厚生労働省委託の雇用保険コンサルティング事業とは、全国社会保険労務士会連合会に登録された、雇用保険重点指導員(社会保険労務士)が中小企業経営者に雇用保険制度による助成金・給付金等のご相談を無料で行うものです。
この事業では、中小企業に関連が深く、利用価値のありそうな、会社にぴったりな助成金を選ぶお手伝いをいたします。
厳しい経営環境が続く中、会社の経営課題について共に戦う姿勢でご相談に応じ、勝ち残る経営策の一環として、公的助成金を活用した積極的なマネジメントのご提案をさせていただきます。
厚生労働省関連の助成金は約60種類と、かなりの数が用意されております。
しかし数がたくさんあることで、理解が困難な状況となっていることも事実です。
通常のセミナー等では解決しない、御社の個別の事情を汲み取った、無料相談が大きな特徴です。
→ 平成22年 雇用保険コンサルティング事業(助成金の無料相談)
]]> 雇用保険コンサルティング事業の2010年度の推進について社会保険労務士会においては、意義の大きい雇用保険コンサルティング事業をより大切にすべく、本年度は重点指導員として、茨城県社会保険労務士会ではのエース級を投入し活性に繋げようと図ったということです。
エース級などと表現され、赤面の至りであります。
重点指導員は県南部と県北部のバランスを考慮し以下の2人が任命されました。
指導員は労務問題の解決はもとより、助成金・補助金を活用した本業強化についてのアドバイスが要求されます。
自分は経営者向けの機関紙において、「助成金を活用した企業活性」を連載執筆した実績を持ちます。
助成金の申請にあっても、会社の整備力・総務力アップの一助として活用することや、助成金申請は取引であればこそ、書類自体も信用力の担保であるとの強力な説得力を持ち、来たる上向きの時代の推進となるようなヒントを縦横無尽に与えられるものと確信するところであります。
この雇用に陰を落としている現状において、中小企業の経営者が、忌憚なくご相談をいただくのに最適な人選を進め、雇用自体の起爆に繋がるような手立てを講じたとされておりますので、期待に沿えるように努力する所存です。
今回は多大なご理解を賜り、以下の団体様にご後援をいただきました。
本当にありがとうございました。
(後援予定)
雇用の安定に役立つために、この事業に傾注して少しでも中小企業の採用意欲が刺激され、若者の働く場が増えることを望んで諸団体様にはお話をさせていただきました。
雇用問題・労務管理・人事管理のプロである社会保険労務士が、中小企業の雇用面でのノウハウやソフトという側面でのサポートを通じ、地域の雇用に少しでも寄与したいとの願いを込めまして、当該事業の後援名義使用の申請をさせていただいたわけです。
リーマンショック以降の景気情勢は非常に予断を許さぬ状況であり、金融や財政、雇用対策等でせっかく一息つきかけてきたところに、ギリシアの財政破綻問題が明るみになり、企業の投資意欲はまだまだ上向きません。
企業における先行投資も少し増えたかと思いきや、内容を見ますと海外への投資が増えていることが確認され、内需拡大に寄与する情勢をまだ認識できずにおります。
そうした企業の情勢を受けて、現在の雇用環境は最悪期にあると認識できます。
大学卒業見込者も就職に大きな不安を抱え、専門学校生や高校生に至っては、本当に自分たちは就職できるのだろうかという、懐疑的な気持ちに支配されていると言っても過言ではありません。
働きたい若者が働けない世の中が果たして正常なものなのだろうかと疑念を挟まざるを得ないところであります。
かかる状況下、政府の緊急雇用対策等で各種予算が計上され、地域においても有効な対策となりえておりますが、中小企業においては、その浸透が完全では無いと認識されます。
それは偏に中小企業において、総務機能等の間接業務を担う部署が、人材が不十分などを理由に機能が強化されていないためと考えております。
助成金・補助金なども矢継ぎ早に発表されておりますが、その内容を咀嚼し、必要書類を適正に準備する機能が弱いところが、中小企業が助成金・補助金を有効に活用できない原因と捉えられます。
それが、ひいては雇用対策が軌道に乗り切れない遠因では無いかと想像するわけです。
人材は成長の原動力であり、教育、スポーツ、文化など様々な分野で、国民一人ひとりの能力を高めることが、社会の成長につながるものだと思います。
さらに、地域の活性化に向け、真に必要な社会資本整備については、民間の知恵と資金を活用して戦略的に進めるとともに、意欲あふれる中小企業を応援することが必要です。
様々な政治家の公約等をみましても、雇用については大きな鍵という認識が見て取れます。
社会を安定させようとしましたら、まずは雇用というキーワードはなるほどと合点せずにはおれません。
若者が安心して仕事に向ける社会に向けて、課題は山積しているものの、まずは国策をきちんと現場レベルで十分に理解し、その中で、打てる手立てを着実に積み上げる以外にはありえないと思われます。
懸命に厚生労働省委託事業「雇用保険コンサルティング事業」を頑張りぬく所存です。
言うまでもないことでありますが、まちづくりや地域活性のキーワードは雇用の安定ではないでしょうか。
働く場所があり、生計に困らないからこそ地域が活き活きと活性されるだろうと思われます。
日々の生活が脅かされる状況下では、地域生活は不安定になり、そして治安までをも揺るがします。
犯罪発生の高い先進国を観察しましても、貧困街に犯罪発生率が高いことからも覗える通りに、地域の安定の第一は雇用の安定だと言えるのではないでしょうか。
現在国は矢継ぎ早に雇用対策の施策を打ち、この状況を打破しようとする意図が十分に感じられます。
その雇用に対して計上された財源を生かすも殺すも、現場でその施策に接する企業の理解と姿勢に集約されるといっても過言ではありません。
中小企業の現況におきましては、人材がまだ十分ではありません。
経営者をサポートしたり、総務・経理系の人材が手薄だったり、現場作業における人材も不足している企業もあります。
職を求める人たちも、ややもすれば知名度やイメージで企業を選んでいるところもなきにしもあらずで、求職・求人のマッチングは完全では無いというのが、企業経営者をひとマネジメント分野でサポートしている我々社会保険労務士の感覚であります。
中小企業においても、もし助成金というもが十分に理解されていれば求人につながる可能性もあり、あるいは現存の従業員の戦力化も助成金等を活用することで果たせる可能性が高いものであります。
何事もそうでありますが、まずは制度に対する理解と、自社の的確な分析こそが第一のスタートであるように考えます。
そうした中小企業の雇用についての助成制度の理解を支援すべく、当該事業が行われておりましたが、周知等が十分ではなく、本当に支援しなくてはいけないような中小企業等がありえるように思えてならないわけです。
また企業においては、人材が全てであり、たった一人の有能な才能を採用できれば企業がガラッと変容を遂げることも珍しくはありません。
そうした企業活性、ひいてはまちづくり、地域活性の鍵を握るのが雇用安定であり、その施策についての周知活動は、今の時勢にありまして、大きな価値を持ち、この時期であればこそ、乾坤一擲の取り組みが望まれているように感じております。
]]>その当事者である従業員とその家族は、生活設計を根底から覆され、大きな影響を受けます。
従業員は誰しも、「自分は会社のためによく貢献した」という自負も持っているものです。
貢献してきたと自負する会社から「解雇する」と告げられるのは、心理的・精神的に大変ショックなことでしょう。
従って、解雇をして人員を整理・縮小しなければ経営が存続していけないと判断される、極限の状態に追い込まれてから行うことが筋です。
最後の手段とも言える「整理解雇」は、一番トラブルが生じやすいものです。
以下に、整理解雇(リストラ)における実務のポイントをまとめてみましたので、参考になさって下さい。
]]> 整理解雇の4要件まず整理解雇(リストラ)としての必要要件を充足しているか確認します。
整理解雇(リストラ)としての必要要件は4大要件として有名です。
企業が客観的に高度の経営危機下にあり、解雇による人員整理が必要不可欠な状況にあることが前提であり、必ずしも「人員整理をしなければ倒産必至」とまでの必要性が求められているわけではありません。
その客観的な経営危機の基準は議論百出しますが、限りなくやばいという状態です。
企業は、解雇を避けるためできるだけの努力を行う義務があります。
打つべき手を全て打ち尽くすということです。
調達先との値下げ交渉、下請業者との契約解除、希望退職の募集、職場への配置転換等の措置を十分に講じることになります。
労働組合または従業員に対する説明協議義務が十分に行われているかが重要で、結果として整理解雇が避けられない場合であっても、労働組合や従業員に対する十分な説明協議を行う必要があります。
ここで説明の手を抜いてしまうと、後に大きな禍根となります。
客観性を欠いた整理解雇(リストラ)対象者の選定を行った場合、解雇権の濫用として解雇が無効になります。
経営者の個人的な好き嫌いで人選を決めるようなことは断じてあってはなりません。
実際に整理解雇(リストラ)を実施するとなると、手続が非常に重要になります。
整理解雇(リストラ)における実務のポイントをみてみましょう。
それぞれ各論を述べてみます。
「雇用者は少なくとも30日前に予告する。予告しない場合は30日分以上の賃金を支払わなくてはならない」
と労働基準法に規定されていますので、十分注意が必要です。
(労働基準法20条、21条)
経営者の中には経営が苦しくなると、従業員を簡単に解雇する人がいたりします。
これは言語道断で、労働基準法違反となり解雇は無効となります。
解雇権乱用は厳禁ですので、十分に注意を払いましょう。
予告日数と予告手当とは、日割による換算が認められていますので、30日の予告日数の全部もしくは一部を、その日数分の平均賃金を支払うことで代替できます。
仕事が減り「明日から来なくていい」と申し渡すときは、30日分の平均賃金を、解雇予告手当てとして現金で支払わなくてはなりません。
整理解雇は、全員解雇と部分解雇に区別されます。
部分解雇の場合の人選基準は合理的に決めることが必要です。
基準として、年齢、勤続年数、扶養家族の有無、職業資格の保有の有無、出勤率などが考えられます。
客観的・合理的な判断基準をしっかりと準備しておきましょう。
解雇者の人数は、経営危機の状況に応じて適切に決定するべきです。
経営の状況に比較して多すぎると判断された場合、労働組合や従業員の反発を招くとともに、経営への不信感を起こさせる結果となります。
説明義務を十分に果たすことが本当に重要です。
それも偽り無く、誠心誠意の対応が大切です。
経営陣側と、従業員側では立場が全く違い、心理的には大きなギャップがあります。
こういったギャップがあるために、整理解雇をめぐったトラブルが発生するといえます。
経営陣は、けっこう従業員からの反乱を甘く考えている節がありますが、火事場の馬鹿力を侮ってはいけません。
自分が反対の立場だったらと、自問自答して、誠心誠意の対応を抜かりなく行いましょう。
]]>恐らく間違いないだろう。
]]> “隠れ失業者”という概念で論じられているが、緊急雇用対策の助成金で雇用がつながれている現状があり、それを考慮すると、失業率は8.8%に跳ね上がるというのだ。なんとも恐ろしい事態ではないか・・・
08年終盤来の景気の急激な悪化に伴い、08年補正予算、09年予算において、雇用対策関連の資金がかなり計上されたことは記憶に新しい。
特に「雇用調整助成金」の拡充や、「中小企業緊急雇用安定助成金」の創設拡充で、息も絶え絶えの状態で命をつないでいる企業が少なからず存在するのは、なんとなく実感できる。
自分も「雇用調整助成金」、「中小企業緊急雇用安定助成金」に関しては、企業がその申請をスムーズに行くことを応援しようと考え、申請様式のデータ無料ダウンロードサービスを6月から約2ヶ月間実施しているが、ダウンロード数、アクセス数がかなりの数を数えており、その関心の高さというか、深刻さの度合いを垣間見ることが出来る。
ちなみにそのダウンロードサービスのURLは次の通りである。
→ 中小企業緊急雇用安定助成金 申請様式ダウンロードサービス
この急場において、タイムリーで不可欠な助成金だったと思う。
この施策が無かったらと思うと、ぞっとしないではいられない。
ただ、である。
下記の参照記事にもあるように、産業構造の転換や、人手不足産業に対しての予算配分を通して、経済界全体のマッチングを図らないと、いたずらに問題を先送りにしていることにはならないのだろうか?
そうした疑問が、頭を過ぎる。
様々な経営者から話を聞くにつけ、そうした感覚は強くなる。
株価も足腰が弱いながらも、最悪の水準は脱し、なんとか上昇基調にある中で、今後の産業育成に寄与するような施策を本気で考え、実行していく時期ではないだろうか。
助成金頼みの現状では、根本対策として弱いものがあることは論を待たず、本気で自らが次代を考え、様々な人と意見交換をしなくてはいけないと思う次第だ。
【関連記事】
IZA -
(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/285059/)
“隠れ失業者”本当は失業率8.8%?
6月の完全失業率が5.4%と過去最悪(5.5%)に迫る中、実際の雇用情勢は数字よりもはるかに深刻だという声が高まっている。
解雇せずに一時休業などで雇用を維持する企業に国が給付する雇用調整助成金で、“隠れ失業者”の顕在化を食い止めているためだ。
助成金申請者は6月で約238万人に達し、これを含めると単純計算で失業率は8.8%に跳ね上がる。
衆院選でも雇用政策が大きな争点となりそうだ。
厚生労働省が集計した月ごとの申請状況によると、6月の対象者は前年同月の1774人に比べ1300倍超に激増した。
昨秋の米国発の金融危機以降の景気の急降下に加え、経済対策で適用条件が大幅に緩和されたためだ。
助成金がなければ、解雇されていた可能性があり、経済専門家の間では「隠れ失業者」と位置づける考えが広がっている。
これに対し、6月の完全失業者数(季節調整前)は約348万人。
助成金の申請者数には一時休業や職業訓練の重複があるが、単純に合計すると約586万人となる。
失業率として計算すると、8.8%に達し、米国の6月の9.5%に迫る高水準となる。
日本で失業率が過去最悪となった平成14、15年に比べ、現在は適用条件の緩和によってより多くの失業が食い止められており、日本総合研究所の山田久主任研究員は「実態はすでに史上最悪を超えている」と指摘する。
失業率の数値が実態とかけ離れていると、政策対応を誤る原因にもなり、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「失業率の過小評価は経済政策の立案にマイナスになる」と警鐘を鳴らす。
隠れ失業者の問題は、今後の雇用政策にも大きな影響を及ぼしそうだ。
助成金の原資は企業と従業員が折半で払う雇用保険料だが、実質的に国の税金も投入されており、救済を続けるコストは重い。
「中小企業では人件費の穴埋めに使うことが多い」(地方銀行幹部)と、“流用”を指摘する声もある。
過度の公的支援は、経済の構造改革や効率化を阻害する要因にもなり、日本総研の山田氏は「衰退事業、産業を延命させては本末転倒だ。雇用の受け皿となる成長産業への転換を促さないと、成長シナリオは描けない」と指摘する。
助成金制度のさらなる拡充など安全網の整備にとどまらず、環境などの新規産業の育成に加え、人手不足感が強い福祉や農業分野などに労働力を供給するミスマッチの解消が急務だ。
雇用をどう守り、創出していくのか。各党は政権選択を問う総選挙で、はっきりと示すことが求められている。
]]>裁判員制度がスタートするにあたり、就業規則にはどのような定めをする必要があるのか、気になるところだと思われますので、まとめてみました。
]]> 2008年11月28日頃に、裁判員候補者名簿に登録された方に「裁判員候補者名簿への記載のお知らせ」が送付されたとのことですが、自分の関与先でもお一人だけ、送付の例がありました。みなさまの会社では、すでに社内規定の対応はお済でしょうか?
就業規則での定めとなると、
「特別休暇の対象となる事由や特別休暇の具体的内容などについて定める必要がある」ということでしょう。
以下、裁判員等の仕事に従事するための特別休暇に関する規定を定めるに当たり、どのような点に注意すべきか順を追って確認します。
労働基準法第7条は、
「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。」
と定めています。
労働基準法第7条の「公の職務」とは、国会議員や労働委員会の委員の職務等法令に根拠を有する公の職務を指し、裁判員等としての職務も、この「公の職務」に当たります。
(昭和63年3月14日基発第150号、平成17年9月30日基発第0930006号)
したがって、裁判員等としての職務を遂行するために必要な時間を労働者から請求された場合、使用者は、これを拒否することはできません。
もっとも、法律上は、「公の職務を執行するために必要な時間」について、有給にすべきことまでは要求していませんので、有給にするか無給にするかは使用者が任意に定めることができます。
このように、使用者は、労働者から、裁判員等としての職務を遂行するために必要な時間を請求された場合、これを拒否することはできず、またその時間の賃金の取扱いは任意に定めることができますので、使用者は、あらかじめ、裁判員等となった労働者から、必要な時間を請求された場合の取扱いを定めておく必要があります。
労働者から必要な時間を請求された場合の取扱いとしては、
1.必要な時間の付与、
2.特別休暇の付与
という方法が考えられます。
以下では、「裁判員休暇」等の特別休暇を付与する制度を設ける場合について、どのような点に注意すべきかをご説明します。
まず、どのような場合に特別休暇を付与するかを明確にする必要があります。
例えば、「公の職務を執行する場合」と規定すると、地方議会議員を兼務している労働者が議員としての職務を遂行する場合も同規定に当たることになります。
そうすると、「公の職務を執行する場合」の特別休暇を有給として取り扱うこととすると、労働者が議員としての職務を遂行する場合の休暇に対しても、賃金を支払わなくてはならないことになってしまいます。
したがって、裁判員等としての職務を遂行するための休暇については有給とするが、議員等としての職務を遂行するための休暇については無給としたいような場合には、「裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員または裁判員候補者としての職務を遂行する場合」と具体的に特定して定めておくべきでしょう。
次に、裁判員等としての職務を遂行するための特別休暇の具体的な内容について定める必要があります。
まず、何日間の特別休暇を付与するかを定めておく必要がありますが、必要な休暇日数は、裁判員等として関与する事件等によって異なりますから、「裁判員等の職務を遂行するために必要な日数」と抽象的に定めておきます。
また、特別休暇を有給とするか無給とするかを、給与規定等で定めておく必要があります。
有給とする場合は、具体的に支給額まで定めておかなくてはなりません。
なお、完全月給制の場合は、労務の提供がなくても月給から賃金を控除しないという制度ですから、裁判員等が特別休暇を取得しても、その日の賃金を月給から控除することはできません。
裁判員候補者として裁判所に出頭しても、全員が裁判員等に選任されるわけではなく、不選任となる場合もあります。
不選任となった場合、半日で終了するので、労働者が複数日の特別休暇を取得していた場合の取扱いについても定めておく必要があります。
たとえば、「不選任となったときは、休暇は当日のみとする。」、または「不選任となったときは、翌日以降の休暇は成立しない。」と定めておくと良いでしょう。
ところで、裁判員休暇を有給にする場合、この有給の額を、会社が本来支払うべき有給休暇手当と裁判員等が受け取る日当との差額として支払うことにすることはできるのでしょうか?
裁判員休暇を有給とする場合には(そもそも休暇を有給とするか無給とするかは会社の判断に委ねられています)、会社から受け取る賃金と、裁判員に対して支払われる日当の両方を受け取ることになり、二重取りとして問題になってしまうのではないかという懸念があります。
しかし、裁判員の日当は、職務に対する報酬ではなく、裁判員の職務を行うに当たって生じる損害の一部を補償するという性格を有するものですので、報酬の二重取りには当たりません。
また、そもそも裁判員休暇に対して企業がこれを有給とするか否かは自由に決することができるのですから、あらかじめ、裁判所から日当を貰えると分かった上で、有給にする決定をした以上、両方を受け取ることに問題はありません。
最高裁判所HPにおいても、
「裁判員が有給休暇を取って裁判に参加した場合、日当と給与の両方を受け取ることになり、問題になりませんか。」との問いに対し、
「日当は裁判員の職務に対する報酬ではありませんので、裁判員が有給休暇を取って裁判に参加した場合でも、日当をお受け取りいただくことに問題はありません。」とされています。
それでは、本来会社で1日勤務していれば12,000円の賃金を受け取ることができたが、裁判員の職務に就いたため、8,000円の日当しかもらうことができない社員に対して、本来1日勤務していれば得られたであろう12,000円と8,000円との差額である、4,000円のみの支給とすることもできるのでしょうか。
前述のとおり、裁判員休暇についてはそもそも無給とすることも可能なのですから、単に有給とするのではなく、本来働いていたのであれば得られた金額との差額のみ支給するといった制度を構築することも、そのような特別休暇制度として設定した場合には可能ということになります。
ただし、このような場合、就業規則もしくは付属の賃金規程などに定めを置く必要がありますが、これについて単に「有給とする」という定めを置くだけでは、1日分の賃金を支給することとなってしまいますので、
「裁判員特別休暇を取得した者に対しては、当該日について所定時間労働した場合に得られる賃金と裁判所から受領した日当との差額のみを支給する」
などといった規定にしておくことが必要となります。
会社が有給の裁判員休暇を労働者に対し付与する場合に、この場合の手当の額を有給休暇手当と日当との差額とすることは、就業規則等に定めを置けば可能ということになります。
]]>労働条件の引下げや解雇などを行うことが、やむを得ない場合であっても、法令で定められていた規制や手続、労使間で定めた必要な手続等を遵守するとともに、事前に十分な労使間での話合いや労働者への説明を行うことが最低限必要です。
]]> こうしたことを行わず、安易に労働条件の引下げ等を行う場合には、労使の信頼関係を損ね、企業活動の低下を招く悪循環になりえます。とりわけ解雇については、労働者の生活に大きな打撃を及ぼすものであることから、雇用調整を行わざるを得ない場合であっても、労働契約法の規定を踏まえ、また、関係する裁判例をも参考に、解雇以外に方法がないか慎重に検討を行っていただくことが望まれます。
ここでは、労働条件の引下げや解雇をやむを得ず検討しなければならない場合であっても守らなければならない法令の概要や、労務管理上参考となる裁判例の主なものを取りまとめました。
労働条件の確保に向けた適切な労務管理の参考にしていただければありがたい次第です。
労働条件の変更については、労働契約法にルールが定められています。
使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。
【法令】
労働条件は、合意によって変更することが原則です。
労働者と使用者が合意すれば、労働条件を変更することができます。
(労働契約法第8条)
使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。
就業規則によって労働条件を変更する場合には、内容が合理的であることと、労働者に周知させることが必要です。
【法令】
使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。
(労働契約法第9条)
使用者が、就業規則の変更によって労働条件を変更する場合には、次のことが必要です。
(労働契約法第10条)
1.その変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。
o労働者の受ける不利益の程度
o労働条件の変更の必要性
o変更後の就業規則の内容の相当性
o労働組合等との交渉の状況
2.労働者に変更後の就業規則を周知させること。
厳しい経済情勢下であっても、労働者が安心して生活していくためには、賃金や退職金が確実に支払われることが必要不可欠です。
賃金の支払等については、労働基準法等に定められたルールを遵守する必要があります。
賃金の確実な支払は事業主にとっての大きな責務です。
【法令】
賃金は、
1.通貨で、
2.直接労働者に、
3.全額を、
4.毎月1回以上、
5.一定の期日を定めて
支払わなければなりません。(労働基準法第24条)
賃金は、労働者にとって重要な生活の糧であり、確実な支払が確保されなければなりません。
退職金は労働者の退職後の生活に重要な意味を持つものであり、また、社内預金は労働者の貴重な貯蓄ですので、万一、企業が倒産した場合であっても、労働者にその支払や返還が確実になされなければなりません。
社内預金制度を行う場合には、確実な返還のための保全措置を講じなければならず、また、退職金制度を設けている場合にも、確実な支払のための保全措置を講ずるように努めなければなりません。
(賃金の支払の確保等に関する法律第3条、第5条)
企業側の都合で休業させた場合には、労働者に休業手当を支払い、一定の収入を保障する必要があります。
【法令】
一時帰休など企業側の都合(使用者の責に帰すべき事由)により所定労働日に労働者を休業させた場合には、休業させた日について少なくとも平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければなりません。
(労働基準法第26条)
未払賃金の立替払制度は、企業が倒産したため賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、その未払賃金の一定範囲について国((独)労働者健康福祉機構)が事業主に代わって支払う制度です。
詳しくは最寄りの労働基準監督署にお問い合わせください。
参考:未払賃金の立替払制度の概要
労働基準法については、労働基準監督署による監督指導や罰則によって、その履行が確保されます。
労働契約法に定められた事項を含め民事上の紛争については、簡易・迅速に解決するための仕組として、「個別労働紛争解決システム」が用意されています。
これは、労働問題への高い専門性を有する都道府県労働局において、無料で個別労働紛争の解決援助サービスを提供するもので、
o総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談
o都道府県労働局長による助言・指導
o紛争調整委員会によるあっせん
があります。
男女雇用機会均等法については、各都道府県労働局雇用均等室による助言・指導・勧告によって、その履行が確保されます。
また、性別を理由とした解雇等に関する差別的取扱い、女性労働者の婚姻、妊娠、出産等を理由とする解雇等の不利益取扱いに関する紛争については、都道府県労働局長による助言・指導・勧告及び機会均等調停会議による調停により解決を図る制度があります。
パートタイム労働法については、各都道府県労働局雇用均等室による助言・指導・勧告によってその履行が確保されます。
また、通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者に対する解雇等差別的取扱いに関する紛争については都道府県労働局長による助言・指導・勧告及び均衡待遇調停会議による調停により解決を図る制度があります。
個別労働紛争の解決を図るために、これらの制度をご利用ください。
法令違反で自らを苦しくしないように、参考になさって下さい。
]]>労働条件の引下げや解雇などを行うことが、やむを得ない場合であっても、法令で定められていた規制や手続、労使間で定めた必要な手続等を遵守するとともに、事前に十分な労使間での話合いや労働者への説明を行うことが最低限必要です。
]]> こうしたことを行わず、安易に労働条件の引下げ等を行う場合には、労使の信頼関係を損ね、企業活動の低下を招く悪循環になりえます。とりわけ解雇については、労働者の生活に大きな打撃を及ぼすものであることから、雇用調整を行わざるを得ない場合であっても、労働契約法の規定を踏まえ、また、関係する裁判例をも参考に、解雇以外に方法がないか慎重に検討を行っていただくことが望まれます。
ここでは、労働条件の引下げや解雇をやむを得ず検討しなければならない場合であっても守らなければならない法令の概要や、労務管理上参考となる裁判例の主なものを取りまとめました。
労働条件の確保に向けた適切な労務管理の参考にしていただければありがたい次第です。
企業においては、労働基準法、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」、労働契約法等に定められたルールを遵守することはもとより、解雇・雇止め等に関する裁判例も参考にして適切に労務管理を行い、労使間でトラブルにならないようにする必要があります。
一定の場合には、解雇が法律で禁止されています。
【法令】
法律で解雇が禁止されている主な場合として、次のものがあります。
1.業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇(労働基準法第19条)、
2.産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇(労働基準法第19条)、
3.国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労働基準法第3条)、
4.労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇(労働基準法第104条)、
5.労働組合の組合員であること等を理由とする解雇(労働組合法第7条)、
6.女性(男性)であること、女性の婚姻、妊娠、出産、産前産後休業等を理由とする解雇(男女雇用機会均等法第6条、第9条)、
7.育児・介護休業の申出をしたこと、育児・介護休業を取得したことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条、第16条)、
8.通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者について、パートタイム労働者であることを理由とする解雇(パートタイム労働法第8条)、
9.公益通報をしたことを理由とする解雇(公益通報者保護法第3条)
1.期間の定めのない労働契約の場合
権利の濫用に当たる解雇は、労働契約法の規定により、無効となります。
【法令】
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利を濫用したものとして、無効となります。(労働契約法第16条)
2.有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合
やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間中に解雇することはできません。
期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断されます。
【法令】
有期労働契約については、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間において、解雇することはできません。
(労働契約法第17条)
労働契約法は、労働契約の基本的なルールを定めています。
罰則はありませんが、解雇等に関して、民法の権利濫用法理を当てはめた場合の判断の基準など、私法上の効果を明確化するものです。
民事裁判や労働審判は、労働契約法の規定を踏まえて行われます。
参考:労働契約法
【裁判例】
余剰人員となったというだけで解雇が可能なわけではなく、これが解雇権の行使として、社会通念に沿う合理的なものであるかどうかの判断を要し、その判断のためには、人員整理の必要性、人選の合理性、解雇回避努力の履践、説明義務の履践などは考慮要素として重要なものというべきである。
(大阪地裁平成12年12月1日判決)
【法令】
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の主な内容は、次のとおりです。
1.使用者は、有期労働契約の締結に際し、更新の有無や更新の判断基準を明示しなければなりません。
2.有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続勤務している有期契約労働者について、有期労働契約を更新しない場合には、少なくとも30日前までに予告をしなければなりません。
3.雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求したときには、遅滞なく証明書を交付しなければなりません。
4.有期労働契約が1回以上更新され、かつ、1年を超えて継続勤務している有期契約労働者について、有期労働契約を更新しようとする場合には、契約の実態及び労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。
有期労働契約(期間の定めのある労働契約)については、その締結時や期間の満了時における紛争を未然に防止するため、使用者が講ずるべき措置について、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」が定められています。
o人員削減を行う必要性
oできる限り解雇を回避するための措置を尽くすこと
o解雇対象者の選定基準が客観的・合理的であること
※解雇回避のための方法としては、例えば、配置転換、出向、希望退職募集等を検討することが考えられます。
※人員削減を避けるために、労働時間の短縮(ワークシェアリング)を行うことも、一つの方策です。
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」は労働基準法に基づく厚生労働大臣の告示であり、雇止めの手続等について定めています。 罰則はありませんが、労働基準監督署において遵守のための指導が行われます。
参考:有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
また、これまでの裁判例を参考にすれば、労働組合との協議や労働者への説明を行うとともに、次のことについて慎重に検討を行っていただくことが望まれます。
整理解雇についても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、権利の濫用として、労働契約法の規定により、無効となります。
裁判例によれば、契約の形式が有期労働契約であっても、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約である場合や、反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇に関する法理の類推適用等がされる場合があります。
【裁判例】
o期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で労働契約が存在していたといわなければならない場合、雇止めの意思表示は実質において解雇の意思表示にあたり、雇止めの効力の判断に当たっては、解雇に関する法理を類推すべきである。
(最高裁第一小法廷昭和49年7月22日判決)
o期間の定めのない契約と実質的に異ならない関係が生じたということはできないものの、季節的労務や臨時的労務のために雇用されたのではなく、その雇用関係はある程度の継続が期待されていたものであり、5回にわたり契約が更新されていたのであるから、このような労働者を契約期間満了によって雇止めするに当たっては、解雇に関する法理が類推される。
(最高裁第一小法廷昭和61年12月4日判決)
【裁判例】
採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定の取消しには、労働契約法第16条の解雇権の濫用についての規定が適用されます。
採用内定通知等に採用内定取消事由が記載され、解約権が留保されている場合がありますが、裁判例によれば、採用内定の取消事由は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られるとされています。
採用内定の実態は多様であるため、その法的性質を一義的に論断することはできないが、採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示が予定されていない場合、企業からの採用内定通知は労働者からの労働契約の申込みに対する承諾であり、誓約書の提出と相まって、就労の始期を定めた解約権を留保した労働契約が成立したと解する。
採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことは、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる。
(最高裁第二小法廷昭和54年7月20日判決)
【裁判例】
裁判例によれば、被勧奨者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨は、違法な権利侵害に当たるとされる場合があります。
ことさらに多数回、長期にわたる退職勧奨は、いたずらに被勧奨者の不安感を増し、不当に退職を強要する結果となる可能性が高く、退職勧奨は、被勧奨者の家庭の状況、名誉感情等に十分配慮すべきであり、勧奨者の数、優遇措置の有無等を総合的に勘案し、全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であった場合には、当該退職勧奨行為は違法な権利侵害となる。
(最高裁第一小法廷昭和55年7月10日判決)
【法令】
1.解雇を行う場合には、解雇しようとする労働者に対して、
イ.少なくとも30日前に解雇の予告(予告の日数が30日に満たない場合には、その不足日数分の平均賃金を支払う必要があります。)
ロ.予告を行わない場合には、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払をしなければなりません。(労働基準法第20条)
2.どのような場合に解雇するかなど退職に関することは、労働条件の重要な事項です。
このため、解雇・定年制等の退職に関する事項については、就業規則に定めておかなければなりません。
また、就業規則は、常時各作業場の見やすい場所に掲示又は備え付けること、書面を交付すること等により労働者に周知しなければなりません。
(労働基準法第89条、第106条)
やむを得ず解雇を行う場合でも、労働基準法にしたがって、30日前に予告を行うことや、予告を行わない場合には解雇予告手当を支払うことが必要です。
労働者から請求があった場合には、解雇の理由等について、証明書を交付する必要があります。
やむを得ず一定期間内に相当数の離職者が発生する場合や高年齢者・障害者・外国人を解雇する場合は、ハローワークに届出や通知を行うことが必要です。詳しくは最寄りの都道府県労働局又はハローワークにお問い合わせ下さい。
参考:ハロ-ワークへの届出や通知
【法令】
労働者が退職する場合に、以下の事項について証明書を請求したときには、遅滞なく証明書を交付しなければなりません。
また、労働者に解雇の予告をした場合に、労働者が解雇の理由について証明書を請求したときには、遅滞なく証明書を交付しなければなりません。
(労働基準法第22条)
1.使用期間
2.業務の種類
3.その事業における地位
4.賃金
5.退職の事由(解雇の場合は、その理由を含みます。)
法令違反で自らを苦しくしないように、参考になさって下さい。
]]>長時間労働を抑制し、労働者の健康確保や、仕事と生活の調和を図ることを目的とする「労働基準法の一部を改正する法律」(平成20年法律第89号)が、平成20年12月12日に公布され、平成22年4月1日から施行となります。
ここでは、改正のポイントを解説してまいります。
内容のご理解の一助になればありがたい次第です。
(改正法第37条第1項、第138条)
(中小企業については、当分の間、適用が猶予されます)
時間外労働の割増賃金率が次のように引き上げられます。
1か月に60時間を超える時間外労働を行う場合・・・50%以上
1か月60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が、現行の25%から50%に引き上げられます。
割増賃金率の引上げは、時間外労働が対象です。
ただし、中小企業については、当分の間、法定割増賃金率の引上げは猶予されます。休日労働(35%)と深夜労働(25%)の割増賃金率は、変更ありません。
(注) 中小企業の割増賃金率については、施行から3年経過後に改めて検討することとされています。
※ 猶予される中小企業
資本金の額または出資の総額 | |
小売業 | 5,000万円以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 |
卸売業 | 1億円以下 |
上記以外 | 3億円以下 |
常時使用する労働者数 | |
小売業 | 50人以下 |
サービス業 | 100人以下 |
卸売業 | 100人以下 |
上記以外 | 300人以下 |
(注)事業場単位ではなく、企業(法人または個人事業主)単位で判断されます。
(改正法第37条第3項)
事業場で労使協定を締結すれば、1か月に60時間を超える時間外労働を行った労働者に対して、改正法による引上げ分(25%から50%に引き上げた差の25%分)の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を付与することができます。
この有給の休暇は、長時間の時間外労働を行ったときから一定の近接した期間内に、半日単位などまとまった単位で付与することが考えられますが、詳細は改正法の施行までに、労働政策審議会で議論の上、厚生労働省令で定められます。
労働者がこの有給の休暇を取得した場合でも、現行の25%の割増賃金の支払は必要です。
労働者が実際に有給の休暇を取得しなかった場合には、50%の割増賃金の支払が必要です。
【具体例】
時間外労働を月76時間行った場合
→ 月60時間を超える16時間分の割増賃金の引上げ分25%(50%-25%)の支払に代えて、有給の休暇付与も可能
→ 16時間×0.25=4時間分の有給の休暇を付与(76時間×1.25の賃金の支払は必要)
(企業規模にかかわらず、適用されます)
限度時間(1か月45時間)を超える時間外労働を行う場合・・・25%を超える率
「時間外労働の限度基準」(平成10年労働省告示第154号:限度基準告示)により、1か月に45時間を超えて時間外労働を行う場合には、あらかじめ労使で特別条項付きの時間外労働協定を締結する必要があります。
それに加え、新たに、
1.特別条項付きの時間外労働協定では、月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること
2.1の率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするように努めること
3.月45時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めること
が必要となります。
労使は、時間外労働協定の内容が限度基準告示に適合したものとなるようにしなければなりません。(労働基準法第36条第3項)
今後、改正法の施行までに、労働政策審議会で議論の上、限度基準告示が改正される予定です。
(企業規模にかかわらず適用されます)
(改正法第39条第4項)
現行では、年次有給休暇は日単位で取得することとされていますが、事業場で労使協定を締結すれば、1年に5日分を限度として時間単位で取得できるようになります。
所定労働日数が少ないパートタイム労働者の方なども、事業場で労使協定を締結すれば、時間単位で取得できるようになります。
1日分の年次有給休暇が何時間分の年次有給休暇に当たるかは、労働者の所定労働時間をもとに決めることになりますが、詳細は改正法の施行までに、労働政策審議会で議論の上、厚生労働省令で定められます。
年次有給休暇を日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、労働者が自由に選択することができます。
例えば、労働者が日単位で取得することを希望した場合に、使用者が時間単位に変更することはできません。
それを契機に、当事務所に
「労働契約法とは何か? 就業規則はそうすればいいのか?」
という問い合わせが入ってきます。
そうした状況を踏まえ、職場の労働契約の約款たる就業規則について目を向け、労働契約法との関係、就業規則の役割とその規定内容の意義、その作成の仕方について言及してみます。
]]> 日本特有のウエットな労使関係の部分を明確にする方法としては、労働契約書の作成・労働協約の締結などの方法もありますが、広く職場の秩序を定め、労働条件を保障するものとしては、何といっても就業規則ということになるでしょう。就業規則のもつ重要性を再認識する必要性があると思います。
しかしながら、企業内の労働者で、就業規則になれ親しんでいる方は、残念ながら一握りの数しかいないのではないでしょうか。
労働者側もその原因ですが、無味乾燥な文章で難解な内容しか規定してこなかった企業側の姿勢にも問題があったことも事実です。
今後は労使ともに、就業規則に親しみ、普段から活用しやすい内容にしていくことの工夫が必要です。
労働契約法により、労働契約の締結・変更を就業規則により行う根拠が与えられたと捉えられます。
労働者の労働条件は、労働者と使用者の間の労働契約により定められるのが原則です。
そして、労働契約法3条1項は、
「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。」
ということであり、結局、労働者の労働条件は、労働者と使用者との労働契約により決められることが本来の姿です。
しかしながら、日本の企業社会においては、労働条件の一部については労働者と使用者との合意によって契約で決められることもありますが、多くは、その企業における就業規則で決められることになっています。
なぜ、そのようなことになるのか、という疑問もそもそもあります。
なぜなら、就業規則は、使用者が定めるものであり、労働者の過半数労働組合(それがなければ過半数代表者)は意見を聴取されるにとどまるからです。
つまり、使用者が一方的に定めることのできる就業規則がなぜに労働条件を決めることができるのかということですが、この点については、判例では、就業規則の定める労働条件もそれが合理的な内容であれば労働契約の内容になるという考え方がありました(日立製作所事件最高裁平3・11・28判決)。
今回、労働契約法でもその趣旨は盛り込まれ、7条本文において、
「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則の定める労働条件によるものとする。」
と定められました。
ただし、この場合にも、7条但書は、労働条件のすべてが就業規則で決められるわけではないとしてその例外を定め、
「労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分についてはこの限りでない。」
と定めています。
ですから、就業規則を作成する使用者としては、まず、その就業規則の内容を合理的なものにすることが必要で、さらに、それを周知することも必要といえます。
次に、一旦定めた就業規則で定めた労働条件について変更する場合には、どうするのかということですが、これも労働条件が労使当事者の合意によることになるためにその変更は原則として労使当事者の合意になります。
労働契約法8条は、
「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」
と定めています。
ところが、労働者個々入の同意がとれない場合には、就業規則を変更して労働条件を変更できるかといえば、これについては従来からの判例があり、労働契約法も形成されてきた判例理論に則って定められました。
労働契約法9条は、
「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」
として原則論を打ち出したものの、やはり、合理性がある場合にはその部分について有効と定めているのです。
労働契約法10条は、
「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度・労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」
と定めています。
ただし、同条但書で、この場合にも、
「労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分について」
は就業規則の定めには拘束されないということになります。
このように、労働者と使用者とが、就業規則で定める内容と異なる労働条件を合意している場合には、その間の労働条件は就業規則によらないということになりますが、それ以外は内容の合理性が認められて周知されていれば、就業規則で定めた内容が労働条件になるという根拠が明確に与えられたことになり、企業としては、その分、就業規則を作成する意義があるということになるでしょう。
他方、労働条件を変更する場合も、労使当事者で就業規則の変更によっては変更されないという合意のない限り、合理性が認められて周知されている就業規則の変更は有効と定められたために、企業としては、労働条件の変更も就業規則の変更でよいことになり、その根拠が明確に与えられたということになります。
なお、労働契約法では、労働者の健康や家庭生活との両立(ワークライフ・バランス)も考慮しています。
同法3条3項は、
「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、変更すべきものとする。」
と定めていますが、
就業規則の役割を考えれば、就業規則を作成したり、変更する際にも、ワークライフ・バランスを考慮して健康や家庭とのバランスを考えなければなりません。
]]>協会けんぽ(全国健康保険協)に変更になったことで、何が変わって、何が従来通りなのか、協会けんぽ(全国健康保険協)のホームページを参考にまとめてみましたので参考になさって下さい。
各都道府県支部も掲載しておきます。
内容のご理解の一助になればありがたい次第です。
協会けんぽとは、中小企業等で働く従業員やその家族の皆様が加入されている健康保険(政府管掌健康保険)は、従来、国(社会保険庁)で運営していましたが、平成20年10月1日、新たに全国健康保険協会が設立され、協会が運営することとなりました。
この協会が運営する健康保険の愛称を「協会けんぽ」といいます。
これは健康保険がもっと身近なものとなるようシンボルマークとともに公募により選定されたものです。
1.組織や職員が変わります。
協会は、非公務員型の法人として新たに設立される保険者であり、職員は公務員ではなく民間職員です。
協会の理事長や各都道府県の支部長はすべて民間出身者が登用されています。民間のノウハウを積極的に採り入れていきます。
2.サービスが変わります。
民間のノウハウやIT・システムを活用し、被保険者や事業主の皆様の視点からサービスの向上を図っていきます。
3.地域により密着した運営に変わります。
都道府県ごとに支部を設け、地域の身近な保険者として地域の被保険者や事業主の皆様のご意見に基づき、生活習慣病の予防など地域の実情に応じた事業を展開していきます。
4.仕事の仕方が変わります。
民間の法人として職員の意識改革を図り、能力と実績に基づく人事制度の徹底を図るとともに、業務改革を進め、運営の効率化を図っていきます。
医療機関で受診された場合の自己負担の割合や高額な医療費の場合の負担の限度額、傷病手当金などの現金給付の金額や要件など、健康保険の給付の内容は、協会設立後もこれまでと変わりません。
また、被保険者証については、平成20年10月以降順次、新たな被保険者証への切替えを行っていきますが、切替えが完了するまで現在お持ちの被保険者証は引き続き医療機関等で使用できます。
以下が協会けんぽの都道府県支部になります。参考になさって下さい。
支部名 | 郵便番号 | 所在地 | 電話番号 | FAX番号 |
北海道 | 〒060-8524 | 札幌市北区北7条西4-3-1 新北海道ビル | 011-726-0352 | 011-726-0380 |
青森 | 〒030-8552 | 青森市長島2-25-3 ニッセイ青森センタービル | 017-721-2799 | 017-721-2668 |
岩手 | 〒020-8508 | 盛岡市中央通1-7-25 朝日生命盛岡中央通ビル | 019-604-9009 | 019-604-9117 |
宮城 | 〒980-8561 | 仙台市青葉区国分町3-6-1 仙台パークビル | 022-714-6850 | 022-714-6857 |
秋田 | 〒010-8507 | 秋田市川元山下町5-21 | 018-883-1800 | 018-883-1544 |
山形 | 〒990-8587 | 山形市幸町18-20 JA山形市本店ビル | 023-629-7225 | 023-629-7217 |
福島 | 〒960-8546 | 福島市栄町6-6 NBFユニックスビル | 024-523-3915 | 024-523-3841 |
茨城 | 〒310-8502 | 水戸市南町3-4-57 水戸セントラルビル | 029-303-1500 | 029-303-2100 |
栃木 | 〒320-8514 | 宇都宮市大通り1-4-22 住友生命宇都宮第2ビル | 028-616-1691 | 028-616-1535 |
群馬 | 〒371-8516 | 前橋市本町2-2-12 前橋本町スクエアビル | 027-219-2100 | 027-219-2106 |
埼玉 | 〒330-8686 | さいたま市大宮区土手町1-49-8 G・M大宮ビル | 048-658-5911 | 048-658-6061 |
千葉 | 〒260-8645 | 千葉市中央区富士見2-20-1 日本生命千葉ビル | 043-308-0521 | 043-308-0633 |
東京 | 〒141-8585 | 品川区大崎5-1-5 高徳ビル | 03-5759-8025 | 03-5759-8036 |
神奈川 | 〒240-8515 | 横浜市保土ヶ谷区神戸町134 横浜ビジネスパークイーストタワー | 045-339-5533 | 045-339-5575 |
新潟 | 〒950-8613 | 新潟市中央区弁天3-2-3 ニッセイ新潟駅前ビル | 025-242-0260 | 025-242-0280 |
富山 | 〒930-8561 | 富山市神通本町1-1-19 富山駅西ビル | 076-431-6155 | 076-431-6158 |
石川 | 〒920-8767 | 金沢市南町4-55 住友生命金沢ビル | 076-264-7200 | 076-264-7206 |
福井 | 〒910-8541 | 福井市大手3-4-1 福井放送会館 | 0776-27-8300 | 0776-27-8306 |
山梨 | 〒400-8559 | 甲府市丸の内3-32-12 甲府ニッセイスカイビル | 055-220-7750 | 055-220-7757 |
長野 | 〒380-8583 | 長野市南長野西後町1597-1 長野朝日八十二ビル | 026-238-1250 | 026-238-1257 |
岐阜 | 〒500-8667 | 岐阜市橋本町2-8 濃飛ニッセイビル | 058-255-5155 | 058-255-5165 |
静岡 | 〒420-8512 | 静岡市葵区日出町2-1 田中産商第一生命共同ビル | 054-275-6601 | 054-275-6609 |
愛知 | 〒461-8515 | 名古屋市東区葵1-13-8 アーバンネット布池ビル | 052-979-5190 | 052-979-5217 |
三重 | 〒514-1195 | 津市久居新町3006 ポルタひさい南棟 | 059-254-6688 | 059-254-5535 |
滋賀 | 〒520-8513 | 大津市梅林1-3-10 滋賀ビル | 077-522-1099 | 077-522-1138 |
京都 | 〒604-8508 | 京都市中京区烏丸通六角下ル七観音町634 カラスマプラザ21 | 075-256-8630 | 075-256-8670 |
大阪 | 〒541-8549 | 大阪市中央区平野町2-3-7 アーバンエース北浜ビル | 06-6201-7070 | 06-6201-7080 |
兵庫 | 〒651-8512 | 神戸市中央区御幸通6-1-12 三宮ビル東館 | 078-252-8701 | 078-252-8712 |
奈良 | 〒630-8535 | 奈良市大宮町7-1-33 奈良センタービル | 0742-30-3700 | 0742-30-3670 |
和歌山 | 〒640-8516 | 和歌山市六番丁5 和歌山第一生命ビル | 073-421-3100 | 073-421-3116 |
鳥取 | 〒680-8560 | 鳥取市扇町58 ナカヤビル | 0857-25-0050 | 0857-25-0060 |
島根 | 〒690-8531 | 松江市学園南1-2-1 くにびきメッセ | 0852-59-5139 | 0852-59-5352 |
岡山 | 〒700-8506 | 岡山市本町6-36 第一セントラルビル | 086-803-5780 | 086-803-5750 |
広島 | 〒732-8512 | 広島市東区光町1-10-19 日本生命広島光町ビル | 082-568-1011 | 082-568-1130 |
山口 | 〒754-8522 | 山口市小郡下郷312-2 山本ビル第3 | 083-974-0530 | 083-974-0534 |
徳島 | 〒770-8541 | 徳島市沖浜東3-46 Jビル西館 | 088-602-0250 | 088-602-0717 |
香川 | 〒760-8564 | 高松市鍛冶屋町3 香川三友ビル | 087-811-0570 | 087-811-4550 |
愛媛 | 〒790-8546 | 松山市三番町7-1-21 ジブラルタ生命松山ビル | 089-947-2100 | 089-947-2133 |
高知 | 〒780-8501 | 高知市本町4-2-40 ニッセイ高知ビル | 088-820-6010 | 088-820-6023 |
福岡 | 〒812-8670 | 福岡市博多区上呉服町10-1 博多三井ビルディング | 092-283-7621 | 092-283-7629 |
佐賀 | 〒840-8560 | 佐賀市駅南本町6-4 佐賀中央第一生命ビル | 0952-27-0611 | 0952-27-0617 |
長崎 | 〒850-8537 | 長崎市万才町3-5 朝日生命長崎ビル | 095-829-6000 | 095-829-6010 |
熊本 | 〒862-8520 | 熊本市水前寺1-20-22 水前寺センタービル | 096-340-0260 | 096-340-0377 |
大分 | 〒870-8570 | 大分市東春日町1-1 NS大分ビル | 097-514-3077 | 097-514-3152 |
宮崎 | 〒880-8546 | 宮崎市橘通東1-7-4 第一宮銀ビル | 0985-35-5364 | 0985-35-5393 |
鹿児島 | 〒892-8540 | 鹿児島市金生町4-10 アーバンスクエア鹿児島ビル | 099-219-1734 | 099-219-1743 |
沖縄 | 〒900-8512 | 那覇市旭町114-4 おきでん那覇ビル | 098-951-2211 | 098-951-2295 |
そんなわけで、マイカー通勤管理についてまとめたレポートを、当事務所のレポートダウンロードサイトにアップしました。
]]> 規程の雛形も探してらっしゃるケースも多いようなので、レポートの最後にマイカー通勤管理規程の雛形も掲載しました。ご希望の方は、次のリンクからどうぞ。
ただしPDFなので、加工はできません。
プリントしてご覧になっていただくようです。
ご興味のある方はぜひダウンロードの上、ご覧下さい。
マイカー管理については、かなり前にエントリーしております。
そちらで内容を確認いただければ幸いです。
平成24年3月末で、税制適格退職年金(適格年金、適年:てきねん)は制度が廃止されます。
現在はその移行期間であり、「他の制度への移行など」の選択を迫られています。
適格年金をどうすればよいのか、完全に退職給付制度は廃止する方が良いのか、残した方が良いのかを検討し、参考となる手法と退職給付制度について考え方を整理してみます。
]]> 税制適格退職年金の問題を以下に列記します。税制適格退職年金は退職金規程を国税庁に届け出て受理されることが要件でした。
実際に私も適格年金(適年)は生保時代に数社販売したのですが、当時は退職金規程のなす法的な重みを全く自覚していませんでした。
退職金は規定化すれば当然のこと、明文化されていなくとも、企業に退職の給付を行う慣例があれば、いわゆる労働基準法11条に定められる「賃金」に該当します。
「賃金」に該当すると言うことは、極端な話、倒産しても会社はその給付を支払わなければならないという、非常に重い労働債務たりえるのです。
正直なところ、企業の実態や考え方にマッチした退職金規程を生命保険会社や信託銀行がしっかりと行ったとは考えられません。
出来合いの雛形に、日付と社名を記入して提出している可能性があります。
次に述べる積み立て不足が一時期クローズアップされましたが、実はこの退職金規程で定めた額と実際の積立額には大きな隔たりがあり、この不整合こそが本当の恐るべき問題だと自分は考えています。
過去に生命保険会社・信託銀行は、高金利を背景に、掛け金(保険料)を運用利率を5.5%で見積り、それで計算していました。
早い話が、掛け金(保険料)を安めに見積もっていたわけです。
運用利率が、高い時代は良かったのですが、現在は運用状態が悪いです。
そのため、退職年金の積立不足が生じるようになってきました。
5.5%で計算された掛け金ですが、現実的に運用利回りが1%であれば、積立不足は当然の帰結であり、掛け金は増額しないとやっていけません。
退職金・退職一時金・退職年金に関する主な制度をご紹介します。
中退共(ちゅうたいきょう)
適格年金からの移行制度として、候補ナンバー1。
助成制度があり、安全性も高い(政府の特殊法人が運営しているため)。
一時金としてだけでなく、分割(年金)形態での受取も可能。
ただし中小企業しか対象にならない。
特退共(とくたいきょう)
制度的には、中退共とほぼ同じ。
掛け金が、1000円から認められるほか、短期の退職にも対応する。
商工会議所・商工会が窓口となり手続をするが、運営は生命保険会社が委託されて行っている。
生命保険会社の福利厚生プラン
生命保険会社が提案する退職給付準備制度の代表的なもの。
事業資金の一時的な借り入れとして使うこともでき、経営者様からの人気はむしろ中退共より高い。
賃金確定法の対象外なので、そこは注意。
運用は、もちろん各社によって違うがかなり自由度が高い。
自分は生保機関長経験者なので、かなり理解が深いと自負している。
確定拠出型年金(401k、DC)
「掛ける金額だけ決まっている」退職年金制度。
中小企業にとっては、毎年の投資教育の経費や60歳以後しか支給されないこともあって、中小企業のように人材の流動が一般的な企業は、他の制度(退職一時金)の準備が必要になると考える。
企業の財務リスクを従業員に転化できるわけだが、その分、従業員への投資教育というコストが発生する。
確定給付年金(DB)・厚生年金基金
適格年金移行からのナンバーワン候補だと自分は考えます。
ただ中小・零細企業であれば、事業主側にとっては財務面で大変です。
自社の退職金制度にマッチさせた運用が可能であり、オーダーメイド商品ということを考えれば、財務面の負担に目をつぶれば良い制度だと思う。
自社(社内)積立:有税積立
退職給与引当金の廃止で、社内で退職金を積み立てた場合は、課税されます。
特殊な事情がない限り、おすすめしません。
何らかの制度を利用しないで法人税を払うことは、資金の有効活用の点から適切ではないと思われます。
始めに行うのは、現規程から計算された積立不足の正確な把握です。
また人事戦略を中長期的な観点から点検し、将来自社をどうしたいのか方向付けます。
退職金規程(退職一時金・退職年金)を見直します。
就業規則や人事考課規程等の関連規程までも整合性を図る必要があります。
ただし、不利益変更には注意が必要です。
もし不利益変更がやむなしということであれば、労働組合や従業員からの同意がスムーズにいくような方策を慎重に検討し、実行する必要があります。
このような厳しい時代なので、不利益変更も仕方がないとも思いますが、宝である従業員の士気を落とさないよう、多方面からの方策を検討します。
現在の退職金規程の不整合、積み立て不足を良く把握した上で、
中退共へ移行します。追加の費用負担が不要だからです。
黒字の企業様であれば、生命保険会社の福利厚生プランへのご加入もありでしょう。
赤字の企業様であれば、個別に一緒に悩みましょう。
※ 当事務所でのおすすめの一例です。
各企業様のご事情を判断したうえで、移行策をご提案しております。
初回相談および簡易診断
訪問させていただき、ご相談を承ります。
下記の書類をご準備ください。全てコピーでお願いします。
o労働者名簿、最近の賃金台帳または給与支払一覧表
(エクセルデータまたはテキストデータで)
o適格年金の決算書
(委託先の生命保険会社から送られているか、ない場合はそちらへご請求ください)
o退職金規程(退職一時金・退職年金)
o賃金規定
o職能資格制度などの人事制度を導入されている場合は、それらの運用マニュアル等
o企業様の決算書(ご提示いただけない場合は、最低限「黒字」か「赤字」か)
初回相談および簡易診断の料金
1万円程度(交通費は実費お願いします)
移行手続のコンサル
移行処理(解約処理)、従業員説明等を行います。
企業様内部の処理以外は全てお任せいただけます。
次の2つのプランがあり、ご選択いただけます。
1.顧問料タイプ
顧問料月額 5万円~(契約期間1年から)
1回訪問あたり 5万円
2.スポット契約タイプ
基本料金 20万円~
1回訪問につき 50,000円
書類作成(規定以外) 3万円+従業員1名あたり1,000円
退職金規程の変更作成 20万円から
※ 所要期間は、この制度の導入だけで3カ月は見込んでください。
適格年金移行コンサル・退職金制度改革コンサルティングの場合、総費用(コンサルティング料のみ、規定作成等除く)は目安として30~100万円です。
お電話・メールなど手段を問わず、ご相談は有料とさせていただいておりますので、ご注意ください。
次のリンクをクリックし、リンク先もご参考いただければ幸いです。
損害保険会社・生命保険会社の皆さま・代理店の皆さまへ
「不利益変更への対処について、教えて欲しい」
答え)
これは、各企業様のご事情により変わってきます。
賃金・人事制度全般を考えて、対処するようになりますが、退職金に関して言えば、まず既得権と期待権を明確にする必要があります。
65歳までの雇用延長制度の導入のことも踏まえ、代替で提案できる様々な方策を検討し、準備をします。
何らか成果連動の果実を検討する必要が出てくるかも知れません。
ただ多方面からのしっかりした検討を行ったうえで、誠実に対応することが肝要です。
「移行時の手続で、注意すべき点はありますか」
答え)
不利益変更の対応はもちろんですが、中退共への移行かそれ以外の移行かでも対応が変わります。
実施タスクとスケジュールは綿密に立てて、幹事会社としっかりコミュニケーションを取りながら抜かりなく実施します。
抽象的で申し訳ありませんが、「慎重を期す」よう手続を行ってください。
※ ご相談・移行手続をご依頼いただいた場合は、各企業様に応じた手続きを踏ませていただきますので、ご安心ください。
]]>
自分がサラリーマンを辞めたのは、2002年3月でした。
下の記事にあるように、その当時がリストラのピークだったように思います。
自分は34才の頃だったので、退職金の上乗せ等、早期退職の優遇は無かったです。
辞表を出したときに、リストラムードでぴりぴりしているにもかかわらず、幸いにも強く慰留されたので、それはありがたかったと感謝しています。
しかし40歳以上のリストラ対象者の人たちは大変でした。
誰が残るのか、みんなが疑心暗鬼になり、仕事の集中力がかなり殺がれた記憶があります。
だいたい人事異動の季節なんかもそうで、仕事をしない人ほど人事話が好きですね。
仕事のことをそっちのけで、人事の噂や予想ばかりをします。
何を話をしても、実態が動くわけでもないのに・・
横道にそれましたが、非常に重苦しい空気の中、生産性が非常に低くなった時でもあったなぁと回想しています。
しかし、問題はその後ですね。
上述のような空気の悪さにも増して深刻なのが、その後のマンパワーの欠如でしょう。
けっこう様々な場面でリアルに聞きましたが、リストラで人が少なくなることに合わせて、業務までもしっかり再構築してればいいのでしょうけど、業務はあまり軽くなっていなかったりします。
それなので、残された人に多大なる業務量の負担がきます。
これが一つ一つの仕事に悪影響を及ぼします。
すべてが中途半端になってしまう悪影響ですね。
また侮れないのが、組織としての教育力です。
リストラの対象であろう中堅・年輩の方たちは、実はかなり生きる知恵と言うか、ビジネス・ノウハウを持っていたりします。
そのノウハウが無くなってしまうので、簡単に解決できていたことが、しっかり解決できないでいたりしています。
これは、組織にノウハウが蓄積されず、人がノウハウを蓄積しているからですかね。
人にノウハウが蓄積されるのは、ある意味仕方が無いことだと考えます。
ISOのコンサルをし、文書化等に携わることも多々あるわけですが、その中で文書で解決できるのは一部であることを垣間見ます。
その文書を生かすも殺すもそれはやはり「 人 」であるということです。
自分も人に偏るノウハウを否定した時代がありましたが、やはりシステムで解決できることもありますが、実際の人が触れ合う教育の力というのは非常に大きいと感じます。
人を減らすとか、縊を切るとか暗いことを言わずに解決の道は無いのでしょうか。
例えばヨーロッパーで耳にするワークシェア等で、一人ひとりの賃金が下がっても、雇用は守るような方策は取れないのだろうかと考えてしまいます。
今の日本は「滑り台社会」と揶揄されるように、一度道を外すと、そのまますべり落ちてしまうような社会のような気がしてなりません。
人を大事にしないで、人を粗末に扱うところは結局は自分たちに返ってくるのが落ちでしょう。
恨みはそれだけ深いものだというわけです。
企業は確かに利潤追求が存在意義ですが、利潤も短期の利益ばかりではなくて、長期的な本当の利潤の定義をしていく必要があると感じます。
その本当の利潤の定義とは何なのか、人間らしさを追及するとそれは企業社会とマッチングできるのか、思慮すべきことは深く、そして多面から見ないといけないわけですが、そうした問題意識に久々に火をつけてくれた記事でした。
参考までに下に貼っておきます。
【関連記事】
livedoor ニュース -
(http://news.livedoor.com/article/detail/3737253/)
リストラ急増!
08年上半期37社リスト
希望退職や早期退職を募集する企業が急増している――。
こんなショッキングなリポートが出た。調査したのは、民間調査会社大手の東京商工リサーチ。
ここ数年、この類のリストラ話はあまり耳にしなかった。何が起きているのか。
●サラリーマン再び受難
希望・早期退職者を募る上場企業は2002年の200社をピークに急速に減り、06年には46社だった。
ところが、一転07年は60社に跳ね上がった。
08年上半期は昨年同期の37社と同数だ。
「本調査には含まれていないが、今年は子会社で希望退職を行うところもあるなど、増勢機運が高まっている。今後の動向によっては前年水準を上回る可能性がある」(同リサーチ)と警戒する。
深刻なのは、退職者を募る理由が昨年とは一変していることだ。
同リサーチ調査部はこう分析する。
「07年は経営再建中の企業ばかりではなく、業績好調で体力に余裕のある企業が早めに手を打つという色合いが濃かった。しかし、08年に入ると退職者募集の主たる理由は業績低迷。今年の方が深刻です」
07年とは違って転職を支援する余裕がないところも多く、募集対象を「25歳から」としているケースもある。
企業が切羽詰まっている証しだろう。
こうなると退職金の上乗せは期待しにくい。
募集を行った東証1部企業の40代前半の管理職はこう言う。
「早期退職制度では優遇措置があるが、退職金の上乗せ分は年収のせいぜい2倍くらい。再就職は難しい上に、子供や家のローンを抱えてこの程度では辞めたくても辞められない」
15日、日経平均株価が終値で1万3000円を割って先行きは一段と暗い。
“割り増しが出るうちが花”というささやきも聞こえてくる。
再度のサラリーマン受難時代の到来。どう生きるか。
【2008年上半期の主な上場企業の希望・早期退職者募集状況】
◇「会社名(業種)」募集対象者《募集人数、応募人数》
●「NECエレクトロニクス(半導体)」40歳以上かつ勤続5年以上(早期)《*、685》
●「奥村組(ゼネコン)」35歳以上(早期)《560、622》
●「日立プラントテクノロジー(建設)」40歳以上(早期)《550、271》
●「前田建設工業(建設)」35歳以上(早期)《450、525》
●「ナイガイ(繊維製品)」希望退職者募集《270、*》
●「日本板硝子(ガラス)」管理職(早期)《*、220》
●「ピーエス三菱(建設)」管理職従業員(希望)《200、124》
●「さが美(小売)」40~58歳(希望)《200、*》
●「大本組(建設)」35~58歳、建築職以外の総合職《150、167》
●「荏原製作所(機械)」勤続3年以上の正社員(早期)《100~150、93》
●「学習研究社(出版)」35~44歳かつ勤続5年以上など《50、35》
45~58歳かつ勤続10年以上(早期)《100、58》
●「若築建設(建設)」30~59歳、建築技術職を除く総合職など《120、121》
●「川島織物セルコン(繊維製品)」45~59歳6カ月かつ勤続10年以上《*、109》
●「ジェネシス・テクノロジー(サービス)」35歳以上、勤続1年以上の正社員(早期)《100、110》
●「巴川製紙所(パルプ・紙)」50歳以上(希望)《100、104》
●「ぴあ(サービス)」希望退職者募集《100、77》
●「アビリット(機械)」59歳未満(子会社への出向者含む、希望)《100、107》
●「セントラルファイナンス(その他金融)」45~58歳かつ勤続20年以上の総合職(早期)《100、105》
●「創建ホームズ(不動産)」希望退職者募集《100、102》
●「日立メディコ(医療機器)」50~59歳(早期)《85、104》
●「ビジョンメガネ(小売)」35歳以上(希望)《70、20》
●「リリカラ(卸売)」40歳以上のインテリア事業部門(希望)《70、65》
●「真柄建設(建設)」40~58歳、建築技術職を除く総合職など《60、53》
●「相模ハム(食料品)」40~58歳(希望)《60、61》
●「コロムビアミュージック(音楽・映像)」セカンドキャリアプログラム《60、68》
●「旧佐伯建設工業(建設)」45~59歳かつ勤続15年以上の総合職系など《50、47》
●「テスコ(建設)」内装材等事業部門の正社員(希望)《50、54》
●「アゼル(不動産)」35~59歳(希望)《40、32》
●「セイクレスト(不動産)」正社員(希望)《40、40》
●「カウボーイ(小売)」35歳以上の一般社員(希望)《40、37》
●「ビービーネット(卸売)」管理職、受け入れ出向者等を除く従業員(希望)《30、30》
●「旧国土総合建設(建設)」25~59歳、管理部門に従事する雇用型執行役員及び社員《25、32》
●「フジトミ(証券)」30歳以上(希望)《20、19》
●「すみや(音楽・映像)」35歳以上(希望)《20、22》
●「どん(小売)」40~57歳かつ勤続5年以上の本部管理職(希望)《*、13》
●「日立プラント建設サービス(建設)」40歳以上の従業員(早期)《若干名、9》
●「鬼怒川ゴム工業(輸送用機器)」40歳以上(セカンドキャリアサポートプラン)《*、*》
]]>
「最低賃金」に関しては、皆さん何となくご存知かと思います。
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされている制度です。
したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。
正社員であっても、パート・アルバイトであっても、その雇用形態を問わず、国が定める最低賃金を下回る賃金で働かせることは違法となります。
本人が収入枠の関係で申し出たとしても、ダメだということですね。
(参照)
最低賃金法(昭和34年4月15日 法律第137号) (抜粋)
第4条 第1項
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
第4条 第2項
最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
賃金は、最も重要な労働条件の一つであり、労働者が健康で文化的な最低限度の生活が営めることなどを配慮して最低賃金法が施行されています。
最低賃金には、都道府県ごとに定められた地域別最低賃金と産業別最低賃金があります。
地域別最低賃金と産業別最低賃金は以下のリンクで確認願います。
この最低賃金額自体が、今回の改正で変わるわけではありません。
それではどこが変わるか、今回の改正におけるポイントについてみていきましょう。
地域別最低賃金を下回る賃金を支払った場合、罰金の上限額が2万円から50万円に引き上げられました。
一定の産業に設けられた最低賃金額を下回る賃金を支払った場合、最低賃金法の罰則は適用されなくなり、労働基準法第24条の賃金全額払い違反の罰則(罰金の上限額は30万円)が適用されることになったのです。
ただし、産業別最低賃金が適用される労働者に地域別最低賃金を下回る額を支払った場合は、最低賃金法違反(罰金の上限額は50万円)が適用されます。
これまで、時間額、日給、週給または月額で定められていた最低賃金の表示単位が、改正後は「時間額」のみになります。
ですから、日給・月給で雇用している場合、時給に換算してみていく必要があります。
例えば、東京都内にある企業で日給5,150円、1日の所定労働時間が7時間の場合、「日給額÷1日の所定労働時間」で時間給をみますので、5,500円÷7=735.71円となり、東京都の最低賃金739円を下回ることになります。
月給の場合、通常の労働時間・労働日に対応する賃金に限られますので、時間外割増賃金や皆勤手当、通勤手当、家族手当は除いて考えます。
派遣労働者が適用される最低賃金は、これまで派遣元の地域(産業)で判断されていましたが、改正後は派遣「先」の地域(産業)における最低賃金が適用されます。
例えば、茨城県にある派遣会社の場合、茨城県の最低賃金は676円ですが、派遣先が東京都の場合、東京都の最低賃金が適用となって739円となります。
産業別最低賃金のケースでは、東京都にある派遣会社が同じく東京都の自動車製造会社に労働者を派遣するときは地域別最低賃金の739円ではなく東京都自動車製造業最低賃金の809円が適用されることになります。
その他、障害により著しく労働能力が低い者や試用期間中の者などに関する適用除外規定が見直され、最低賃金の減額特例許可規定が新設されるようになりました。
ちなみに、地域別最低賃金については毎年10月頃、産業別最低賃金については毎年10月~2月の間に改定されます。
労務管理上、法律改正については、必ずチェックするようになさって下さい。
最近は不景気のせいか、深刻な労使トラブルの相談が増えています。
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失業率が改善されていることで、失業手当の支出が減っており、これにより国庫負担の全廃案が出ているようです。
以前、「求人増でも改善足踏み」という記事が載ってた記憶があります。
雇用問題は、まだまだ楽観視できないというのが自分の所見ですが、どうなのでしょうね。
雇用保険には、以下の給付がありますが、すべての給付に国庫負担がつくのではありません。
雇用保険の体系の概要は、次のようになっています。
国庫負担の対象となる給付に※で明示します。
1.求職者給付(一般に言われる失業手当のこと)
基本手当 ※
技能習得手当 ※
受講手当 ※
通所手当 ※
寄宿手当 ※
傷病手当 ※
高年齢求職者給付金
特例一時金 ※
日雇労働求職者給付金 ※
2.就職促進給付(早期の再就職支援の給付)
就業手当
再就職手当
常用就職手当
移転費
広域就職活動費
3.雇用継続給付(高年齢者、妊産婦などの雇用継続に対する給付)
高年齢雇用継続基本給付金 ※
高年齢再就職給付金 ※
育児休業基本給付金 ※
育児休業者職場復帰給付金 ※
介護休業給付金 ※
4.教育訓練給付(自己啓発費用の給付)
教育訓練給付金
5.広域延長給付 ※
(失業率が全国的に悪化したときに給付される)
6.事務の執行に要する費用 ※
就職促進給付(早期の再就職支援の給付)、教育訓練給付(自己啓発費用の給付)は、国庫負担の対象にはなっていません。
また、求職者給付のうち、高年齢求職者給付金も国庫負担の対象になりません
続いて国庫負担割合を見てみましょう。
1.求職者給付のうち、日雇労働求職者給付金 → 3分の1
1.求職者給付のうち、日雇労働求職者給付金以外 → 4分の1
3.雇用継続給付 → 8分の1
5.広域延長給付 → 3分の1
6.事務の執行に要する費用 → 全額
【関連記事】
IZA -
(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/dompolicy/143738/)
財務省、雇用保険の国庫負担廃止へ
額賀福志郎財務相は9日の会見で、雇用保険の財源の一部としている1600億円の国庫負担の廃止を検討する考えを示した。
財源の大半は保険料による収入で、国庫負担なしでも安定的に給付できると判断しているため。
財務省は支出減により、社会保障費の伸びを毎年2200億円抑える政府方針を、平成21年度予算でも継続したい意向だ。
雇用保険財源となる労働保険特別会計雇用勘定の積立金残高は、20年度予算で4兆9000億円。
年間の支出1兆7000億円を大きく上回っている。
額賀財務相は21年度からの国庫負担廃止には「今の時点でどうするか決まっていない」としつつも、「今後議論されることは間違いない」と検討の意向を表明した。
雇用保険は、労働者が失業して収入源を失ったときや労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合などに給付される。
]]>大企業を中心に就業規則の整備や正社員化が打ち出される中、中小企業の多くは様子見状態のような気がしますが、改正パート労働法のポイントについて、以下にまとめてみましたので参考にして下さい。
]]> 改正パート労働法の概要は次の通りとなります。
o雇い入れの際、労働条件を文書などで明示
o雇い入れ後、待遇の決定に当たって考慮した事項を説明
o賃金(基本給、賞与、役付手当等)は、パートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、経験などを勘案して決定するよう努める
o人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と一定期間同じ場合、その期間の賃金は通常の労働者と同じ方法で決定するよう努める
o教育訓練は、職務の内容、成果、意欲、能力、経験などに応じて実施するよう努める
o職務の遂行に必要な能力を付与する教育訓練は、通常の労働者と同様に実施する
o福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用の機会をパートタイム労働者に対しても与えるよう配慮
oすべての待遇についてパートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止
oパートタイム労働者から通常の労働者へ転換するチャンスを整える
o事業主の方はパートタイム労働者から苦情の申出を受けたときは自主的に解決するよう努める
o就業規則の作成・変更の際にはパートタイム労働者の意見を聴くよう努める
o「パートタイム労働指針」が定められている
o「短時間雇用管理者」を選任するよう努める
続けて、各項目の条文及び詳細な説明をいたします。
<改正法第6条>
第6条のポイント
1.事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、速やかに、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」を文書の交付等により明示しなければならない。
→ 違反の場合は10万円以下の過料
2.事業主は、1の3つの事項以外のものについても、文書の交付等により明示するように努めるものとする。
・労働基準法では、パートタイム労働者も含めて、労働者を雇い入れる際には、労働条件を明示することが事業主に義務付けられています。
特に、「契約期間」「仕事をする場所と仕事の内容」「始業・終業の時刻や所定時間外労働の有無、休日・休暇」「賃金」などについては、文書で明示することが義務付けられています。(違反の場合は30万円以下の罰金に処せられます。)
・改正法では、これらに加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」、「賞与の有無」の3つの事項を文書の交付など(3つの事項についてはパートタイム労働者が希望した場合は電子メールやFAXでも可能)により、速やかに、パートタイム労働者に明示することが義務化されます。
・電子メールやFAXで明示する場合は、後々のトラブルを避けるためにも、パートタイム労働者が電子メールやFAXを受け取ったかどうか、パートタイム労働者から返信してもらうなどして、受信の確認をすることが望まれます。
・昇給や賞与の支給を事業所の業績やパートタイム労働者の勤務成績などによって行うケースで業績などによっては行わない可能性がある場合や、退職手当を勤続年数に基づき支給するケースで、所定の年数に達していない場合は支給されない可能性がある場合は、制度は「有り」とした上で、「業績により不支給の場合あり」や「勤続○年未満は不支給」など支給されない可能性があることを明記してください。
・違反の場合、行政指導によっても改善がみられなければ、10万円以下の過料に処せられます。
・なお、これまでも上記の3つの事項以外について文書の交付による明示が努力義務とされていましたが、これらについては、改正法でも文書の交付など(パートタイム労働者が希望した場合は電子メールやFAXでも可能)による明示に努めることとされています。
<改正法第13条>
第13条のポイント
事業主は、その雇用するパートタイム労働者から求めがあったときは、その待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明しなければならない。
・通常の労働者との待遇の格差が、たとえ合理的な理由がある場合でも、パートタイム労働者がその理由が分からないまま不満を抱いて働いているとすれば、パートタイム労働者のモチベーションを下げるだけでなく、労働生産性が低下することも考えられます。パートタイム労働者が、自分の待遇について理解して働くことは、パートタイム労働者だけでなく事業主にとっても必要かつ有効であると言えます。
・改正法では、パートタイム労働者から求められたとき、事業主はそのパートタイム労働者の待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明することが義務化されます。
・説明義務が課せられる具体的な内容は、パートタイム労働法において事業主が措置を講じることとされている以下の事項です。
説明義務が課せられる事項
労働条件の文書交付等、就業規則の作成手続、待遇の差別的取扱い禁止、賃金の決定方法、教育訓練、福利厚生施設、通常の労働者への転換を推進するための措置
・説明に当たっては、例えば賃金の決定方法についての説明を求められた場合、「あなたはパートタイム労働者だから賃金は○○円だ。」という説明では責任を果たしているとは言えず、例えば、通常の労働者の仕事内容に比べて、そのパートタイム労働者の仕事内容が軽易であり責任の程度も低いものであることから、「職務の内容」を勘案して賃金に差を設けているが、仕事内容が変わればパートタイム労働者であっても賃金がその仕事内容に応じたものに変わる、といったような中身のある説明が求められます。なお、[パートタイム労働者が納得するまで説明すること]まで求めているものではありません。
<改正法第9条第1項>
人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と一定期間同じ場合、その期間の賃金は通常の労働者と同じ方法で決定するよう努めてください
<改正法第9条第2項>
第9条のポイント
1.事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用するパートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金(基本給、賞与、役付手当等)を決定するように努めるものとする。
2.事業主は、職務の内容、人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同一のパートタイム労働者については、その同一である一定の期間、その通常の労働者と同一の方法により賃金を決定するように努めるものとする。
・賃金のうち、基本給、賞与、役付手当など職務の内容に密接に関連する賃金の決定方法について、改正法は以下のような対応を求めています。
・事業主は、通常の労働者との均衡を考慮し、パートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、経験などを勘案して賃金を決定することが努力義務化されます。
・パートタイム労働者の賃金を客観的な基準に基づかない事業主の主観や、「パートタイム労働者は一律○○円」といったパートタイム労働者だからという理由で一律に決定するのではなく、職務の内容や能力のレベルに応じて段階的に設定するなど、働きや貢献に応じて決定することが努力義務の内容となります。
・具体的には、職務の複雑度・困難度や責任・権限に応じた賃金設定や、昇給・昇格制度や人事考課制度の整備、職務手当、役職手当、成果手当の支給など各事業所の実情にあった対応が求められます。
・さらに、通常の労働者と比較して、パートタイム労働者の職務の内容と一定の期間の人材活用の仕組みや運用など が同じ場合、その期間について、賃金を通常の労働者と同一の方法で決定することが努力義務化されます。
・これは、通常の労働者とパートタイム労働者とで職務の内容と人材活用の仕組みや運用などが同じであれば、単位当たりの仕事の対価は同じであるという理念を表したものであり、同一の賃金決定方法にすることにより、両者を同じ職能や職務といった「モノサシ」で評価することが可能になるというものです。
・具体的には、このようなパートタイム労働者に通常の労働者と同じ賃金表を適用することがもっとも望ましいものですが、通常の労働者が職能給であればパートタイム労働者も職能給にするなど、同じ評価基準によって賃金を決定すれば本条の義務の履行となります。
<改正法第10条第2項>
<改正法第10条第1項>
第10条のポイント
1.事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、その通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容が同じパートタイム労働者が既にその職務に必要な能力を有している場合を除き、そのパートタイム労働者に対しても実施しなければならない。
2.事業主は、1のほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用するパートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力及び経験等に応じ、そのパートタイム労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。
・教育訓練については、職務の遂行に必要な能力を身につけさせるための訓練と、それ以外、例えばキャリアアップのための訓練などの職務に関連しない訓練とに分けて、以下のような対応が求められています。
【職務の遂行に必要な能力を身につけさせるための訓練】
・パートタイム労働者と通常の労働者の職務の内容が同じ場合、その職務を遂行するに当たって必要な知識や技術を身につけるために通常の労働者に実施している教育訓練については、パートタイム労働者が既に必要な能力を身につけている場合を除き、そのパートタイム労働者に対しても通常の労働者と同様に実施することが義務化されます。
・例えば、経理業務に従事している通常の労働者にその職務遂行上必要な簿記の訓練を実施しているときは、同じ職務に従事しているパートタイム労働者に対しても実施しなければならないことになります。
【キャリアアップのための訓練など】
・上記の訓練以外の訓練、例えばキャリアアップのための訓練などについては、職務の内容の違いの如何にかかわらず 、パートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力及び経験などに応じ実施することが努力義務化されます。
<改正法第11条>
第11条のポイント
事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)については、その雇用するパートタイム労働者に対しても、利用の機会を与えるように配慮しなければならない。
・福利厚生施設のうち、給食施設、休憩室、更衣室について、通常の労働者が利用している場合はパートタイム労働者にも利用の機会を与えるよう配慮することが義務化されます。対象は働き方にかかわらずすべてのパートタイム労働者です。施設の定員などの関係で利用の機会が制限される場合を除き、パートタイム労働者にも利用の機会を与えることが求められます。
・これは、例えば、給食施設の定員の関係で事業所の労働者全員に施設の利用の機会を与えられないような場合に、増築などをして全員に利用の機会が与えられるようにすることまで求めるものではありませんが、施設の利用規程の対象が正社員に限定されているならパートタイム労働者にも適用されるよう改定し、パートタイム労働者と正社員に同じ機会を与えるなどの具体的な措置を求めるものです。
<改正法第8条>
第8条のポイント
1.事業主は、職務の内容、退職までの長期的な人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同一のパートタイム労働者であって、期間の定めのない労働契約を締結している者については、パートタイム労働者であることを理由として、その待遇について、差別的取扱いをしてはならない。
2.1の期間の定めのない労働契約には、反復更新によって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる有期契約を含むものとする。
・職務の内容 が同じ、で、
・人材活用の仕組みや運用など が全雇用期間を通じて同じ、で、
・契約期間が実質的に無期契約
となっているパートタイム労働者は、通常の労働者と就業の実態が同じと判断され、賃金の決定をはじめ教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他のすべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止されます。
・「人材活用の仕組みや運用などが全雇用期間を通じて同じ」とは、パートタイム労働者が通常の労働者と職務が同一になってから、退職までの期間において、事業所の人事システムや慣行から判断して同じ、となる場合です。
・「契約期間が実質的に無期契約」とは、
a)期間の定めのない労働契約を結んでいる場合
と
b)期間を定めて労働契約を結んでいても、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当とされる場合
です。
・これは、契約期間について通常の労働者と同様であるかどうかを判断する際、形式的に判断するのではなく、実際の取扱いがどうなっているかを判断する、という考え方によるもので、期間の定めがない労働契約を結んでいる場合(aの場合)だけでなく、反復更新によって実質的に期間の定めのない労働契約と変わらない雇用関係の場合(bの場合)も通常の労働者と同様の実態にあると判断します。
・期間を定めて労働契約を結んでいても、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当とされる場合(bの場合)、とは最終的には裁判所において判断されることになりますが、これまでの裁判例をみてみると、
(1) 業務の客観的内容
(恒常的な業務に従事しているのか、臨時的な業務に従事しているのか、通常の労働者の業務との違いがあるのか)
(2) 契約上の地位の性格
(契約上の地位が臨時的か)
(3) 当事者の主観的態様
(継続雇用を期待させる事業主の言動や認識があったか)
(4) 更新の手続・実態
(反復更新の有無や回数、勤続年数、契約更新時の手続方法)
(5) 他の労働者の更新状況
(同様の地位にある労働者の雇い止めの有無)
などが判断材料とされています。
<改正法第12条>
第12条のポイント
事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用するパートタイム労働者について、次のいずれかの措置を講じなければならない。
★ 通常の労働者を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者に周知する。
★ 通常の労働者のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイム労働者にも応募する機会を与える。
★ パートタイム労働者が通常の労働者へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。
★ その他通常の労働者への転換を推進するための措置
・パートタイム労働者から通常の労働者への転換を推進するため、上記の措置を講じることが義務化されます。
・例えば、
★ハローワークに通常の労働者募集の求人票を出す場合、あわせてその募集案内を事業所内でも掲示し、パートタイム労働者に周知する
★通常の労働者に係る新たなポストや空席のポストを社内公募で充足する場合、パートタイム労働者にも応募の機会を与える
★パートタイム労働者から通常の労働者への登用制度を設け、定期的に試験を実施する
などの措置を講じてください。
・なお、パートタイム労働者から通常の労働者への転換の要件として、勤続期間や資格などを課すことは、事業所の実態に応じたものであれば問題ありませんが、必要以上に厳しい要件を課した転換の仕組みを設けている場合は、法律上の義務を履行しているとは言えない場合もあります。
・事業所によっては、[いわゆる正規型の労働者]と[フルタイムの基幹的な働き方をしている労働者]の両方が「通常の労働者」として存在する場合もありますが、このような事業所においては、パートタイム労働者を[いわゆる正規型の労働者]への転換を推進するための措置を講じることが義務となります。
・パートタイム労働者からいわゆる契約社員へ転換する制度を設け、さらに、契約社員から通常の労働者へ転換する制度を設ける、といった複数の措置を講じ、通常の労働者へ転換する道が確保されている場合も本条の義務の履行となります。
・また、転換を推進するためにも、どのような措置を講じているか、事業所内のパートタイム労働者にあらかじめ広く周知するよう努めてください。
<改正法第19条>
第19条のポイント
事業主は、パートタイム労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関に苦情の処理をゆだねるなどして、自主的な解決を図るように努めるものとする。
・パートタイム労働者から苦情の申出を受けたとき、事業所内の苦情処理制度を活用するほか、人事担当者や短時間雇用管理者※が担当するなどして、事業所内で自主的な解決を図ることが努力義務化されます。
※短時間雇用管理者: パートタイム労働法第15条により、パートタイム労働者を10人以上雇用する事業所ごとにパートタイム労働者の雇用管理改善等を担当する短時間雇用管理者を選任するように努めてください。詳しくは27ページをご覧ください。
・対象となる苦情は、改正法において事業主が措置を講じることが義務化される事項です。
対象となる苦情
労働条件の文書交付等、待遇の決定についての説明、待遇の差別的取扱い、職務の遂行に必要な教育訓練、福利厚生施設、通常の労働者への転換を推進するための措置
パートタイム労働者と事業主の間の紛争の解決を援助するため
[都道府県労働局長による紛争解決援助] と [調停] が整備されます
<改正法第21条><改正法第22条>
(1) 都道府県労働局長による紛争解決の援助
第21条のポイント
1.都道府県労働局長は、紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
2.事業主は、パートタイム労働者が1の援助を求めたことを理由として、当該パートタイム労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
・パートタイム労働法で事業主の義務として課せられる事項に関する紛争の当事者であるパートタイム労働者、事業主の双方または一方から紛争の解決のための援助を求められた場合、都道府県労働局長が助言、指導又は勧告を行うことによって紛争の解決の援助を行う仕組みが新たに整備されます。
・なお、パートタイム労働者が援助を申し出たことを理由として解雇、配置転換、降格、減給、昇給停止、出勤停止、雇用契約の打ち切りなど不利益な取扱いをすることは禁止されます。
(2) 調停
第22条のポイント
1.都道府県労働局長は、紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、「均衡待遇調停会議」に調停を行わせるものとする。
2.事業主は、パートタイム労働者が1の調停の申請をしたことを理由として、当該パートタイム労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
・パートタイム労働法で事業主の義務として課せられる事項に関する紛争の当事者であるパートタイム労働者、事業主の双方または一方から申請があった場合で、都道府県労働局長がその紛争の解決に調停が必要と認めた場合、学識経験者などの専門家で構成される第三者機関である「均衡待遇調停会議」に調停を行わせる仕組みが新たに整備されます。
・「均衡待遇調停会議」は、必要に応じ当事者や参考人から意見を聴いた上で、調停案を作成し、当事者に対して受諾勧告を行うことができます。
・なお、パートタイム労働者が調停の申請をしたことを理由として解雇、配置転換、降格、減給、昇給停止、出勤停止、雇用契約の打ち切りなど不利益な取扱いをすることは禁止されます。
事業主は、その雇用するパートタイム労働者について、その就業の実態などを考慮して、適切な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善および通常の労働者への転換の推進に関する措置等を講じ、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図り、パートタイム労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めなければなりません。
また、事業主の団体は、その構成員である事業主の雇用するパートタイム労働者の雇用管理の改善に関して、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければなりません。
就業規則の作成・変更の際にはパートタイム労働者の意見を聴くよう努めてください(第7条)
パートタイム労働者に係る事項について就業規則を作成・変更しようとするときは、その事業所において雇用するパートタイム労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くよう努めてください。
「パートタイム労働指針」が定められています(第14条)
厚生労働大臣は、事業主が講ずべき適正な労働条件の確保および雇用管理の改善に関する措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために、必要な指針を定めることとされており、これに基づき「パートタイム労働指針」が定められています。
「短時間雇用管理者」を選任するよう努めてください(第15条)
パートタイム労働者を10人以上雇用する事業所ごとに、パートタイム労働指針に定める事項その他の雇用管理の改善に関する事項等を管理する「短時間雇用管理者」を選任するように努めてください。
「短時間雇用管理者」に期待される業務は以下のようなものとされています。
(1) パートタイム労働法やパートタイム労働指針に定められた事項その他のパートタイム労働者の雇用管理の改善等に関して、事業主の指示に従い必要な措置を検討し、実施すること。
(2) 労働条件等に関して、パートタイム労働者の相談に応じること。
「短時間雇用管理者」は、事業所の人事労務管理について権限を有する者を選任することが望ましいとされています。
厚生労働大臣、都道府県労働局長による報告の徴収、助言・指導・勧告(第16条)
厚生労働大臣、厚生労働大臣から委任を受けた都道府県労働局長は、パートタイム労働者の雇用管理等の改善を図るために必要と認めるときは、事業主に対して、報告を求めることと、助言・指導・勧告をすることができます。
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これまで40歳以上の方々の一般的な健診は、お住まいの市町村が住民を対象に実施していましたが、平成20年4月からは、
・40~74歳の方には、医療保険者(組合管掌健康保険、政府管掌健康保険、船員保険、共済組合、国民健康保険)が加入者(被保険者・被扶養者)に特定健康診査として実施することになります。
・75歳以上の方には、各都道府県に設置されている「後期高齢者医療広域連合」が健診を実施する予定です。
特定健康診査は、実施年度において40~74歳となる医療保険の加入者(毎年度4月1日現在で加入している者)が対象です。
なお、事業主健診の受診者は、事業主健診の項目に特定健康診査の項目が含まれていることから、医療保険者が事業主健診の結果を事業主や受診者等から受領できる場合は、別途特定健康診査を受ける必要はありません。
医療保険者から、対象者に受診券(保健指導は「利用券」)や受診案内が届きます(郵送や手渡し等)ので、届き次第、受診券(利用券)と被保険者証を持って、医療保険者の案内する実施場所に行きます。
行く前に健診・保健指導機関(実施機関)に実施時間等を確認するとともに、必要に応じ、日時を予約して下さい。
特定健康診査・特定保健指導を受けやすくするため、医療保険者が受けられる体制を整えます。
詳しい実施場所は、加入している医療保険者にご確認ください。
費用は主に医療保険者が負担しますが、医療保険者によっては、費用の一部を自己負担として、受診者が、受ける時に、実施機関の窓口で支払うこともあります。
自己負担の有無、金額あるいは負担率は、医療保険者で異なりますが、具体的な金額等は受診券(利用券)に印字されています。
特定健康診査を受けた約1~2ヵ月後に、ご本人に健診結果とそれに合った生活習慣の改善に関する情報が実施機関から届きます。
なお、健診結果データは医療保険者にも送付されます。
医療保険者では、受けとった健診結果データから、特定保健指導の対象者を抽出し利用券などをご案内することになります。
特定保健指導の場合は、指導結果データが医療保険者に送付されます。
医療保険者は個人情報保護法に従い健診・保健指導の結果データを厳重に管理することが義務付けられており、漏洩被害があった場合等は、法律で罰則が定められています。
また、実施機関は、委託元である医療保険者の個人情報保護規定を遵守し、受診者のプライバシー情報を守ることが求められており、同様に法律で罰則が定められています。
医療保険者が整備した実施体制(医療保険者自身で実施する場合は医療保険者、委託により実施する場合は委託先)のうち、医療保険者がご案内したところであれば、自由に選ぶことができます。
なお、実施体制は、厚生労働省で定めている施設や人員等に関する基準(※)を満たしていることが前提となります。
特定健康診査・特定保健指導は、加入者ご本人に受診・利用を義務付けられたものではありませんが、受けない場合は、ご自身の生活習慣を見直す機会を逃してしまうことになりますので、なるべく積極的な受診・利用をお願いします。
未受診の方には、医療保険者から受診券・利用券が届いているかの確認等の連絡が入る場合がありますので、ご理解とご協力をお願いします。
がん検診・骨粗しょう症検診などは、これまでどおり、市町村が提供体制を整えます。詳細はお住まいの市町村にご確認ください。
また、医療保険者でも、がん検診や人間ドック等を実施しているところもあります。
特定健康診査の会場で、がん検診を同時に受診できる体制を整えるところもあります。
詳しい受診方法等は、加入している医療保険者やお住まいの市町村にご確認ください。
『特定健康診査』は、
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診です。
マスコミなどでは「特定健診」、「メタボ健診」と呼ばれています。
日本人の生活習慣の変化等により、近年、糖尿病等の生活習慣病の有病者・予備群が増加しており、それを原因とする死亡は、全体の約3分の1にものぼると推計されています。
このため、内臓脂肪型肥満に着目した
「内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)」の概念を導入し、国民の運動、栄養、喫煙面での健全な生活習慣の形成に向け
(「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」)、
国民や関係者の「予防」の重要性に対する理解の促進を図る「健康づくりの国民運動化」を推進するとともに、必要度に応じた効果的な保健指導の徹底を図る「網羅的・体系的な保健サービス」を積極的に展開することとされています。
予防医療を確実に実施することで、国民医療費を削減しようということが狙いなのでしょう。
非常に大切なことですね。
まず、対象者は40~74歳の医療保険加入者です。
そして、この制度の目的は
○糖尿病
○高脂血症
○高尿酸血症
などの生活習慣病の発症、重症化の予防です。
そして、メタボリックシンドロームに該当する人、また、その予備群を減らすためのものです。
では、メタボリックシンドロームとは何でしょう。
例えば、内臓脂肪が原因となり、高血圧などになる状態です。
その判断基準として、ウエストサイズ(腹囲)が採用されています。
○男性 → 85センチ以上
○女性 → 90センチ以上
しかし、実際には、この数値未満でも該当する場合があります。
それは、厚生労働省が定める
○血糖検査
○血中脂質検査
○血圧測定
などの基準をクリアしないと、メタボに該当することになります。
それから、この診断項目を見てみましょう。
基本的な項目
○質問票(服薬歴、喫煙歴等)
○身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)
○血圧測定
○理学的検査(身体診察)
○検尿(尿糖、尿蛋白)
○血液検査
・脂質検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)
・血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c)
・肝機能検査(GOT,GPT,γ―GTP)
詳細な健診の項目
※一定の基準の下、医師が必要と認めた場合に実施
○心電図
○眼底検査
○貧血検査(赤血球、血色素量、ヘマトクリット値)
これらの項目が従来の健康診断の制度に追加されたのです。
今回の制度でメタボと判定された人には、生活習慣の改善などを指導しなければならないのです。
さらに、診断結果が悪い人には
○医師
○保健師
○管理栄養士
の指導の下、生活習慣の改善計画を作成させる義務があるのです。
生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる方に対して、生活習慣を見直すサポートをします。
これを、特定保健指導といいます。
特定保健指導には、リスクの程度に応じて、動機付け支援と積極的支援があります。
(よりリスクが高い方が積極的支援)
そして、この計画を
○3ヵ月以上に渡り、定期的に改善計画の進捗状況を評価する
○6ヶ月以上経過後に実績の評価を行なう
ことが保険者に義務付けられました。
中長期で考えれば、社員の健康は会社の発展に大きく寄与すると予想されます。
上手に活用して、ご自身の健康につながることを期待しています。
平成19年11月28日の臨時国会で可決成立された「労働契約法」が3月1日から施行されます。
労働契約法は、使用者と労働者の「労働契約」について定めた初の法律であり、まさにその名の通りです。
この法律で注意したいのが、労働契約法は「民事」であることです。
すなわち、損害賠償をかけての争いがメインになると解されます。
労働者が働く際の労働条件については、労働基準法をはじめとした多くの労働法規により定められています。
しかし、今日の雇用・労働をめぐる状況の多様化、複雑化により、今までの画一的で集団的な対応を前提とした労働法規では十分対応できなくなってきました。
労働契約法は、労働契約の基本原則、労働契約の締結、就業規則との関係、解雇など、
労働者が企業で働く時から辞めるまでの労使関係のさまざまな場面にかかわるルールを定めています。
労働契約法の成立により、労働契約がクリアでフェアなものになっていくことが予想されています。
しかしながら、この法律の元となった2005年9月の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告書」は、極めて精緻な労働契約の全体像を提示していましたが、国会での議論の過程でどんどん削ぎ落とされてしまいました。
労務トラブルが多い解雇、出向、配置転換については、使用者の権利濫用については条文化されましたが、具体的な事象についての判断は、現状通り裁判の判例により判断するしかないです。
労働契約法の内容については、新たにルールを新設したというものがほとんどなく、他の法律ですでに規定されているものを移した内容となっています。
これまでの労働契約に関するルールの多くが、裁判の判例によって形作られてきたため、ある事例では、判例の見解が妥当だとしても、それ以外の事例では、判例の基準が妥当かどうか判断に迷う場合があり、こうしたことがないように、判例を法律で明確にルールとして定め、労働契約の公正化・透明化を図っているようです。
労働契約法をネット上では、「悪法、恐ろしい法律」と書かれているようなブログも多々あります。
この真偽はいかがなものなのでしょうか?
労働契約法が非難される主な原因は、第10条にあります。
労働契約法では、使用者が、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者にとって不利益な労働条件に変更することができないと定められています。
使用者は、勝手に就業規則を変更して、労働者の給料を下げるというようなことはできないようになっているわけです。
しかし、第10条では、その例外として、使用者が労働者の同意を得ずに就業規則を変更し、労働条件を変更できる場合についての条文です。
1)変更後の就業規則を労働者に周知させること
2)就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであれば、
労働者の同意を得ずとも使用者は就業規則の不利益変更が可能ということです。
悪法であるとの主張はこの第10条を根拠としており、労働契約は労働者と使用者が対等の立場における合意に基づいて変更すべきものであるはずが、要件を満たしていれば、労働者が反対しても労働条件を下げることが可能だというわけです。
確かにこのようなことが明文化されてしまったことに対して、悪法だとの評判はわかるような気がします。
ここで頭を整理しておきたいのが、「労働基準法」との関係です。
「労働基準法」は罰則を伴った法規ですが、「労働契約法」は罰則を持たない民事の法律です。
使用者は、あくまでも使用者としての責任を労働基準法で縛られ、
賃金不払い等の労使紛争において、基準を与えたのが、この「労働契約法」です。
従来の労働法の判例においては、一方的な不利益変更は原則厳禁であり、その原則を破る「合理的理由」はかなり選択肢が狭かったわけです。
この流れが当該法律で変化するわけでも無いので、悪法であるとの評は、ちょっと過剰反応でしょう。
労働契約法は、条文数が少なく、内容も他の法律で規定されているものを移してきたり、これまで確立していた判例法理を盛り込んでいるだけで、全体で見ると、まだまだ未成熟な法律である印象は拭いきれません。
労働契約法では、労働契約の書面確認についての条文が盛り込まれています。
労働契約法では、労働契約の内容については、期間の定めがある場合も含めて、使用者と労働者との間でできる限り書面で確認することが求められています。
また、有期労働契約の更新については、短期契約の反復更新を控えるよう求める規定を設けています。
有期労働契約は、期間が満了すれば雇用関係を打ち切ることができるため、企業は、「雇用の調整弁」として利用しています。
そのため、有期労働契約者は、契約が終了するたびに雇用の不安を抱えることになり、安定した生活を営むことができません。
こうした状況を踏まえ、最近増えている有期労働契約者を保護する必要から、必要以上に短い期間を定めて反復更新をすることがないよう配慮しなければならないことが規定されました。
この法律により、雇用のルールのもととなる労働契約書、就業規則の重要性がますます高まってくることが予想されます。
]]>
注目のマック店長の「管理監督者か否か」裁判判決が出ましたね。
やはり管理監督者には該当しないとのことでした。
なんとなく想像できた感がありました。
東京地裁で、約755万円の支払いを命じられたというから原告の言い分がほぼ通ったことになりますね。
]]> 労働基準法において明文化されている、「管理監督者」には該当しないということですが、管理監督者の定義をもっと噛み砕いてみましょう。
今回の判決は、管理監督者についての定義を、
「経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、賃金が優遇されている者」と判断しました。
まず経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持つとは、どんな状態を指すのでしょうか?
経営者からかなりの権限が委ねられ、経営の中枢的な立場で意思決定ができているということでしょう。
与えられた守備範囲においては、ほぼ自分で決定権を持つような状態でしょうかね。
もう少し今回判決要旨を読み込まないと、原則的なルールと、現実のすり合わせのイメージが湧いてきませんね。
後日加筆していきたいと思います。
賃金が優遇されている者の基準も難しいような気もしましたが、部下の収入を上回るような賃金という感じの理解が分かりやすいのでしょう。
今回は部下を下回るような年収も管理職としては不適だということでしたから、そのへんのラインが今後は基準になってくるでしょう。
今後において非常に示唆に富む判決でした。
今回の判決で外食産業はちょっ立場を危うくした気もしますね。
多分、今回の事例のようなことは良くありえそうな気がするからです。
窮地に追い込まれないといいですけど・・
他の業界も同様に少なからず影響が予想されます。
結構、課長等の名称で持って、権限や高賃金の待遇を持たされず、残業代カットの扱いを受けている方たちもいるのではないかという予想があるからです。
マックだけでは無く、名ばかり店長、偽装店長は多いものと想像できますが、実態は経営陣の良いように上手く使われて、弱い立場にしわ寄せが行っているのも確かでしょう。
様々な業界への飛び火も予想される今回の判決ですが、やはり大事にしていただきたいのは、「人間愛」でしょう。
労働力を都合よく、使い捨てのような発想をするのではなくて、働いていただいている方を共に戦う仲間・同士として尊重し、互いに高めあっていくような美しい精神の復活を心から望みます。
【関連記事】
Yahoo!! ニュース -
(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080128-00000017-mai-soci)
<マクドナルド訴訟>
店長は非管理職 東京地裁が残業代認定
ハンバーガーチェーン「日本マクドナルド」の店長が、管理職扱いされて時間外手当を支払われないのは違法として、同社に未払い残業代や慰謝料など計約1350万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は28日、約755万円の支払いを命じた。
斎藤巌裁判官は「職務の権限や待遇から見て、店長は管理監督者に当たらない」と述べた。
同社では正社員約4500余人中、約1715人(07年9月現在)が店長。
チェーン展開するファストフードや飲食店では同様のケースが多く存在するとされ、判決は業界に影響を与えそうだ。
訴えていたのは、125熊谷店(埼玉県熊谷市)店長、高野広志さん(46)。
99年に別店舗で店長に昇格して以降、残業代が支払われなくなり、時効にかからない03年12月~05年11月の2年分について約517万円の支払いなどを求めた。
労働基準法は時間外勤務に対する割り増し賃金の支払いを規定しているが、「管理監督者」は適用外になる。
訴訟では、同社の店長が管理監督者に当たるかが争点だった。
判決は管理監督者を「経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、賃金が優遇されている者」と判断。
同社店長について、店舗責任者としてアルバイトの採用や会社のマニュアルに基づく運営など店舗内の権限を持つにとどまり、経営者と一体的立場とは言えないと認定。
さらに、品質・売り上げ管理などに加え、調理や接客なども行うため、労働時間の自由裁量性は認められず、部下の年収を下回るケースもあるなど待遇が十分とは言い難いと指摘した。
その上で未払い残業代約503万円を認め、労働基準法に基づきその半額について懲罰的な意味合いを持つ「付加金」の支払いを命じた。
▽日本マクドナルドの話
主張が認められず残念。主張は正しいと認識しており、控訴する方向で考える。
【関連記事】
IZA -
(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/118774)
マックだけじゃない「責任押し付け手当なし」管理職
正社員の店長が時間外手当の支払い対象外の「管理監督者」として扱われ、残業代などが支払われないケースは、マクドナルドなど外食産業やコンビニだけでなく、多くの業界で深刻な問題となっている。
紳士服大手のコナカ(横浜市)は今月、元店長の男性に未払い残業代約690万円を支払うことで合意した。
同社は、マクドナルドと同様に店長を管理監督者と扱っていたが、昨年6月に労働基準監督署の指導を受け、これを改めて残業代を支払うようになった。
また、家電量販店大手のエディオン傘下の「ミドリ電化」(兵庫県尼崎市)も昨年末、管理監督者の範囲を見直し、店長などの職種を対象から外した。
同社は、管理監督者としていた社員678人の未払いの残業代計15億5400万円の支払いを始めている。
ファストフードやコンビニでは、残業代未払い問題はより深刻だ。
バイト主体の店舗運営がなされているところに、営業時間の延長などの会社の指示が次々と出される。
九州地方のファストフードの店長は「会社の方針には逆らえない。結局、店長の負担ばかりが大きくなる」と打ち明ける。
個人加盟の労働組合「東京管理職ユニオン」には、フランチャイズ店長からの相談が多数寄せられている。
「会社への遠慮からか匿名の相談が多いが、今回の裁判の行方に期待するという声が多い」という。
一方、今回の裁判のように、店長らによる“反乱”の動きも出ている。
平成18年には、これまで労働組合のなかった日本マクドナルドや日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)で相次いで労組が結成された。
労働条件の改善を求めて交渉しており、KFCでは改善されたが、マクドナルドでは多くの店長は依然として管理監督者のままだ。
こうした状況に、労働問題に詳しい棗(なつめ)一郎弁護士は「中間管理職への残業代をカットできるという経営者側の思惑が大きい」と話し、立場の弱い“名ばかり店長”に負担を押しつけがちな企業体質を批判した。
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システム関連企業のG社は、数年前から若手のSE候補を採用し続けて来ました。
P君も、そのなかの1人で、将来が期待された人材でした。
ところが入社5年目になって、P君が突然病気で倒れます。病名は消化器系当のガン。
幸いに、初期症状だったので、緊急入院して治療に専念することになりました。
もちろん、仕事は休まなければなりません。
しかし社長は、P君やP君のご両親、あるいは同僚などを気遣って、特別措置として、入院中も基本給を保障することにしたのです。
G社にも、いちおう就業規則はありましたが、それは設立時に市販の書籍の雛形をそのまま書き写したもので、社長にとっては、就業規則はないも同然でした。
社長は、
「規則など必要ない。その都度私が事情に合わせて“適切に判断”する。」
「それが一番よい。」
と言って、はばからなかったのです。
はじめの頃は、社内では、もちろんP君を心配する声が強く、また若手従業員は、社長に対して安心感を持ったかも知れません。
つまり、「自分が病気になっても、社長は助けてくれる」という気持ちです。
【 予想外の事態へ 】
しかし、その後G社は予想外の事態に巻き込まれることになってしまいます。
その出来事自体はいつでも起こり得る日常的なものでした。
その後、P君は一時健康を取り戻し、職場に復帰しました。
P君の職場復帰はG社にとって良いニュースで、職場の雰囲気は明るくなりました。
しかし、死線をさまよったP君は、以前とはどことなく違いました。
そして特に仕事をするでもなし、休むでもなし、といった日々を続けたのです。
6ヵ月ほど、そんな状態が続いた後、P君は再び入院しました。
そして、その後は入退院を繰り返す生活を続けることになったのです。
そんなP君の生活は“3年近く”続きました。
そして、蒸し暑い梅雨時の季節に小さな事件は起きたのです。
記録的な豪雨が続く中、納品間近のシステム製作で、担当者が2人とも倒れました。
倒れたと言っても、夏風による発熱と、もう1人は軽い食中毒でした。
重要顧客ということと、社長がチェックできる日程がその日しかなかったので社長は欠席した担当者に直接電話で詳細を聞きました。
ところが電話口に出て来た担当者は、声を聞く限り元気そうでした。
実は、社長からの電話がうれしかったのだそうですが、社長はその脳天気な声に、“切れて”しまったのです。
そして、
「何をやっているか。大したことがないのなら出て来い!」
と怒鳴ってしまいました。しかも勢いあまって
「その程度で休む奴には今後仕事はない」とまで言ってしまったのです。
社長が担当者を怒鳴って、出社させたのはちょうど給与決済目でした。
毎月、その月に支払う給与額を、社長自らチェックしていたのです。
そして、その決済の中には、P君への賃金が含まれていたのです。
一方で、怒鳴りつけても出社させる従業員がいて、他方で2年あまりも仕事をしていないのに、給与を受け取り続けているP君がいます。
その時、ふと「これは何だ。何が起きているのだ!」
と一瞬自分が混乱した、と社長は言われます。
自分で考えても、何か割り切れない気持ちが残るのに、従業員には非常に悪い影響を与えているのではないか、と心配になった社長は、コンサルタントに依頼して社内の組織診断を行うことにしたのです。
「あの一瞬に疑問が生まれるまで、社内の風土や空気など考えもしなかった」
という社長に、診断結果は過酷でした。
経営に対する信頼を失い、組織が非常に危険な状況にあるという結果が出たのです。
決断を先送りにして来た“P君問題”が、組織に悪い影響を及ぼしていたのです。
某内閣の支持率のようなもので、一旦信頼をなくすと裏目に出るのが組織力学です。
「とにかくまずは姿勢を正そう」ということで、社長はようやくP君への支払いにけじめをつけることにしたのです。
意を決し、社長はP君のご両親に事情を話しに行きました。
今月を最後に、給与を支払えないということを。
ただし、退職金を支払うことで、しばらくの入院費用にあててくれるようにも申し出ました。社長は誠意を尽くしたかったのです。
その時に、ご両親が涙ながらに話した言葉を、社長は忘れることができません。
「ご迷惑をおかけしています。息子が給料をいただくいわれがないのはよく存じています。
しかし、息子は会社に戻ることを、とても楽しみにしています。毎月届く給与明細を、とてもうれしそうに見るのです。
それが息子の心の支えのようで、そしてそれがなくなれば息子が逝ってしまうようで・・・。
すみません。長い間、ありがとうございました。」
その後の詳細は分かりませんが、社長の気持ちが割り切れたわけではないことでしょう。
人が集まる組織は、組織そのものが生き物のようなところがあります。
『何でも自分のその時々の判断でやれるというのは思い上がりだった』
と社長は言われます。
結局、本当にP君のためになったかどうかも分からない一方で、それが発端で、従業員に接する態度がちぐはぐになり、それが徐々に、そして確実に、社内の空気を悪くして行ったのは事実です。
就業規則なんて…
「こんな時代に、週休2日制だの、週40時間だの、男女平等だの、経営現場の実情に合わない就業規則なんて、今までバカバカしすぎて考えたこともなかったけれど、それが就業規則なのかどうかは別にして、経営にはやはりルールが必要だ」
という社長の言葉は、決して軽いものではありません。
お金の負担が問題ではなく、やり切れない自分の気持ちが問題だったそうです。
価値観も考え方も多様な人材が、一つの組織で力を合わせるためには、組織員の誰もが納得するルールが必要になって来ています。
経営者の直感や感覚だけではなく、公正なルールが求められているのでしょう。
もちろん、形式的な規則作成が求められているのではなく、本当に経営者や従業員が、そうありたいと願うルールが必要なのです。
そして、それこそが、私たちの言う『戦略的な企業ルール』ということです。
次の6つの側面を参考にしてください。
1.経営理念面
「仏つくって魂入れず」とならないための要素であると考えます。
2.規律的側面
会社を守るための就業規則でなくてはなりません。様々なリスクに備えましょう。
3.使いやすさ
全ては「使ってなんぼ」です。使いにくくては、就業規則の存在価値自体が
無意味化してしまいます。
4.合法性
なんといっても労働法を始めとする各法律は遵守しなければなりません。
うっかり違法といっても通用しません。
5.法改正対応度
常に最新でなければ、法改正時点で法律から外れている規定となります。
6.制度化範囲
一般的に就業規則の規定範囲には作成者の偏りが見られます。
他に制度化が必要な範囲はありませんか?
自社に必要なものを熟慮しましょう。
2004年1月から労働基準法が改正されました。
大きなものは「解雇の事由」の明記義務です。手直しは漏れていませんか?
下記のような状況になっているようであれば要注意です。
「とりあえず必要だろうから作成をして届出をしておけばいい」という安直なものは、この時代にあっては非常に高い企業リスクを背負い込む事にもなりかねません。
労使トラブルの90%は就業規則に未整備に起因しているともいわれています。
トラブルを放置しておいたばかりに、社員のモチベーションに影響が出てしまい、その結果、労政事務所や地域ユニオンへの駆け込み相談から紛争調整へと問題が大きくなるケースが増えていることも事実です。
企業と社員の双方で納得のいく就業規則を規程することは、労使双方にとって無駄な紛争にコストを取られることをなくし、最終的には経営効果を高める結果につながります。
就業規則の整備及び適宜の見直しは、忘れずにご留意ください。
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ねんきん特別便は、以前はねんきん定期便」という文言で決まっていました。
ねんきん定期便については以下を参照下さい。
(クリック) → ねんきん定期便について
世の中、意外に見ていない人が多いんですよね。
誰しも自分の関心事以外は興味が向かず、何かあったときに慌てるんですよね。
自分の年金、自分の財産は自身で守るしかないので、送られてきた加入記録はぜひとも細々と確実にチェックしましょう!
これで漏れてしまっても、自分たちはちゃんと記録を送っているとされてしまいますよ。
リスクマネジメントとは、
・「リスクが現実のものにならないようにするための対応策を予め考えておく」
・「問題が起きたときに何をするかあらかじめ考えておくこと」
ということになります。
事件や事故などでいえば、前者は予防対策で、後者は緊急時対応の計画策定です。
後者には、現実に問題が起きたときに的確に処理できるようにしておくという活動も含まれます。
つまり教育・訓練、能力開発、シミュレーションなどです。
リスクをうまく処理するためには、予防だけでも緊急時対応の対策だけでも不十分です。
両者をバランスよく実行することが必要です。
今日では、事故や事件が起きたときに信頼の回復が重要な課題となりますが、これも復旧対策です。
予防対策、緊急時対応、復旧対策の3つの対策をバランスよく立てることがリスクマネジメントです。
近年、企業を取り巻く環境はますます厳しさを増し、リスクは広汎かつ複雑なものになり、さらに重大な損失や影響をもたらすリスクも多くなって きています。したがって、リスクの認識や管理に不充分なことがあると、企業の目的や目標の達成はおろか、企業経営に甚大な影響をきたし、企業の 存続も危ぶまれる事態も生じ得ることとなります。
なお、リスクとは、元来損失を生じさせる可能性(確率)ということができます。 企業環境に影響を及ぼす経営環境や要因をハザード(危険事情)という。
ハザードは、更にマクロハザードとミクロハザードに大別できます。
マクロハザードとは、政治的要因や自然災害のような外部要因で、企業個々で発生が防止できないようなものを指し、ミクロハザードとは、労務問題や財務問題というような企業内部の事情によるものを指すという考え方が一般的です。
ハザードに対する対応を誤るとペリル(事故)が発生し、そのペリルからロス(損失)が生じます。
言い換えれば、ペリルの先行要因がハザードで、ペリルの結果がロスということです。
リスクマネジメントとは、このような因果関係の中でリスクを防止または極少化し、また一旦ペリルが発生したときにそこから生じようとするロスを最小限に食い止めるための諸手段を総合的かつシステム的に講じるマネジメント手法ということができます。
(JIS Q 2001 規格より)
次のような7つの原則にしたがって、組織のリスクマネジメントシステムを構築・維持していくというのがJIS Q 2001 規格「リスクマネジメントシステム構築のための指針」の基本的な考え方になりますので参考になさって下さい。
原則1 リスクマネジメント方針の明確化
組織がリスクマネジメント方針を定め、確実に実行することを明確にすることです。
原則2 リスクマネジメントに関する計画の策定
組織が原則1で明確にしたリスクマネジメント方針を実行するための計画を策定することをいいます。
原則3 リスクマネジメントの実施
ただリスクマネジメントを実施するということではなく、組織のリスクマネジメント方針、リスクマネジメント行動指針や基本的な目的を効果的に達成するために必要な能力や支援機構を開発することも含みます。
原則4 パフォーマンス評価及びマネジメントシステムの有効性評価
組織がリスクマネジメントパフォーマンスを測定し、監視し、評価するとともに、リスクマネジメントシステムの有効性を評価することをいいます。
原則5 リスクマネジメントシステムに関する是正・改善の実施
組織がリスクマネジメントパフォーマンス評価及びリスクマネジメントシステムの有効性評価結果に基づいて、必要に応じてリスクマネジメントシステムの各要素の是正及び改善を行うことを指します。
原則6 組織の最高経営者によるレビュー
組織の最高経営者(例えば、社長)が全体的なリスクマネジメントパフォーマンスを改善する目的で、そのリスクマネジメントシステムを見直し、継続的に改善することをいいます。
原則7 リスクマネジメントシステム維持のための体制・仕組みの整備
組織がリスクマネジメントシステム維持のための体制及び仕組みをもつことを指しますが、この体制及び仕組みとは、能力・教育・訓練、シミュレーション、リスクコミュニケーション、リスクマネジメント文書の作成、文書管理、発見したリスクの監視、記録の維持管理、リスクマネジメントシステム監査の8項目のことをいいます。
これらの原則をPDCAの面から見ると、
原則1、2・・・・P(計画)、
原則3 ・・・・D(実施)、
原則4、5・・・・C(点検・是正)、
原則6 ・・・・A(見直し)
ということになります。
このPDCAサイクルを回して、組織のリスクマネジメントシステムを継続的に改善していくのがリスクマネジメントシステムの原則といってもよいでしょう。
ISOに代表される「マネジメントシステム」においては、このPDCAサイクルを回しながらの継続的改善が要であり、この明文化されたルールと、記録の習慣化などを通したきちっとした運用ができている組織は強いと言えます。
当事務所では、ISOをはじめとしたコンサルはお手のものです。
各種マネジメントシステムと就業規則等の、社内にある様々な規定類を統合して、使いやすいアドバイスを心がけております。
目標管理制度や人事制度とマッチングさせたルールの構築と運用ができれば、会社は良くなるはずです。
関心のある方は、ぜひともお問い合わせ下さい。
なおISOについては次のリンクに言及しておりますので、ご興味ある方は覗いてみてください。
→ ISO活用により経営効果アップ
「人事制度は課題解決、業績向上、そして従業員の教育のために必要」
それが結論です。
思い出してみてください。
創業時は、入社した社員が自社を誇れる、そして働き甲斐のある会社を目標にしていましたよね。
その中で社員が定着・成長し、そして業績が向上したのではないでしょうか。
そして社員が成長した結果として、業績が向上します。
業績を向上させる方法は様々ですが、社員の成長が一番大きな要因です。
だからこそ、荒利益の50%も人件費を支払っているのでしょう。
21世紀は、大切なのに今まで気がつかなかったもの「 水、土、空気 」 をないがしろにする会社は成長しません。
環境にも配慮し循環型社会の一員を強く自覚する、これが時流です。
もうひとつ。社員を大事にしない会社も成長しません。
人事制度は社員を成長させるための仕組みと考え、運用いただければ幸いです。
私は以前勤めていた生保会社で、15~20名の営業所という小組織ですが、評価制度を再構築することによって業績を飛躍的に改善することを経験しています。
そこで学んだことは「評価の重要性」です。
人は誰しも認められたいものです。自分を認めてもらいたいものです。
どのように行動すれば認められるのか、どういう考えが支持されるのか、この評価基準の統一は大変重要です。
それを処遇という形にしていくこと、これが人事制度であり労務管理です。
賃金表をこねくり回すことでは課題解決は遠いといえます。
以下3つのテーマに沿って人事を概観していきましょう。
人事制度の中核はズバリ、“評価制度”です。
以前ですが、私も人事関係の書物を読み漁っていたとき、人事制度は「賃金体系の構築」が大きな柱だと考えていました。
しかし、「賃金制度」を巧妙にしたところで、業績アップしたという話をなかなか聞きませんでした。
そこで気付きました。
確かに賃金等の処遇は大切だけど、社員を燃やすことのほうが遥かに大切だと。
経営者の皆様は、幹部が育たない、と嘆くものですが、社長の考えた通りに社員は育っていると言えませんか?
これは、私が生保機関長をしていた時に、先輩にきつく言われたことです。
社員は誰だって、社長に誉めてもらいたい(評価されたい)と思っています。
だから、評価されるように行動するようになります。
自分を思い出せばそうですね。
指導は、部下の出来ていることを誉め(評価)、出来ていないことを叱る(評価)、
この繰り返ししかあり得ない、と考えるのは私だけでしょうか?
あらゆる階層の社員と管理者に対して、
○ 期待成果
○ 重要業務
○ 知識・技術
○ 勤務態度
その期待像を明確にして、上司が期待像に向け、反復訓練していくのです。
社員の育つ仕組みは業績に大きく影響します。
納得感の強い評価がその鍵です。
御社独自の“オリジナルな評価シート”と言い換えられます。
納得感が強い評価制度がしっかりと走り、共有できていれば、社員は燃えます!
規模が小さい時は、トップが、教育指導を一生懸命にやっていました。
だから当然、社員もみるみる育ったのでしょう。
その状態を社員が増えてもできるように、仕組みをつくることができるかです。
人事制度がある会社とは、評価制度がきちんと機能している会社のことなんです。
そして、評価結果は賃金制度にリンクされることになります。
この時、
○ 社員はやればやっただけ評価され
○ 評価がそのまま処遇に反映される
となり、組織が強固なものになっていくことでしょう。
ISOでもご紹介していますが、その精神は「継続的改善」です。
ISOでは目標を設定し、教育・訓練計画と実績をフォローします。
それは「PDCAサイクル」に沿った、整ったルールです。
そのルールを人材活用に利用しない手はありません。
ISOでは個人別の「教育・訓練計画表」や「資格・技能一覧表」を使用します。
さらにオリジナルな「評価シート」を準備すれば、人事制度として活躍します。
しかし、品質100%の人事制度はかなり高い確率であり得ません。
これはどんな制度も一緒で、出来上がった時点から、様々な問題が発生します。
企業の成長に合わせてつくり、見直してゆくものだということです。
だからこそ、運用しながら“継続的な改善”を果たしていくことになります。
また、人事制度づくりを特別な専門知識が必要なものだとは思わないで下さい。
人事を難しく考える企業は、人事制度を社外の専門家に依頼することになります。
しかし、人事制度は、御社が主体的につくらない限りは、いい制度になりません。
もちろん、人事制度をつくる上でのアドバイスの必要はあるでしょう。
でもそれは、アドバイスの領域を出ることはありません。
あくまでも、人事制度づくりの主体は御社だし、明日から運用するのは御社です。
従って、人事制度は自分で作るのが正解であり、
「簡単に」「わかりやすく」「自分!で」が重要です。
加えて、社員から不満のない制度はありえない可能性が高いものです。
でも、その不満を拾うことで、社員から不満の出ない制度に近づきます。
社員からの不満は、お客様のクレームと同じです。
御社に期待しているからクレームがでるのだと理解しましょう。
だから、社員から出る不満に素直に耳を傾けてやってください。
そして、その不満を解決してください。
この不満に対する取組み、解決が、「不満の出ない人事制度」にします。
全社員を高い評価にするために、育成や指導を懸命に考えてあげて下さい。
このように、1つ1つ解決していき、継続的な改善によって、社員から不満の出ない、人事制度が練り上げられ、完成に近づきます。
業績の最終責任者は社長ですね。
社員の賃金に責任があるのもやむなしです。
しかし、業績向上のために経営計画を立て、必死に実行していたのも社長です。
社長は知っていたのだと思います。
このままでは、次回の賞与や昇給は前年を下回ることを・・・。
そうしないため、部下に業務改善や改革を指示・命令していたはずです。
もし、全員が本気で取り組んでいたら、そんな結果にならなかったのでは?
それを実行しなかったから、心配していた結果(業績)になったのでしょう。
それを、やり切らせなかった社長の責任は、やはり残るでしょうが、本当にそれは社長一人の責任なのでしょうか?
今までと同じことをしていて、何ら改善・改革に取り組まずに、「こんなに頑張っているのに、この金額かぁ」と不服を漏らす社員の方にも、私は思うところがあります。
「本当に、あなたはやるべきことをやり切ったでしょうか・・・」
現在の日本の赤字企業の原因の最大のものは人件費だと言われています。
経営者が危機感を持つのはこのためで、人件費総額決定ルールは無視できません。
昇給原資や賞与原資の基本的な算出方式には、外せないルールがあります。
それを無視して支給すれば、人件費による赤字です。
強い企業体質から離れます。
昇給原資がなければ、昇給なし。
賞与原資がなければ、賞与なし。
そのために、社長から一般社員まで組織の全員がやるべきことをやり切る組織になってゆかねばなりません。
その答えが「昇給や賞与の支給総額を事前に発表する」ことだと思います。
多分、御社では、経営計画書があると思います。
そこには、目標とする業績が明らかにされています。
その全体の業績の実現度に合わせて、昇給原資や賞与原資を会社で表示したら良いと思います。
たとえば、
○ 売上高・粗利益高が105%以上のとき
昇給原資は ○○万円
賞与原資は ○○万円
○ 売上高・粗利益高が100%以上のとき
昇給原資は ○○万円
賞与原資は ○○万円
○ 売上高・粗利益高が90%以上のとき
昇給原資は なし
賞与原資は なし
と決めて、1年前に、経営計画書と一緒に発表するのです。
経営目標と処遇金額は密接に関係しています。
これがわからないから、経営目標が他人事になってしまいます。
社員1人ひとりの昇給や賞与は、2つの要素で決まるのです。
A.会社全体の業績
B.社員の個々の評価(点数)
昇給・賞与をアップさせるためにはAとBの両方を、向上させることですよね。
これを社員に理解してもらうことです。
そして、危機感を共有してください。
その上で、高い目標に挑戦し、強い企業体質を構築してくださるよう願っています。
その結果、全員が喜べるような昇給・賞与になるよう組織運営底して欲しいのです。
強い組織とは、喜びを全員で分かち合い、
厳しい時は全員で唇をかむ組織ですね。
身元保証書とは、
として提出するものです。
]]> 身元保証書の法律的な意味身元保証書の法律的根拠は、身元保証ニ関スル法律」に定められていますが、この法律では、
を身元保証人に通知する義務などについて定めています。
1の身元保証契約の有効期間は、その期間を定める場合には5年間を限度とし、期間を定めない場合には3年間で終了します。
2については、被保証人がもし会社に損害を与えたときにも、身元保証人に直接そのすべての責任を求めることができるというわけではなく、裁判所が次にあげる事情を総合的に考えて、身元保証人の責任範囲を判断するものとされています。
以下が身元保証人の責任範囲の判断基準です。
3については、会社は、従業員の業務上の不適任または不誠実な行為があって、
身元保証人にこれらを通知しなければならないものとされています。
これは、身元保証人が、企業や被保証人の現況を何も知らないままに損害賠償責任を負わされることを、未然に防止しようというものです。
なお、身元保証人が会社から以上の通知を受けた場合に、その後の身元保証(契約)を、一方的に解除することができます。
]]>社長おひとりで悩むより、ぜひ当事務所までご相談下さい。
新聞紙上においては、大企業の実力給与制度や成果主義制度などの導入の記事が、多く取り上げられています。
しかし、実際には中小企業の「人」や「人件費」に対する経営のウエイトは、非常に大きなものであり、社長の悩みは尽きることがないと推察されます。
社長の悩みを解消するべく、多くの課題に一斉に取り組んだとしても問題の解決は、長期化するだけでなく、長い迷路に迷い込んでしまうことが良くあります。
私どもでは、社長が気になる問題を一つ一つ改善することをご提案しています。
■給与体系の変更を考えているのだが・・・。
⇒ 業界の標準的な賃金のテーブルと自社の賃金制度との比較をすることから始めれば、一歩前に進みます。
ご用意しましょうか?
■社会保険の負担を軽減したいのだが・・・
⇒ 人材の削減を行なわない、削減のプランをご提案いたしましょうか?
■高齢者の給与体系の見直しを行ないたいのだが・・・
⇒ 高齢者給与体系の変更と定年の延長助成金制度の活用で、社員の手取りを減らすことなく、会社の負担を減らすことが出来ますが、ご提案いたしましょうか?
従業員の問題・資金繰り・営業戦略など、様々な問題を抱えるご経営者の良きパートナーとして、経営全般のサポートを行なっております。
些細なことから、どのようなことでもご相談頂ければ
何かでお役に立てるのではないかと考えております。
是非、ご遠慮なくお申し付け下さい。
H19.4.1施行とされておりますが、概要を確認してみましょう。
]]> 性別による差別禁止の範囲が拡大されました改正前は、女性に対する差別のみが禁止されていましたが、改正後は男女双方に対する差別が禁止されます。
降格、職種・雇用形態の変更、退職勧奨、雇止めについても差別が禁止されます。
改正前は、募集・採用、配置・昇進・教育訓練、福利厚生、定年・解雇についての差別が禁止されていました。
また、改正後は、配置に「業務の配分」や「権限の付与」が含まれることが明確化されました。
間接差別とは、性別以外の理由を要件とする措置であって、その措置が、一方の性の労働者に相当程度の不利益を与え、合理的な理由がないと認められるものをいいます。
したがって、合理的な理由がある場合に身長・体重要件や転勤要件を課せなくなるわけではありません。
【間接差別として禁止される例】
妊娠・出産・産前産後休業を取得したことを理由とする解雇に加え、省令で定める理由による解雇そのほかの不利益取扱も禁止されます。
【省令で定める理由】
妊娠中・産後1年以内の解雇は、「妊娠・出産・産前産後休業等による解雇でないこと」を事業主が証明しない限り無効となります。
男性に対するセクシュアルハラスメントも対象となります。
事業主は、女性だけでなく男性に対するセクシュアルハラスメントも含めて、職場でのセクシュアルハラスメント対策を行わなければなりません。
対策を行わず、是正措置にも応じない場合、企業名公表の対象となります。
1997年に改正された雇用機会均等法で、セクシュアルハラスメント防止条項が盛り込まれた際、就業規則にもセクシュアルハラスメント対策のための措置を規定した事業主の方も多いことと思います。
就業規則については、現在の規定が男女双方に対するセクシュアルハラスメント対策と読める場合には、改定の必要はありません。この機会に見直しされてはいかがでしょうか。
ポジティブ・アクション(男女間の格差解消のための積極的取組)に取り組む事業主について、厚生労働省のホームページにおいて、実施状況を公開する等の国の援助を受けることができる予定です。
改正により、厚生労働大臣(都道府県労働局長)が事業主に対し、男女均等取扱いなど均等法に関する事項について報告を求めたにもかかわらず、事業主が報告をしない、または虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料に処せられます。
その他の事項の違反に関しては、企業名公表の対象となります。
詳細は、厚生労働省ホームページをご参照ください。
]]>(2) 上記(1)のない場合、下記書類①②の2種類
① 住民健康保険被保険者証又は健康保険被保険者証
② 住民票記載事項証明書又は印鑑証明書又は写真が貼付されていない住民基本台帳カード等
印鑑 (スタンプ印は不可)
写真 (たて3㎝×よこ2.5㎝程度の正面上半身のもの) 2枚
雇用保険被保険者証
振込を希望する金融機関の預金通帳(郵便局を除く)
受給手続きのお問い合わせは
住所を管轄するハローワークの雇用保険「給付係」へお問い合わせください。
1.失業等給付(求職者給付)を受けることができる人は
次の(1)~(3)の要件をすべて満たしていることが必要です。
(1)
①一般受給資格者
離職の日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上あること。
この場合の1カ月とは、離職の日の翌日からさかのぼって1カ月ごとに区切った期間をいい、その1カ月の間に働いた日が14日以上ある月をいいます。
②短時間受給資格者
離職の日以前2年間に被保険者期間が12カ月以上あること。
この場合の1カ月とは、離職の日の翌日からさかのぼって1カ月ごとに区切った期間をいい、その1カ月の間に働いた日が11日以上ある月をいいます。
(2)公共職業安定所に求職の申込みをしていること。
(3)失業状態にあり、就職する意思と能力があること。
「失業状態にある」とは、いつでも就職できる状態(環境・健康状態)にありながら、本人の積極的な就職活動及び公共職業安定所の紹介努力にもかかわらず、就職できない状態にあることをいいます。
失業等給付(求職者給付)を受けることができない人は
o すでに就職が決まっている人(パート、アルバイト等でも就職として取扱うことがあります)や現に働いている人
o ただちに就職を希望しない人
o 家事の手伝いや家業に従事するため就職ができない人
o 内職又は自営業を始めるため退職した人
o 臨時内職的な労働を希望する人
o 結婚準備のため、又は結婚して就職を希望しない人
o 自動車学校や料理学校などの昼間部に通学している人
o 労災保険の休業補償や健康保険の傷病手当金の支給を受けている人
o 病気やけがですぐに就職できない人(受給期間の延長制度を参照)
o 妊娠、出産、育児、親族の看護で就職ができない人(受給期間の延長制度を参照)
o 定年退職等で、しばらく就職を希望しない人(受給期間の延長制度を参照)
(1)65歳未満で離職された方(基本手当)
退職した日の年齢と被保険者であった期間、離職理由により決定されます。
①一般の離職者(②及び③以外の理由の全ての離職者。定年退職者や自己の意思で離職した者。)
被保険者であった期間
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢
90日
90日
120日
150日
☆但し、短時間被保険者であった期間が1年未満だけでは受給資格はありません。
②障害者等の就職困難者
離職した日の年齢
被保険者であった期間
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
45歳未満
150日
300日
45歳以上65歳未満
360日
☆但し、短時間被保険者であった期間が1年未満だけでは受給資格はありません。
③倒産、解雇により、再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者
離職した日
の年齢
被保険者であった期間
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満
90日
90日
120日
180日
-
30~35歳未満
180日
210日
240日
35~45歳未満
240日
270日
45~60歳未満
180日
240日
270日
330日
60~65歳未満
150日
180日
210日
240日
☆但し、短時間被保険者であった期間が1年未満だけでは受給資格はありません。
(2)65歳以上で離職された方(高年齢求職者給付金)
高年齢求職者給付金は被保険者であった期間(算定基礎期間)によって、下記のとおりとなっています。
被保険者であった期間
1年未満
1年以上
高年齢求職者給付金額
基本手当日額の30日分
基本手当日額の50日分
2.基本手当の日額
求職者給付の基本手当の日額は、原則として離職の日の直前6カ月間に支払われた賃金を180で割った額(1日当りの額)のおおよそ4.5割から8割を乗じて得た額です。
*基本手当日額には上限額があります。
3.求職者給付を受けられる期間
(1)65歳未満で離職された方
求職者給付を受けられる有効期間(受給期間といいます)は、離職した日の翌日から1年間です。
この期間内の失業している日について所定給付日数を限度に支給されます。
なお、次の期間内は求職者給付が受けられませんので、就職を希望されるときは、早めにハローワークに求職の申込みの手続きをしてください。
待期期間……求職申込日以後失業している日が7日間(法第21条)
給付制限期間……自己の都合による退職、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合、3カ月(法第33条)
(1)65歳以上で離職された方
高年齢求職者給付金が受けられるのは、離職の日の翌日から1年間(受給期間)となっています。
なお、待期期間、給付制限期間は、一般求職者給付の場合と同じです。
(例3)一時金の一部しか受給できない場合(一時金50日の人)「受給手続きが遅れた場合」
4.求職者給付の基本手当を受給中に再就職したときは
再就職手当
所定給付日数の1/3以上、かつ、45日以上残して、安定した職業に就いた場合、または事業を開始し、一定の要件を満たした場合に支給されます。
再就職手当の給付額=支給残日数×30%×基本手当日額
*基本手当日額には上限額があります。
就業手当
所定給付日数の1/3以上、かつ、45日以上残して常用雇用等以外の形態で就業した場合において、一定の要件を満たした場合に基本手当日額の30%に相当する額が就業日ごとに支給されます。
*基本手当日額には上限額があります。
高年齢雇用継続給付
60歳に達した後求職者給付の基本手当の支給を受け、その支給残日数が100日以上あって、基本手当について算定基礎期間が5年以上ある受給資格者が、再就職して被保険者となり、再就職した各月の賃金が離職時の賃金月額の75%未満となる場合に「高年齢再就職給付金」が支給されます。(高年齢再就職給付金と再就職手当との併給調整があります。)
支給される期間は、再就職の前日における支給残日数が200日以上の方は再就職から2年間、100日以上200日未満の方は1年間です。
また、求職者給付の基本手当を受給せずに(再就職手当も含む)再就職して、被保険者となった場合(被保険者期間が通算して5年以上ある方)に、再就職した各月の賃金が60歳時点の賃金日額の75%未満となる場合は「高年齢雇用継続基本給付金」が支給されます。
なお、高年齢雇用継続給付は65歳に達する月までが支給対象となります。
支給申請は事業所を管轄するハローワークに事業主を通じ行ってください。詳しくは、ハローワークへおたずねください。
5.疾病等を理由とした受給期間の延長制度
雇用保険の受給期間は、離職した日の翌日から1年間ですが、その間に下記の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなかった日数を1年に加えた期間(最大限4年間)(育児により受給期間の延長をしようとする場合は、その子どもが最高3歳になるまでの日数を1年に加えた期間)、受給期間を延長することができます。
また、高年齢雇用継続基本給付金の受給資格の確認を受けている方は、基本手当に係る受給期間の延長手続きを行った時は同時に「高年齢雇用継続給付延長申請書」を提出してください。
また、教育訓練給付の受給資格者の方 は、同時に「教育訓練給付適用対象期間延長申請書」を提出してください。
(1)病気、けが
(2)妊娠、出産、育児(3歳未満の乳幼児)
(3)親族等の看護
(4)事業主の命令により海外勤務する配偶者に同行等
※ 高年齢求職者給付金については、この「延長制度」の取扱いはありません。
手続方法
ア 申請期間
働けなくなった日の初日からその状態が30日以上引き続いたとき、その翌日(31日目)から1カ月以内
* 代理人又は郵送により申請を行うことも構いませんが、代理人による申請の場合は委任状の提出が必要となります。
イ 申請書類
受給期間延長申請書に、離職票-1、離職票-2及び医師の診断書等受給期間の延長が認められる理由に該当することの事実を証明することができる書類(詳しくはハローワークにおたずねください。)を添付して申請してください。
ウ 申請先
住所又は居所を管轄するハローワークへ提出してください。
6.定年退職者等に対する受給期間の延長制度
60歳以上の定年等により退職した方が、一定の期間就職活動を行わないことを希望する場合には、1年間の範囲内で申し出た期間を当初の受給期間に加えた期間が受給期間となります。
したがって、この場合の受給期間は最大2年間となります。
また、高年齢雇用継続基本給付金の受給資格の確認を受けている方は、上記の延長手続きを行った時に「高年齢雇用継続給付延長申請書」を同時に提出してください。
手続方法
ア 申請期間
離職の日の翌日から2カ月以内です。
* 病気又は負傷その他やむを得ない理由から申請期限内に来所できない場合に限り、その理由を記載した証明書を添付のうえ、代理人又は郵送により申請することができますが、代理人による申請の場合は委任状の提出が必要となります。
イ 申請書類
受給期間延長申請書に、離職票-1及び離職票-2を添付して申請してください。
ウ 申請先
住所又は居所を管轄するハローワークへ提出してください。
(例)求職申込みをしないことを希望する期間が6カ月の場合
7.老齢厚生年金との併給調整
平成10年4月1日以降受給権が発生する特別支給の老齢厚生年金を受給される方は、失業給付(基本手当)を受ける間は失業給付が優先され、特別支給の老齢厚生年金が支給停止されます。
また、高年齢雇用継続給付を受けている間は、老齢厚生年金(在職老齢年金)の一部(原則として標準報酬月額の一割に相当する額)が支給停止されます。
該当することになった場合は、「老齢厚生年金受給権者支給停止事由該当届」を住所地を管轄する社会保険事務所へ提出してください。
なお、詳細については、最寄りの社会保険事務所におたずねください。
私傷病で欠勤し給料が支給されない場合、安心して療養に専念出来るように健康保険から賃金の一部に相当する現金が給付されます。これが傷病手当金です。
次の4つの要件を満たすことが必要です。
①療養のため労務に服することが出来ないこと。
②労務不能の日が継続して3日間あること。
(年次有給休暇を利用した休業でも構いません)
③労務不能により報酬の支払がないこと。
④健康保険の被保険者(任意継続被保険者を含む)であること。
※ 年次有給休暇を利用して、休業している場合は、報酬の支払いがありますので、傷病手当金は、年次有給休暇扱い出来ない日(欠勤となる日)から、支給が開始されます。
※ 療養には、自費診療、自宅療養も含まれます。
※ 健康保険の被扶養者や国民健康保険の被保険者の場合は、傷病手当金は受給出来ません。
(自営業者等の場合、民間の損害保険会社が販売している所得補償保険等に健康なうちに加入しておいた方が良いと思います。)
労務不能1日につき、標準報酬日額の6割(月給日額の約6割)が支給されます。
※ 平成19年4月以降は、労務不能1日につき、標準報酬日額の3分の2が支給されます。
【支給額計算方法 例】
糖尿病のため、60日間入院及び通院のため、労務不能であった。
標準報酬月額30万円の人の場合。
30万円÷30日=1万円 1万円×0.6×60日=36万円
この人の場合、36万円が支給されます。
傷病手当金は、月給の全部又は一部が支給される場合、この間は支給されません。
但し、その受ける月給が、傷病手当金より少ない日については、その差額が支給されます。
出産手当金との調整
傷病手当金と出産手当金が両方支給される日にあっては、出産手当金が支給され、傷病手当金は支給されません。
傷病手当金が先に支給されたときは、出産手当金の内払とみなされます。
障害厚生年金・障害手当金との併給調整
同一の傷病により障害厚生年金又は障害手当金が支給されるときは、1年6ヶ月未経過でも傷病手当金の支給が打ち切られます。
但し、1日当りの傷病手当金の額が障害厚生年金の1日当りの額より多い場合は、その差額が支給されます。
障害手当金の支給を受けたときは、障害手当金の額に達するまで傷病手当金は支給されません。
休業補償給付との併給調整
労災保険の休業補償給付を受けている間は、傷病手当金を受給することは出来ません。
但し、1日当りの傷病手当金の額が休業補償給付の1日当りの額より多い場合は、その差額が支給されることがあります。
老齢退職年金給付との調整
傷病手当金の支給を受けるべき者(任意継続被保険者又は資格喪失後の継続給付受給者に限る)が、老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付(老齢退職年金給付)の支給を受けることが出来る時は、傷病手当金は支給されません。
但し、老齢退職年金給付の額を360で除して得た額と傷病手当金の日額を比較し、支給される老齢退職年金給付の額が傷病手当金の額より低い場合は、その差額が支給されます。
支給を始めた日から起算して1年6月が限度です。
なお、労務不能となった最初の3日間は支給されません。
1ヶ月に1度位の間隔で請求すれば良いでしょう。
同一病名の場合は、完治しない場合は、1年6ヶ月が限度ですので、それ以降は支給されません。
支給を受けた病気と関連のない病気にかかった場合や以前の病気が完治(社会的治癒を含む)し、その後再発した場合は、支給されます。
【社会的治癒】
社会的治癒とは、同じ病気であって一定期間薬を飲んでいないとか、病院に通院していない場合に病気が治癒したものと扱うことです。
厚生労働省の通達では、
「社会的治癒とは、医療を行う必要がなくなり、社会的に復帰している状態をいう。薬治下又は療養所内にいるときは、一般社会における労働に従事している場合でも社会的治癒とは認められない」
ことになっています。
結核、糖尿病、精神疾患では「3年くらい」薬を飲んでいない、通院、入院していないことが必要です。
私傷病で休業して退職する場合、傷病手当金を受給するためには、次の条件が必要です。
①在職中3日間(退職日を含みません)以上続けて休業し、待機期間を満たした後に退職し被保険者の資格喪失を喪失しても継続して傷病手当金が支払われます。
(1年以上継続して被保険者であったことが必要です)
これを、資格喪失後の継続給付と言います。
この場合、3日間の連続休業も含めて、在職中の休業を全て年次有給休暇扱いしてくれる会社にいた場合は、退職後支給が開始されますので、退職日の翌日から起算して1年6ヶ月が支給期間の限度となります。
退職し被保険者の資格喪失後は、病気等になった場合は、治療費等は資格喪失後の給付はありませんので、任意継続被保険者になるか、国民健康保険に加入することが必要です。
②1年以上継続して被保険者でなかった場合は、2ヶ月以上継続して被保険者であれば、自分で住所地を管轄する社会保険事務所(政府管掌健康保険の場合)または健康保険組合に「任意継続被保険者」の申請を退職日の翌日から20日以内にすることが必要です。
任意継続被保険者になれば、保険料は自己負担分に、会社負担分も合わせて支払うことになりますが、支給事由に該当すれば、傷病手当金が支給されます。
(保険料を払う基準が変更されるため、給付額が変わるケースもあります(政府管掌健康保険の被保険者で標準報酬月額が28万円以上の方の場合、28万円に標準報酬月額が下がるため)ので、ご注意下さい。)
また、退職後病気・負傷等で傷病手当金の支給要件を満たせば、傷病手当金支給の対象となった以外の病気・負傷等であっても傷病手当金は支給されます。
(但し、既に傷病手当金受給中の日については、二重に支給されません。傷病手当金支給の対象となった病気・負傷による受給が終了し、なお、新たな病気・負傷による傷病手当金受給期間が残っている場合、その期間につき支給されます。)
③平成19年4月以降は任意継続被保険者の保険給付から傷病手当金の支給がなくなります。
※1日当りの支給額について
①の資格喪失後の給付を受ける場合、支給額は労務不能1日につき、退職時の「標準報酬日額」の6割となります。
(退職後、国民健康保険に加入した場合)
①又は②で任意継続被保険者になった場合、政府管掌健康保険では、標準報酬月額28万円または退職時の標準報酬月額が28万円未満の場合は、いずれか少ない方のその標準報酬月額を30で割り、「標準報酬日額」を算出します。
支給額は労務不能1日につき、算出した「標準報酬日額」の6割となります。
「健康保険傷病手当金請求書」に医師の意見と事業主の証明を記入して貰い、会社を管轄する社会保険事務所に提出します。
総務担当者がいれば、傷病手当金請求書の用紙を送付して貰い、医師の意見を記入して頂き、会社へ返送すれば、総務担当者が、会社の証明の記入と社会保険事務所又は健康保険組合への提出を代行してくれます。
会社を退職していますので、社会保険事務所又は健康保険組合から「健康保険傷病手当金請求書」の用紙を取り寄せ、医師に意見を記入して頂き、会社を管轄する社会保険事務所又は健康保険組合に自分で送付または提出することが必要です。
任意継続被保険者の場合は、住所地を管轄する社会保険事務所又は健康保険組合に送付または提出することになります。
退職後の健康保険制度は、こちらをご覧下さい。
★サラリーマンを退職し、無職又は自営業になるとクレジットカードが作れなくなります。
これは安定的な収入がないと返済が滞るとクレジット会社が懸念するためです。
そこで、使う使わないは別として、在職中にクレジットカードだけを作っておいた方がいざというとき高金利の消費者金融から借りなくても済みます。
在職中にクレジットカードが作れる主な会社は下記の通りです。取り合えず、カードだけは作っておかれた方が良いと思います。
病気・ケガで退職せざると得ない場合も出来るだけ有利な条件で退職することが重要です。
折角長い間、健康保険料、雇用保険料を払ってきたのですから。
□ 退職後は「資格喪失後の継続給付として傷病手当金受給+国民健康保険」と「任意継続後の給付としての傷病手当金受給+任意継続保険」のどちらが有利か?
□ 雇用保険の基本手当(失業手当)を病気が治った後に受給するには?
□ 年次有給休暇の残日数を消化するには?
これらの内容に関し、有料でご相談に応じます。
相談料は、メール相談、電話相談(30分程度)とも1回当たり3,000円です。
関東圏の方は事務所での個別相談にも応じています。
(相談料30分当たり3,500円、最初の30分を除き、30分未満は切捨て)
メール相談ご希望の方はこちらクリックしてお申込み下さい。
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適用法律
健康保険法 厚生年金保険法
加入対象
法人は1人でも個人経営の場合は常時5人以上で強制適用
適用除外
・2ヶ月以内の期間を定めての雇用の人
※ 一定期間以上の雇用が続いた場合は被保険者となります。
パートタイマー・アルバイトの場合
1日、又は1週間の所定労働時間が、一般社員のおおむね4分の3以上であること
1ヶ月の労働日数が一般社員のおおむね4分の3以上であること(昼間学生は除外されます)
※ ただし各社会保険事務所・健康保険組合での判断基準がありますのでご注意下さい
60歳以上の方の場合
60歳~65歳→年金を受給しながら働く場合は、給料の額によって年金額が減額されます。
70歳以上
→ 健康保険の被保険者になりますが、給付は「老人保健」から受けます。
外国人の場合
健康保険・厚生年金ともに加入対象となります。
短期の在留であっても、6ヶ月以上の被保険者期間があれば、帰国の際に厚生年金から脱退一時金を受けられます。
社会保険の給付は、業務外の病気・けが、出産、死亡、老齢、障害、死亡についての保障を対象にしています。
被保険者
会社に常用的に使用される方で、70歳未満の方
健康保険の給付内容
・療養の給付
・高額療養費
・傷病手当金
・出産手当金、出産育児一時金
・埋葬料(費)
~他数種
厚生年金の給付内容
・老齢厚生年金(保険料を納めた期間が25年以上必要です)
・障害厚生年金
・遺族厚生年金
資格取得日
入社日(試用期間に関わらず)
資格喪失日
・退職日の翌日
・死亡日の翌日
・退職日の翌日
・死亡日の翌日
・70歳の誕生日の前日
被保険者期間
入社日~退職日(死亡日)
保険料納付期間
入社月~喪失月(喪失日の属する月)の前月
被保険者負担分の保険料控除のタイミング
当月分の保険料を翌月支給する給与から控除
報酬
労務の対象として受ける給料・手当・賞与(3ヶ月を越える期間毎にうけるもの及び臨時にうけるものを除く)のすべて
・基本給
・家族手当
・役付手当
・職務手当
・皆勤手当
・勤務地手当
・食事手当
・宿日直手当
・残業代
・早出手当
・その他の手当
・通勤手当
・現物給付(食事・住居他)
・その他労務の対象となるもの
報酬とならないもの
恩恵的に支給される見舞金・結婚祝金など
・退職手当
・恩給
・大入り袋
・傷病手当金
・休業補償給付
・解雇予告手当金
・その他労務の対償とならないもの
標準報酬月額
報酬の月額をもとに「標準報酬・保険料月額表」の等級区分にあてはめた月額
(※「保険料」と「給付」の額を算出するための仮の報酬のことです。)
資格取得時
入社時の雇用契約に基づき、見込みの標準報酬月額を算出
算定基礎
4・5・6月の平均→9月改定
月額変更
随時(2等級以上の変動のあったとき)
加入対象
満40歳以上65歳未満の健康保険加入者(被保険者・被扶養者)
保険料控除のタイミング
40歳の誕生日の前日が属する月から介護保険料を負担する対象となります
この春以来、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の雇用保険部会で雇用保険制度改革に向けた検討が進められていますが、先般中間報告がまとまったようなのでお伝えします。
秋以降も検討を続け、来年の通常国会での雇用保険法等の改正をめざす勢いです。
要旨は、以下3点です。
(1)人口減社会を乗り切るためにも、長く働き続けられる社会をつくる
(2)特に高齢者雇用を促進する
(3)国家財政が逼迫する中で、特別会計である雇用三事業が効率的な運用されているか検証する
そのため審議会は、65歳以上の人が新たに雇用保険制度に加入できるよう検討する方針としました。
週20時間以上働くなど、現在の雇用保険の加入要件を満たす65歳以上に対象を広げるのが基本方針です。
約500万人いる65歳以上の就業者のうち、200万人程度が要件を満たすとみられています。
これらの新規加入者から保険料を徴収するかどうかは、審議会で今後議論の焦点となります。
仮に保険料免除を認めれば、雇用保険財政を圧迫することは明らかです。
しかし65歳からの新規加入者とそれ以前からの継続加入者との間で待遇の差が大きくなると、不公平との声が出る恐れもあります。
高齢の就業者を守るセーフティーネットも充実させる方向です。失業給付や職業訓練などの雇用保険事業の一環として対応する意向です。
その一方で、全体的な給付の引き締めも行うようです。
短期間で就労と失業を繰り返し、失業手当を何度も受け取る人が多いことから、受給の資格要件を厳しくする方向で検討が始まっています。
冬に仕事がなくなる寒冷地の土木作業員に向けた地域雇用対策の給付金制度は、廃止を含めて検討することなども論点に盛り込まれました。
雇用保険三事業では一部事業の廃止を含む削減を課題として挙げています。助成金にも影響が考えられますね。
雇用保険そのものは2003年の給付見直し以来、財政が好転しています。
2004年度では7,962億円の黒字であり、2005年度も同じく黒字の見込みです。
雇用保険三事業についても、失業情勢の改善に伴って給付が減少したため、2004年度では1,301億円の黒字が出ているようです。
こうした状況も考慮しながら、雇用保険全体の見直しが図られることになりそうです。