====== 第5章 育児・介護休業 ====== <本章の規定>  本章の規定は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下、[[https://www.kannosrfp.com/hourei/doku.php?id=育児・介護休業法|育児・介護休業法]]という)に基づき、育児休業又は介護休業について定めるもので構成されます。  育児・介護休業法は、育児または介護を行う従業員について、その職業生活と家庭生活との両立を図ることを支援するための法律です。  この法律は、規模の大小や業種のいかんを問わず、すべての会社に対して、育児休業、介護休業、子の看護休暇、時間外労働の制限、深夜業の制限、勤務時間短縮等の措置などの実施を義務づけています。  会社は、これらの制度を実施するときは、その取り扱いの基準を規程として定め、その内容を従業員に周知徹底を図る必要があります。その規程は、法律を踏まえたものであると同時に、会社の実態に即したものでなければなりません。  なお、この法律は平成21年6月24日に一部改正法が可決・成立しました。主な改正内容のポイントをまとめると次のとおりです。 * 子育て期間中の働き方の見直し * ①3歳までの子を養育する労働者に対して、「短時間勤務制度(1日6時間)」を設けることを事業主の義務化。 * ②3歳までの子を養育する労働者からの請求があったときは、所定外労働の免除を制度化すること。 * ③子の看護休暇を小学校就学前の子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日に拡充する。 * 父親も子育てができる働き方の実現 * ①父母がともに育児休業を取得する場合、育児休業取得可能期間を、子が1歳から1歳2箇月に達するまでに延長する。 * ②父母1人ずつが取得できる休業期間(母親の産後休業期間を含む。)の上限は、現行と同様1年間とする。 * ③妻の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、特例として、育児休業の再度の取得を認める。 * ④労使協定により専業主婦の夫などを育児休業の対象外にできるという法律の規定を廃止し、すべての父親が必要に応じ育児休業を取得できるようにする。 * 仕事と介護の両立支援 * ①要介護状態にある家族の通院の付き添い等に対応するため、介護のための短期の休暇制度を設ける * (年5日、対象者が2人以上であれば年10日)。 * 実効性の確保等 * ①育児休業の取得等に伴う苦情・紛争について、都道府県労働局長による紛争解決の援助及び調停委員による調停制度を設ける。 * ②勧告に従わない場合の公表制度や、報告を求めた際に虚偽の報告をした者等に対する過料を設ける。 * 施行日 * 公布日から1年以内の政令で定める日(一部は、常時100人以下の労働者を雇用する事業主について3年)。ただし、調停については平成22年4月1日、実効性の確保のその他の部分に関しては公布日から3箇月以内。 ===== 作成のポイント●28 育児休業及び介護休業の委任規定 ===== ※ただし、平成21年7月1日に公布された改正[[https://www.kannosrfp.com/hourei/doku.php?id=育児・介護休業法|育児・介護休業法]](前述)により内容は変更となる。 【規定例】 * 第●条(育児休業) * 従業員は、満1歳(保育所待機等一定の場合には1歳6箇月)未満の子を養育するため必要がある場合には育児休業をすることができる。 * 2 満1歳に満たない子を養育する従業員が前項に定める育児休業を取得しない場合又は1歳以上3歳未満の子を養育する従業員は、申し出ることにより、別に定める勤務時間の短縮措置等の適用を受けることができる。 * 3 育児休業及び育児短時間勤務に関する取り扱いについては、別に定める「育児・介護休業等規程」による。 * 第●条(看護休暇) * 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員は、1年度において5労働日(2人以上であるときは10日)を限度として、負傷又は疾病にかかった子の世話を行うための休暇(以下、「子の看護休暇」という)を取得することができる。 * 2 子の看護休暇に関する取り扱いについては、別に定める「育児・介護休業等規定」による。 * 第●条(介護休業) * 従業員は、要介護状態にある対象家族を介護するために必要がある場合には、介護休業をすることができる。 * 2 前項に定める介護休業を取得しない従業員であって、要介護状態にある対象家族を介護する者は、申し出ることにより、別に定める時間勤務の短縮措置等の適用を受けることができる。 * 3 介護休業及び介護短時間勤務に関する取り扱いについては、別に定める「育児・介護休業等規程」による。  育児休業及び介護休業に関する事項については、手続等を含めると相当数の条項となります。したがって、規定例のように就業規則本則においては、大綱又は要旨を規定するとともに、委任規定を設け、その対象者、期間、手続等の詳細を別に定めるのが一般的です。  委任規定として、別に定める場合には、主に次の事項を定めなければなりません。 * ①育児休業・介護休業の付与要件(対象となる労働者の範囲等) * ②育児休業・介護休業の取得・撤回等の手続 * ③子の看護休暇 * ④休業期間・休業回数 * ⑤育児・介護のための時間外労働、深夜労働等の制限 * ⑥勤務時間短縮等の措置 * ⑦休業期間中の賃金等の処遇に関する事項等 * ⑧復職後の取り扱い など  なお、育児休業及び介護休業の申出を拒むことができる従業員の範囲を定める場合には、「育児・介護休業法」の定めるところにより、労使協定を締結しなければなりません。  また、事業主は、育児休業・介護休業・子の看護休暇の申出又は取得したことを理由として、従業員に対して、解雇その他の不利益な取り扱いをすることはできません。  したがって、育児・介護休業期間中に賃金を支払わないこと、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に休業した期間分を日割りで算定対象期間から控除することなど、専ら休業期間は働かなかったものとして取り扱うことは差し支えありませんが、休業期間を超えて働かなかったものとして取り扱うことは、「不利益な取扱い」に該当し、[[https://www.kannosrfp.com/hourei/doku.php?id=育介法_02#第十条_不利益取扱いの禁止|育児・介護休業法第10条]]及び[[https://www.kannosrfp.com/hourei/doku.php?id=育介法_03#第十六条_不利益取扱いの禁止|第16条]]に抵触することとなります。  たとえば、賞与支給日に休業期間中であることを理由として全く支給しないとすることを定めた規定や、退職金の算定にあたり休業期間を超えた期間について算定対象となる勤続期間から控除する規定は無効となり、是正の対象となります。  子の看護休暇は、労働基準法第39条(削除)に基づく年次有給休暇とは別の休暇として与えなければならない休暇です。しかし、看護休暇を取得した日について、無給とするか有給とするかは労使間の取り決めによるものであり、必ずしも有給とすることまで求められていません。したがって、規定を定める場合には、有給か無給か明確にしておくべきでしょう。 ==== 関係する法令・判例など ==== * ・育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 ====== 就業規則作成・見直ポイントの関連ページ ====== {{page>[就業作成_0]#[就業規則作成・見直ポイントの関連ページ]}}