事由とその要件(自己都合退職、休職期間の満了、契約期間の満了)、③退職の手続、④普通解雇に関する事項、⑤懲戒解雇に関する事項などを具体的に定めておくことが必要です。 | + | [[https:// |
| - | 特に解雇については、労働契約法第16条において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」ことが定められており、その事由を就業規則で明確に定めておかなければなりません。 | + | 特に解雇については、[[https:// |
| ここでいう、「客観的に合理的な理由」とは、解雇事実が就業規則に定められた解雇事由に該当することによるものかどうかということであり、「社会通念上相当である」とは、その事由に照らして「解雇」という処分が妥当かということです。合理的な理由は確かにあるが、解雇という処分は重過ぎるという場合は、「相当でない」となり解雇無効となります。したがって、解雇を行うにあたっては、労働契約法第16条の規定に照らして、「解雇権の濫用」による不当解雇を問われないようにしなければなりません。 | ここでいう、「客観的に合理的な理由」とは、解雇事実が就業規則に定められた解雇事由に該当することによるものかどうかということであり、「社会通念上相当である」とは、その事由に照らして「解雇」という処分が妥当かということです。合理的な理由は確かにあるが、解雇という処分は重過ぎるという場合は、「相当でない」となり解雇無効となります。したがって、解雇を行うにあたっては、労働契約法第16条の規定に照らして、「解雇権の濫用」による不当解雇を問われないようにしなければなりません。 | ||
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| ==== 1.退職事由 ==== | ==== 1.退職事由 ==== | ||
| - | ここで規定する退職事由は、解雇以外の労働契約の終了事由に関するものです。一般的な退職事由としては、規定例のような事由があります。その他には、①従業員が取締役等の役員に就任し従業員から専任役員に身分を変更した場合、②また最近多い事例として突然会社に出社せず行方不明となることなどがあります。特に②の場合は、解雇したくとも通知すべき従業員の所在が不明のため、所定の解雇手続きが困難となり、民法に基づく公示送達という手段によるしかないことになります。そうした煩雑さを避けるためにも、一つの方法として、無断欠勤が一定期間続いた場合には、退職の意思表示があったものとして自動的に雇用関係を終了するための規定を設けておくことで対応することもできます。 | + | ここで規定する退職事由は、解雇以外の労働契約の終了事由に関するものです。一般的な退職事由としては、規定例のような事由があります。その他には、①従業員が取締役等の役員に就任し従業員から専任役員に身分を変更した場合、②また最近多い事例として突然会社に出社せず行方不明となることなどがあります。特に②の場合は、解雇したくとも通知すべき従業員の所在が不明のため、所定の解雇手続きが困難となり、[[https:// |
| ==== 2.退職日 ==== | ==== 2.退職日 ==== | ||
| 行 51: | 行 51: | ||
| ==== 関係する法令・判例など ==== | ==== 関係する法令・判例など ==== | ||
| - | * ・労働基準法第15条(労働条件の明示)、第89条第3号(就業規則の退職に関する事項) | + | * ・[[https:// |
| - | * ・民法第98条(公示送達)、第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ) | + | * ・[[https:// |
| ===== 作成のポイント●37 定年 ===== | ===== 作成のポイント●37 定年 ===== | ||
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| ==== 1.定年年齢と継続雇用制度 ==== | ==== 1.定年年齢と継続雇用制度 ==== | ||
| - | 定年とは、従業員が一定年齢に達したときに自動的に退職により雇用関係が終了するものです。なお、現在、定年年齢を定める場合には、高年齢者等雇用安定法に基づき、坑内労働を除き、満60歳を下回ることはできません。 | + | 定年とは、従業員が一定年齢に達したときに自動的に退職により雇用関係が終了するものです。なお、現在、定年年齢を定める場合には、[[https:// |
| また、項目条項として取り上げている第52条(継続雇用制度)との関係もありますが、定年年齢(65歳未満のものに限る)を定めている事業主は、①65歳までの定年の引き上げ、②65歳までの継続雇用制度(勤務延長又は再雇用制度)の導入、③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければならないことになっています。 | また、項目条項として取り上げている第52条(継続雇用制度)との関係もありますが、定年年齢(65歳未満のものに限る)を定めている事業主は、①65歳までの定年の引き上げ、②65歳までの継続雇用制度(勤務延長又は再雇用制度)の導入、③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければならないことになっています。 | ||
| そのうち、②の措置を講ずるにあたっては、例えば「会社が必要と認める者につき再雇用する場合がある」などと規定することは、会社の恣意的判断で再雇用対象者を制限することとなり高年齢者等雇用安定法に違反するものとなります。なお、継続雇用制度は第52条の継続雇用制度がある旨を規定しその詳細は委任規定とし、再雇用の選定基準及び労働条件等が従業員に客観的にわかるように別規程として定めるのが一般的です。 | そのうち、②の措置を講ずるにあたっては、例えば「会社が必要と認める者につき再雇用する場合がある」などと規定することは、会社の恣意的判断で再雇用対象者を制限することとなり高年齢者等雇用安定法に違反するものとなります。なお、継続雇用制度は第52条の継続雇用制度がある旨を規定しその詳細は委任規定とし、再雇用の選定基準及び労働条件等が従業員に客観的にわかるように別規程として定めるのが一般的です。 | ||
| - | その他、定年年齢を定める場合、男女の性別によって差を設けることは男女雇用機会均等法に反することになります。 | + | その他、定年年齢を定める場合、男女の性別によって差を設けることは[[https:// |
| ==== 2.定年年齢と退職日 ==== | ==== 2.定年年齢と退職日 ==== | ||
| 行 75: | 行 75: | ||
| ==== 関係する法令・判例など ==== | ==== 関係する法令・判例など ==== | ||
| - | * ・高年齢者等雇用安定法第8条(定年を定める場合の年齢)、同法第9条(高年齢者雇用確保措置) | + | * ・[[https:// |
| - | * ・男女雇用機会均等法第6条第4号(退職勧奨、定年及び解雇並びに労働契約更新の性別を理由とする差別の禁止) | + | * ・[[https:// |
| ===== 作成のポイント●38 自己都合による退職手続 ===== | ===== 作成のポイント●38 自己都合による退職手続 ===== | ||
| 行 84: | 行 84: | ||
| * 従業員が自己の都合により退職しようとするときは、すくなくとも1箇月前までに申し出て会社の承認を受けなければならない。 | * 従業員が自己の都合により退職しようとするときは、すくなくとも1箇月前までに申し出て会社の承認を受けなければならない。 | ||
| - | ===== 1.自己都合退職の申出期限 | + | ==== 1.自己都合退職の申出期限 ==== |
| 正社員等期間の定めのない労働契約による従業員の自己都合退職(いわゆる任意退職)は、就業規則に規定がなくとも、民法に基づけば、少なくとも2週間前までに予告することによりいつでも労働契約の解約の申し入れができます。したがって、従業員は、会社の承認がなくとも退職願の提出により退職の申出をした日から14日を経過したときは退職の効果が生ずることになります。 | 正社員等期間の定めのない労働契約による従業員の自己都合退職(いわゆる任意退職)は、就業規則に規定がなくとも、民法に基づけば、少なくとも2週間前までに予告することによりいつでも労働契約の解約の申し入れができます。したがって、従業員は、会社の承認がなくとも退職願の提出により退職の申出をした日から14日を経過したときは退職の効果が生ずることになります。 | ||
| 行 90: | 行 90: | ||
| しかしながら、業務の引き継ぎ等を考慮した場合、拘束力は乏しいものの、ルールとして規定例のように1箇月前までに申し出ることを定めておくことが妥当です。この申出期限の長さはどの程度が適当かについては判例等もありませんが、「1箇月前」「30日前」程度は社会通念上相当の期間と言えるでしょう。 | しかしながら、業務の引き継ぎ等を考慮した場合、拘束力は乏しいものの、ルールとして規定例のように1箇月前までに申し出ることを定めておくことが妥当です。この申出期限の長さはどの程度が適当かについては判例等もありませんが、「1箇月前」「30日前」程度は社会通念上相当の期間と言えるでしょう。 | ||
| - | ===== 2.会社の承諾 | + | ==== 2.会社の承諾 ==== |
| 規定例のように、自己都合退職について「会社の承諾」を要件とする規定がありますが、このような規定は、それが期間の定めのある労働契約でない限り、従業員の退職の自由を極度に制限することになる場合もあります。 | 規定例のように、自己都合退職について「会社の承諾」を要件とする規定がありますが、このような規定は、それが期間の定めのある労働契約でない限り、従業員の退職の自由を極度に制限することになる場合もあります。 | ||
| したがって、運用にあたっては慎重を期する必要があります。原則的なルールとしてはそうであっても、たとえば前述の内容に照らして、ただし書で「ただし、退職の申出があった日より14日を経過した場合にはこの限りではない」などの規定を設けておくのも方法です。 | したがって、運用にあたっては慎重を期する必要があります。原則的なルールとしてはそうであっても、たとえば前述の内容に照らして、ただし書で「ただし、退職の申出があった日より14日を経過した場合にはこの限りではない」などの規定を設けておくのも方法です。 | ||
| - | ===== 3.その他の検討事項 | + | ==== 3.その他の検討事項 ==== |
| * ・承諾規定を設けた場合、その間に退職の申出の撤回があった場合の対応の検討 | * ・承諾規定を設けた場合、その間に退職の申出の撤回があった場合の対応の検討 | ||
| * ・承諾規定を設けた場合における合意退職との違いの検討 | * ・承諾規定を設けた場合における合意退職との違いの検討 | ||
| - | ===== 関係する法令・判例など | + | ==== 関係する法令・判例など ==== |
| - | * ・民法第627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ) | + | * ・[[https:// |
| 行 126: | 行 126: | ||
| ==== 関係する法令・判例など ==== | ==== 関係する法令・判例など ==== | ||
| - | * ・憲法第22条(職業選択の自由) | + | * ・[[https:// |
| * ・東京学習協力会事件:東京地裁判決平成2.4.17(合理的事情がある場合の競業避止の有効) | * ・東京学習協力会事件:東京地裁判決平成2.4.17(合理的事情がある場合の競業避止の有効) | ||
| * ・東京リーガルマインド事件:東京地裁判決平成7.10.16(競業避止の有効性) | * ・東京リーガルマインド事件:東京地裁判決平成7.10.16(競業避止の有効性) | ||
| 行 154: | 行 154: | ||
| ==== 関係する法令・判例など ==== | ==== 関係する法令・判例など ==== | ||
| - | * ・不正競争防止法第2条(不正競争の定義) | + | * ・[[https:// |
| * ・アイ・シー・エス事件:東京地裁判決昭和62.3.10(退職後の機密漏えいと損害賠償) | * ・アイ・シー・エス事件:東京地裁判決昭和62.3.10(退職後の機密漏えいと損害賠償) | ||
| * ・経済産業省「営業秘密管理指針」 | * ・経済産業省「営業秘密管理指針」 | ||
| 行 199: | 行 199: | ||
| ==== 3.解雇の手続と除外認定 ==== | ==== 3.解雇の手続と除外認定 ==== | ||
| - | 労働基準法上、労働者を解雇する場合には、少なくとも30日前に予告するか、又は平均賃金の30日分以上の予告手当を支払うかのいずれかの手続が必要となります。この予告日数は、予告手当を支払った日数分短縮することができます。ただし、①天災事変等やむを得ない事由のために事業の継続が不可能になった場合、②解雇が労働者の責に帰すべき事由に基づく場合は、それについて所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合には、この解雇の手続を行う必要はありません。 | + | [[https:// |
| - | また、労働者であっても、①日日雇い入れられる者で1箇月を超えない者、②2箇月以内の期間を定めて使用される者で所定の期間を超えない者、③季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者で所定の期間を超えない者、④試の使用期間中の者で引き続き14日を超えない者を解雇するときは、前述の解雇手続の規定は適用されません。 | + | |
| - | 普通解雇に関する規定を定める場合には、これら解雇手続に関する規定及び除外に関する規定を定めておくべきですが、「労働者を解雇する場合には、労働基準法の定めるところによる」とすることでも差し支えありません。 | + | また、労働者であっても、①日日雇い入れられる者で1箇月を超えない者、②2箇月以内の期間を定めて使用される者で所定の期間を超えない者、③季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者で所定の期間を超えない者、④試の使用期間中の者で引き続き14日を超えない者を解雇するときは、前述の解雇手続の規定は適用されません。 |
| - | ところで、解雇予告義務があるにもかかわらず、予告又は予告手当なく即時解雇することは、労働基準法違反となり即時解雇としての効力は生じません。また、解雇手続を遵守したとしても、それによってその解雇が有効となるわけではありません。法令上の解雇制限や解雇権濫用法理による制限を受けることになります。 | + | |
| - | なお、裁判所は、労働者の請求により、判決で、解雇予告手当を支払わなかった使用者に対し、解雇予告手当と同額の付加金の支払を命じることができます。 | + | 普通解雇に関する規定を定める場合には、これら解雇手続に関する規定及び除外に関する規定を定めておくべきですが、「労働者を解雇する場合には、労働基準法の定めるところによる」とすることでも差し支えありません。 |
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| + | ところで、解雇予告義務があるにもかかわらず、予告又は予告手当なく即時解雇することは、労働基準法違反となり即時解雇としての効力は生じません。また、解雇手続を遵守したとしても、それによってその解雇が有効となるわけではありません。法令上の解雇制限や解雇権濫用法理による制限を受けることになります。 | ||
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| + | なお、裁判所は、労働者の請求により、判決で、解雇予告手当を支払わなかった使用者に対し、解雇予告手当と同額の付加金の支払を命じることができます。 | ||
| ==== 4.その他の検討事項 ==== | ==== 4.その他の検討事項 ==== | ||
| 行 212: | 行 216: | ||
| ==== 関係する法令・判例など ==== | ==== 関係する法令・判例など ==== | ||
| - | * ・労働契約法第16条(解雇)、同法第17条(期間途中の解雇) | + | * ・[[https:// |
| - | * ・労働基準法第19条(解雇制限)、同法第20条(解雇の予告)、同法第21条(解雇予告の適用除外)、同法第114条(付加金の支払) | + | * ・[[https:// |
| * ・平成20.1.23厚労告12号(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準) | * ・平成20.1.23厚労告12号(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準) | ||
| * ・日本食塩製造事件:最高裁第二小法廷判決昭和50.4.25(解雇権濫用の法理) | * ・日本食塩製造事件:最高裁第二小法廷判決昭和50.4.25(解雇権濫用の法理) | ||
| 行 223: | 行 227: | ||
| * ・細谷服装事件:最高裁第二小法廷判決昭和35.3.11(解雇予告を欠く解雇の効力) | * ・細谷服装事件:最高裁第二小法廷判決昭和35.3.11(解雇予告を欠く解雇の効力) | ||
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