フレックスタイム制では、実労働時間の長さによって異なる割増率を適用してもよいのでしょうか?

 フレックスタイム制では、清算期間中の実労働時間の長さによって、異なる割増率を設定してもよいのでしょうか。

上記「フレックスタイム制では、実労働時間の長さによって異なる割増率を適用してもよいのでしょうか?」に対する回答

 清算期間中の労働時間の長さにより、異なる割増率を適用することは可能です。

 労働基準法は、時間外労働をさせたときには、2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないものとしていますが、この場合、割増賃金の支払いが必要なのは、法定労働時間を超えた時間についてです。

 したがって、所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合には、法定労働時間に達するまでの間の時間については必ずしも上記の割増率で計算した割増賃金でなく、「別段の定めがない場合には原則として通常の労働時間の賃金」を支払うことで足りるものとされています。

 ところで、フレックスタイム制で時間外労働となるのは、通常の労働時間制度のように、1日または1週間の所定労働時間を超えた時間ではなく、清算期間の総労働時間を超えた時間ですが、この場合にも、清算期間の総労働時間が法定労働時間の総枠より短いときは、総労働時間を超え法定労働時間に達するまでの間の時間については、必ずしも割増賃金でなく、通常の賃金を支払えば足ります。

 法律が2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払うことを強制しているのは、実労働時間が清算期間の法定労働時間の総枠を超えた時間についてです。

 したがって、例えば、フレックスタイム制を導入する前の1日の所定労働時間が7時間で、法定労働時間である8時間までの間の1時間については1割増、8時間を超えた時間について2割5分増というように法内時間外労働と法外時間外労働で異なる割増率を適用していた事業場でフレックスタイム制を導入した場合、従前にならって、清算期間の総労働時間から法定労働時間の総枠までの時間については1割増の割増賃金とし、法定労働時間の総枠を超えた時間については2割5分増の割増賃金とすることは可能です。

 清算期間の総労働時間を超え、法定労働時間の総枠に達するまでの時間外労働に対しては、通常の賃金を支払うことで足りるからです。

カテゴリー:変形労働時間

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