第1節 労働時間・休日
第2節 休暇
第3節 母性健康管理
<本章の規定>
この章は、労働時間、休憩時間、休日及び休暇に関する事項を定めています。これらはすべて絶対的必要記載事項であり、就業規則においては、賃金に関する事項にならび最も重要な労働条件に当たる部分といっても過言ではありません。業種や企業規模等により、それぞれの企業における特徴が現れる部分でもあり、その内容は企業により様々です。
【規定例】
労働時間は、休憩時間を除き、始業時刻から終業時刻までの時間のことをいい、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」です。「指揮命令下にある」とは、実作業をしている時間だけでなく、指示があったときにいつでも対応することができる手待ち時間も労働時間に含まれます。
労働時間については、始業及び終業の時刻を規定することが就業規則上の絶対的必要記載事項です。よって「労働時間は、1週間につき40時間、1日については8時間とする。」という規定だけでは要件を満たしていません。なお、始業及び終業の時刻は、全社員一律である必要はなく、所属部署や職種等により異なる場合は、その全てを規定しなければなりません。
事業主は、労働者の始業及び終業時刻に関して把握義務があり、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」のなかで次のとおり具体的な方法が規定されています。
【規定例】
始業及び終業の時刻を変更するということは、連続性はなかったとしても、その日ごとに労働契約の内容が変更されることであり、就業規則に規定することにより業務命令としての変更権にあらかじめ同意を得ておく必要があります。
【規定例】
1箇月単位の変形労働時間制とは、業務の繁閑や特殊性により1箇月サイクルで労働時間を柔軟に取り扱うことができる制度であり、労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより1箇月以内の一定期間を平均し1週間当たりの労働時間が法定労働時間(原則40時間)を超えない定めをした場合に、特定された週または特定された日において法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めることを要し、変形期間を平均し1週間につき法定労働時間(原則40時間)の範囲内であったとしても、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度であってはなりません。また絶対的必要記載事項として「始業及び終業の時刻」は必ず就業規則に定めなければならなく、「規定例」のように交替制(シフト)勤務等による勤務形態の特徴がある飲食業や警備業などの場合には、就業規則内において各日、各週の労働時間が就業規則上で特定できなくても、「始業、終業の時刻等は、就業規則においてできる限り具体的に特定すべきものであるが、業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、就業規則において各直勤務の始業終業の時刻、各直勤務の組み合わせの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めておき、それにしたがって各日ごとの勤務割は、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りる」(昭和63.3.14基発150号)という通達があり、勤務割(シフト)表確定をもって労働時間を特定したことになります。
1箇月単位の変形労働時間制は、就業規則その他これに準ずるものにその内容を定めた場合は労使協定の締結義務はありません。反対に就業規則ではその内容を規定せずに労使協定で定めることもできるということです。ただし、後者の場合、労使協定を締結しただけでは労働条件として就労を義務づける根拠にはならなく、この場合であっても就業規則には「労使協定に基づき1箇月単位の変形労働時間制で労働させることがある」と規定することや「始業及び終業の時刻」を規定することは必要です。なお、労使協定により導入する場合は、所轄の労働基準監督署長にその労使協定を届け出なければなりません。
「その他これに準ずるもの」とは、就業規則作成義務のない常時10人以上の労働者を使用していない場合に認められるものであり、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、必ず就業規則に定めなければなりません。
1箇月単位の変形労働時間制を採用した場合の割増賃金の算定方法は通常とは異なり、次の時間が割増賃金の支払対象になります。
<※1箇月の法定労働時間の総枠の算出方法>
<上記の算式による1箇月の法定労働時間の総枠>
| 1箇月の暦日数 | 労働時間の総枠 |
|---|---|
| 31日 | 177.1時間 |
| 30日 | 171.4時間 |
| 29日 | 165.7時間 |
| 28日 | 160.0時間 |
【規定例】
1年単位の変形労働時間制は、前述した1箇月単位の変形労働時間制における変形期間を「1年以内」とするものであり、1年以内の一定期間について、繁忙時期においては労働時間を長く設定し、反対に閑散時期に労働時間を短くすることによって効率的に労働時間を配分する制度です。この制度を導入するには、就業規則にその旨を定めなければならなく、さらには労使協定を締結し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。
労使協定における締結項目は次のとおりです。
対象期間が3箇月を超える場合には、その対象期間中における労働日数に限度があり、1年当たり280日を原則とします。ただし、3箇月を超える対象期間の変形労働時間制を導入している場合において、前年度も3箇月を超える期間を対象期間とする労使協定があったときは、旧労使協定の1日または1週間の労働時間よりも新労使協定の労働時間を長く定め、かつ長く設定した新労使協定における労働時間が、1日につき9時間及び1週間について48時間を超える場合は、1年間の労働日数を280日または旧労使協定の労働日数から1日を減じた日数のうちいずれか少ない日数としなければなりません。
1年単位の変形労働時間制には1日及び1週の労働時間の限度が定められています。1日について10時間(隔日勤務のタクシー運転者の1日の限度時間は16時間)、1週間について52時間が原則です。ただし、対象期間が3箇月を超える場合は、この限度時間を設定できる範囲に次の制限があります。(積雪地域における建設業の屋外労働者はこの制限なし)
1年単位の変形労働時間制は、連続労働日数に関する制限があり、最長6日までしか労働させることができません。ただし、「特定期間」を定めることにより1週間につき1日の休日が確保できる日数(連続で最大12日)まで労働させることができます。 特定期間は、通達により次のとおり解釈されています。「対象期間中の特に業務が繁忙な期間について設定することができるとする法の趣旨に沿った期間にすることが必要であり、対象期間中の相当部分を特定期間とすることはこの趣旨に反するものである。 具体的な設定にあたっては、業務の実情に即して上記の趣旨をふまえた上で、労使が十分に話し合って決めるべきものである。また、対象期間中の複数の期間を特定期間として定めることは可能である」(平成11.3.31基発169号)
1年単位の変形労働時間制における割増賃金の考え方は、前述した1箇月単位の変形労働時間と同様の考え方をします。1日、1週間及び対象期間(1年以内の期間)の法定時間外労働を計算することにより算出しなければなりません。 なお、対象期間の途中に採用された者や途中退職者、もしくは途中転勤等により1年単位の変形労働時間制の対象(または対象外)になった場合などは、割増賃金の清算をしなければなりません。 清算をする時期は、途中採用者の場合は、対象期間が終了した時点、途中退職者の場合は退職した時点になります。
【規定例】
フレックスタイム制とは、1箇月以内の一定期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内において労働日における労働時間を自らが決定し、生活と業務の調和を図りながら効率的に働くという制度です。この制度を導入するには、就業規則その他これに準ずるものにおいて、始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねる旨を定めなければならなく、さらには労使協定を締結しなければならないのですが、この労使協定は締結義務のみ課されていて、届出義務はありません。
労使協定における締結項目は次のとおりです。
清算期間とは、フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を定める期間のことをいい、1箇月以内の期間でなければなりません。なお、この期間の総労働時間を定めるということは、清算期間における所定労働時間を定めるという意味であり、清算期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内となるように定めなければなりません。
標準となる1日の労働時間は、清算期間における総労働時間を、その期間の所定労働日数で除して求めます。 これは、年次有給休暇を取得した場合に労働したものとみなす1日の労働時間にあたります。
コアタイムとは、1日のうちで必ず労働しなければならない時間帯のことをいい、フレキシブルタイムは、労働者が自らの選択により労働する時間帯をいいます。これらは、定めがある場合に限り労使協定において定める事項です。
休憩時間は、労働基準法上の原則どおりに考えなければなりません。フレックスタイム制における休憩時間に関して通達には次のとおり解釈されています。「一斉休憩が必要な場合には、コアタイム中に休憩時間を設定するよう指導すること。一斉休憩の必要ない事業において、休憩時間を取る時間帯を労働者にゆだねる場合には、各日の休憩時間の長さを定め、それを取る時間帯は労働者にゆだねる旨記載しておけばよい。」(昭和63.3.14基発150号)
【規定例】
交替制勤務は、例えば飲食業などのサービス業では、店舗営業時間が長時間であることなどの理由により、「早番」と「遅番」に分類して、その組み合わせに基づく交替制勤務を実施しています。交替制勤務を実施する場合、「労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては、就業時転換に関する事項」(労基法第89条)が就業規則の絶対的必要記載事項であるため、どのような内容で交替制勤務を実施していくか就業規則に定めなければなりません。なお、ここでは労働時間に関する部分の規定例にすぎませんが、休日については、毎週土曜日及び日曜日などと表現できないことがあり、注意が必要です。
【規定例】
事業場外労働みなし労働時間制は、次の3つの考え方をします。
事業場外労働みなし労働時間制における労使協定は、締結義務が課されているものではありませんが、労使協定を締結した場合はその内容に基づくというものです。なお、締結した労使協定における「当該業務遂行に通常必要とされる時間」が法定労働時間を超えている場合は、所轄の労働基準監督署長へ届ける義務があり、この届出に関して、時間外労働に関する労使協定(36協定)に付記する形で届け出ることも可能です。(この場合の36協定は、様式第9号の2を使用)
最近ではインターネットや情報処理技術の革新により、職場環境や就業形態等についても大きく変化し、自宅等において仕事、作業を行うことが可能な世の中になりつつあります。確かに在宅で仕事をするというのは、勤務時間と日常生活時間が混在します。また、仕事の進捗状況などを評価しづらいといった問題点もありますが、会社と従業員は労働契約を結ぶうえで「事業場外労働のみなし労働時間制」を適用することができます。(平成16.3.5基発0305001号) この場合は、在宅勤務について所定労働時間労働したものとみなすことが原則であり、考え方は前述1.と同様です。
【規定例】
専門業務型裁量労働制は、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令などにより定められた19業務(①新商品等の開発、②情報処理システム分析等、など)に限って、労使協定であらかじめ定めた時間労働したものとみなす制度です。
専門業務型裁量労働制は、労使協定を締結し、それを所轄の労働基準監督署長に届けなければならなく、具体的な内容(例えば、適用対象業務やみなし労働時間の算定など)はその労使協定において定めるものであり、就業規則に規定する必要はありません。なお、就業規則においては、始業及び終業に関する事項の例外規定に該当するため、絶対的必要記載事項として規定しなければならなく、また、専門業務型裁量労働制を命じることがある旨を規定しなければなりません。
労使協定における締結項目は次のとおりです。
専門業務型裁量労働制は、法定休日や深夜労働においてみなし労働時間を適用することはできず、それらは時間管理したうえで、実労働時間数にて割増賃金を支給しなければなりません。
【規定例】
時間外労働とは、就業規則等において規定されている所定労働時間を超えて労働することをいいますが、その労働が法定労働時間を超える場合は、次の項目について労使協定が締結されていて、かつそれを所轄の労働基準監督署長へ届け出ていなければなりません。
36協定において「1日及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間」を際限なく規定することはできません。平成10.12.28労告154号に36協定で定める労働時間の延長に関して限度基準があり、その基準にそって労使協定を締結することを原則として、限度時間を超えて労働せざるを得ない特別の事情(臨時的なものに限る)が生じたときに限り、1日を超える一定の期間についての延長時間を定めたうえで、当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定める場合はこの限りではないとされています。
【限度時間の定め】
| 期間 | 一般労働者(右欄以外) | 1年変形(期間3箇月超)対象労働者 |
|---|---|---|
| 1週間 | 15時間 | 14時間 |
| 2週間 | 27時間 | 25時間 |
| 4週間 | 43時間 | 40時間 |
| 1箇月 | 45時間 | 42時間 |
| 2箇月 | 81時間 | 75時間 |
| 3箇月 | 120時間 | 110時間 |
| 1年間 | 360時間 | 320時間 |
労働基準法第32条第1項は、「使用者は、労働者に休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない」、第2項「使用者は1週間の各日については、労働者に休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない」と規定しています。この1週間について40時間及び1日につき8時間のことを法定労働時間というのに対して、所定労働時間とは、企業それぞれが就業規則などに定めている労働時間のことをいいます。
時間外労働を命じた場合に割増賃金発生義務(25%割増)が生じるのは、法定労働時間を超えた部分に労働させた場合であり、別の言い方をすると36協定に基づく時間外労働命令は、法定労働時間を超えて指示命令す
例えば、ある企業の所定労働時間が、1日につき7時間、1週間について35時間(始業9時、終業17時、休憩時間60分で、完全週休二日制)として、ある週の月曜日に1時間の時間外労働、同一週の水曜日に3時間の時間外労働をしたとします。すると月曜日は1日8時間勤務、水曜日は10時間勤務、そしてその週の労働時間合計は39時間になり、この場合、月曜日の時間外労働1時間は割増賃金が発生しなく(割増ではない通常単価の時間外手当は発生する)、水曜日は3時間の時間外労働のうち1時間は法定労働時間内なので月曜日と同様に取り扱い、8時間を超えた2時間分については割増賃金が発生することになります。
労働基準法第35条第1項は、「使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」、第2項「前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない」と規定しています。ここに規定する休日のことを法定休日といい、休日労働を命じた場合に割増賃金発生義務(35%割増)が生じるのは、法定休日に労働させた場合であり、36協定に基づく休日労働命令は、法定休日に指示命令する部分のことです。よって週休二日制の場合など法定外休日(4週を通して4日を超える休日)に労働させた場合は、35%割増賃金が発生することはありません。しかし、法定外休日に労働させることによりその週の法定労働時間(1週に40時間)を超過している場合は、時間外労働に関する割増賃金(25%割増)をつけなければなりません。
労働基準法の一部が改正され、平成22年4月1日より時間外労働の割増賃金率が引き上げられます。
なお、この法改正は中小企業に猶予措置が定められており、以下の中小企業について施行から3年経過後にあらためて検討することとされています。
これらの法改正に対応した割増賃金の内容等については、就業規則にも根拠をおくことが必要ですが、特に代替休暇に係る労使協定を定めた場合には、就業規則において新たに代替休暇に関する事項を定めることが必要です。
【猶予される中小企業】
または
【規定例】
休日の振替とは、あらかじめ休日として定められた日と労働日を振り替えて、休日であった日を労働日にして、反対に振り替えた日(本来は労働日)を休日にすることをいいます。この場合、当該休日は休日労働にはなりません。これに対して代休とは、休日労働した後、代わりの休日を代償的措置として与えることをいい、この場合はたとえ後日に休日を与えたからといって休日労働した事実はなくなりません。 なお、振替休日は「振り替えるべき日については、振り替えられた日以降できる限り近接している日が望ましいこと」(昭和23.7.5基発968号、昭和63.3.14基発150号)という通達の解釈にそって運用すべきです。
休日を振り替えるにあたって、法定休日の振替と法定外休日の振替では意味が異なります。法定休日については、「4週を通して4日」確保されていなければならないものであり、言いかえると法定休日出勤の振替休日は4週を通して4日の休日が確保できるように設定しなければなりません。「4週を通して4日」の休日が確保されなければ、36協定における休日労働の制限に基づかなければならなく、振替の意味がなくなってしまいます。しかし法定外休日にそのような法規制はなく、仮に振替休日を与えなかったとしても、労働基準法上の休日労働にあたらないため、36協定における休日労働の制限にこだわることもありません。
休日を振り替えた場合は、割増賃金の支払義務が一切生じないというように解釈されていることがありますが、それは誤りであり、通達に「就業規則に定める休日の振替規定により休日を振り替える場合、当該休日は労働日となるので休日労働にはならないが、振り替えたことにより当該週の労働時間が1週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた時間については時間外労働となり、時間外労働に関する36協定及び割増賃金の支払が必要であることに注意されたい。」(昭和22.11.27基発401号、昭和63.3.14基発150号)とあることに注意ください。
休日の振替は、労働契約の変更にあたるため、就業規則に規定することにより業務命令としての変更権にあらかじめ同意を得ておく必要があります。
【規定例】
「監督又は管理の地位に在る者とは、一般的には局長、部長、工場長等労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場に在る者の意であるが、名称にとらわれず出退社等について厳格な制限を受けない者について実態的に判別すべきものであること。」(昭和22.9.13発基17号)
労働基準法第41条第2項は、労働時間、休憩時間及び休日の規定を管理監督者に対して当然に(許可等必要なく)適用除外しています。
管理監督者は、労働時間、休憩、休日に関する規制の枠を超えて活動することを要請せざるを得ない重要な職務と責任を有し、一般に、職務の内容と権限に応じた地位と経験があり、企業経営上の必要性から経営者と一体的な立場にあるため、現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限られます。 したがって管理監督者の判断は、職務内容、責任や権限、勤務態様により判断すべきであり、企業における資格や職位などの名称にとらわれることなく実態に即して判断しなければなりません。
管理監督者に対して実際にはどのような権限が付与されているか、業務に関する決定権、採用権、解雇権、会議等への出席、人事考課等への関与はどの程度のものであるか、さらには労働時間に関する自由裁量(出退勤の自由裁量)があるか、賃金や賞与等に関しては、その地位や職務の重要性に見合った待遇を受けているかといった内容により、管理監督者かどうかという判断がなされます。
【規定例】
| 勤続期間 | 6箇月 | 1年6箇月 | 2年6箇月 | 3年6箇月 | 4年6箇月 | 5年6箇月 | 6年6箇月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
年次有給休暇の意義について通達の解釈を記します。
「昭和48年3月2日、労働基準法第39条の解釈について、最高裁第二小法廷判決がなされたので、今後における同条の解釈運用は下記によって行なうので、遺憾のないようにされたい。
このように解するならば、年次有給休暇の成立要件として、労働者による「休暇の請求」や、これに対する使用者の「承認」というような観念を容れる余地はない。
ただ、このようにいえるのは、当該労働者の所属する事業場で休暇闘争が行なわれた場合のことであって、他の事業場における争議行為に休暇をとって参加するような場合は、それを年次有給休暇の行使でないとはいえない。」(昭和48.3.6基準発110号)
年次有給休暇が発生するための要件として「継続勤務要件」と「出勤率要件」が定められています。なかでも出勤率算定にあたっては、年次有給休暇取得期間、産前産後休暇期間、育児休暇期間や介護休暇期間を出勤したものとみなさなければなりません。ただし、生理休暇や子の看護休暇については、法定休暇ではありますが、出勤したものとみなすことが義務づけられているものではありません。
年次有給休暇の計画的付与は、労使協定を締結して年次有給休暇を与える時季に関する定めをしたときに、労働者が保有する年次有給休暇のうち5日を超える部分について時季を指定して付与することができる制度です。なお、この労使協定の届出義務はありません。
計画的付与は、①事業場全体の休業による一斉付与方式、②班別の交替制付与方式、③年次有給休暇計画表による個人別付与方式などが考えられますが、「計画的付与の場合には、第39条第4項の労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権はともに行使できない」(昭和63.3.14基発150号)とされていることが通常の年次有給休暇の取扱いとは異なり要注意です。
年次有給休暇は、2年間の消滅時効があるため、前年分に限り繰り越すことができます。
年次有給休暇は、暦日単位で取得することを原則としていますが、平成22年4月1日からは、労使協定を締結することにより、1年間につき5日分を限度として時間単位で年次有給休暇を取得できるようになりますので、労使協定を定めた場合には、就業規則にも時間単位年休の根拠が必要です。
【規定例】
裁判員制度は、平成21年5月21日から実施されていて、一定の刑事裁判において、事件ごとに国民から選ばれた裁判員が、裁判官とともに審理に参加する制度です。
裁判員は、20歳以上の有権者から無作為に選ばれるものであり、裁判員候補者から選ばれた裁判員は欠格事由に該当、もしくは辞退事由に該当しない限り参加義務があります。
裁判員として審理に参加することは、労働基準法第7条(公民権行使の保障)に規定する「公の職務」に該当します。よって「使用者は労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り請求された時刻を変更することができる」(労基法第7条)とあるように労働者からの請求があった場合は必要な時間を与えなければなりません。
裁判員としての公の職務の執行に対して、国は企業に裁判員休暇を新設するなどの理解を求めています。裁判員としての公の職務を執行している間は、本来の労働契約上の労務提供をしていないため有給扱いにしなければならないというものではありません。よって必ず裁判員休暇を制定しなければならないというものではありませんが、ここは企業に理解を求めて有給として取り扱いたいところです。
【規定例】
母性健康管理は、男女雇用機会均等法第12条及び第13条に規定されている内容であり、妊産婦の健康管理について企業に義務を課したものです。具体的には妊娠中及び産後1年以内の女性労働者が母子保健法に基づく保健指導または健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならなく、これらを守ることができるようにするため勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければなりません。
男女雇用機会均等法第13条は、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものと規定しています。
その内容としては①妊娠中の通勤緩和について、②妊娠中の休憩に関する措置について、③妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置についてなどが定められています。
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